8.

 もうすぐ夜が明ける。

 袋小路の中で迷っていた者には、夜明けの光は福音である。

 でも、その光があたるところにたどり着くには、ほんの少しの知恵と勇気と、何らかのきっかけか、手助けが必要なことがある。

 あの時、彼女があの2軒のホストクラブに行き着いたのは単なる偶然だ。

 例えば、腹ごしらえに立ち寄ったバーのバーテンが全能なる誰かの使者だったとか、そういうことは決してない。

 そもそも、あの2軒のホストクラブは、誰でも入ることができる世俗的な享楽の場だ。

 ただ、彼女にとっては、あの店との出会いが袋小路から抜け出るための、重要なポイントとなった。

 後になって、彼女はあの一角をもう一度訪れたいと思っただろうか。それとも、自分が犯した過ちの戒めとして、もう二度と訪れることはないと思っているだろうか。

 あの風変わりな2軒のホストクラブは、今も同じ場所にある。周辺の街並みはかなり変わってしまったが、あそこだけは何ひとつ変わっていない。

 だから、もしもその気になれば、彼女はいつでもそこに行くことができる。

 変化した街並みに惑わされないように気を付けて、風の感触を頼りに歩いて、もしも見つけられなかったら、誰かに道を尋ねてみればいいのだ。

「すみません。この辺りにミニブタとウサギのホストクラブがあるはずなんですが…」

 一人目であの店を知っている人に当たればいいが、そうでないことのほうが多いだろう。

 でも、絶対に何人か目で、あの店を知っている人に出会えるはずだ。

 あの2軒のホストクラブは、誰にでも簡単にたどり着けるところなのだから。

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不思議なホストクラブにようこそ! サビイみぎわくろぶっち @sabby

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