Act 03 邪悪なコネクション
Phase 00 売れっ子アイドル
新宿アルタといえば、かつてお昼の国民的生放送番組が放送されていたことで知られていた。しかし、その番組が終わった今では寂れた場所になっている。国民的生放送番組の収録が行われていたスタジオも閉鎖されて、今ではただの貸ビルである。とはいえ、新宿アルタの大型ビジョンといえば新宿のランドマークと言っても過言ではない。僕はアイドルなんて興味が無いのだけれど、ふと新宿アルタの大型ビジョンを見上げると、とあるアイドルがビタミン剤のCMに出ていた。確か、名前は「プリティ・プリンス」とかそんな名前だったか。日本でも屈指の大手芸能事務所に所属しているので、名前ぐらいは知っていた。そういえば、「プリティ・プリンス」のメンバーの1人は映画出演が決まっていたな。それも織田信長の役という大役だった気がする。東堂映画の夏の超大作だったな。
「『レジェンド・オブ・ノブナガ』か。タイトルはダサいな」
僕は、その映画のフライヤーを見つめていた。目鼻立ちの整った主演のアイドルの顔が、目を引く。ちなみに、転売対策でフライヤーはグッズ売り場じゃないと貰えないようになっている。まあ、既にフリマアプリで転売されているので無駄なのだが。
「シーッ。東堂映画が巨額の制作費を注ぎ込んで作った作品だから、あまり文句は言わないほうが良いですよっ」
「しかしなぁ、『プリティ・プリンス』のメンバーの1人が出ているぐらいだからな。女性客を見込んだキャスティングだろうけど」
「えーっと、リーダーの
「確かに、言われてみたらそうだな。というか、先輩は『プリティ・プリンス』の事が好きなのか? 僕はそういうアイドルにはさっぱり詳しくないんだが」
「もちろん、知っていますよっ。紅白歌合戦にも10年連続で出場していますからね」
「まあ、アイドルとしては中堅的なポジションだろうな。ところで『プリティ・プリンス』の中で誰が好きなんだ」
「もちろん、准二くんに決まっているじゃないですかっ」
「まあ、そういう反応になるのは確かだな」
「あっ、お客さんですよっ」
「コホン。いらっしゃいませ!」
――まさか、本村准二の裏を暴く仕事が舞い込んでくるとは、このときには思ってもいなかった。
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