7.1

 その日の閉店直後のことだ。

 ふたつの店の間の路地で、「あかつきの古城」のスタッフが、「スキャンダラス・バニー」のスタッフを捕まえた。

 ちなみに、この二人のスタッフは両方とも人間である。

「ちょっといいか。今日、うちからそっちにハシゴしてった客だけど…」

「もう帰ったよ」

「会計、いくらだった?」

「そんなこと言える訳ねーじゃん」

「心配してる人がいるんだよ。あの客、かなり荒れてたからさ」

 「暁の古城」のスタッフのいじらしい態度に、「スキャンダラス・バニー」のスタッフはほだされたようである。

 迷いながらも質問に答えた。

「う~ん…。ここだけの話し、普通に飲んで帰ってった。会計の額も普通だ。だから、安心しろ」

「そうか、ありがとさん。立ち入ったこと聞いて悪かったな」

 素直に礼を言われて、「スキャンダラス・バニー」のスタッフは気を良くした。

 それでつい、要らぬことを口に出してしまった。

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