50話衣替え


どうにか4人が揃い状況を報告しあう


「うちらはここで箱からレアをまつん?」

「そうなるね」

「かさばるけど色々と持ってきて良かったわ」

「時間かかってもーたな」

「魔物に襲われなかった?」

「どうにかね」

「俺の意見いっていいか?」

「どーぞ」

「4人でここにいるべきだと思う」

「何か理由があるねんな?」

「おまえたちがここに来る道中で襲われなかったのはかなりラッキーだった」

「それはそうやねぇ」

「仮に蛇にやられて動けないそこの男がさらに羊に襲われたら?」

「うちは運ぶ事もできひんね」

「思ったよりこの山には蛇がいる」


何度も見る羽目になったしあれから3度もかまれて動けなくなった


「分かった」

「食料は大丈夫なん?」

「魚がとれるんだあの湖」

「たしかに話が変わってくるわね」

「あとそこらへんに結構たべれそうなもん生えてる」


にんじんらしきものや木の実を見つけた

あとは魚さえとれれば何とかなる

この暑さだが湖のおかげで今の地点はかなりいい拠点だ


「いいものが出たらすぐ出発するのか?」

「うん」

「ちょっと急ぎ過ぎてる気がするけど」

「皆自分が思っている以上にこの世界に疲れて来てるから」

「せやね」


皆で生活して5日目にはもう意味がわかっていて

皆がストレスで口数が減り暑苦しい唸り声が聞こえ

それが五月蠅くて余計に眠れない


6日目の朝箱からはテントが出た(畳まれた状態)

現在使っているテントとは違い床もあるタイプのようだ

広げられる場所がなく全体像は把握できない


「移動しよう」

「……分かった」

「誰がどう動くん?」

「クリス」

「え!?マジ」

「大真面目に一番足が遅い者をまず進める」

「確かにうちの足は遅いけどテントとか作るの向いてへんで?」

「そもそも4人で移動するから」

「え?」

「先に僕とクリスで出発するからあとから来て」

「わざわざ分けるのか?」

「モンスターが怖いのは分かるけど今あるものはなるべく持っていきたい」

「それにしたって4人でよくねーか?」

「いちいち合流してられない、かえって遅れる」

「……お前に従うとは決めてるから仕方ねーか」

「戦闘は任せるからねウサギ定石」

『分かった』


こうして出発して境界線でビバーク(野宿)することに

暑いと寒いの両方があってちょうどいい事もあるが

なによりモンスターはどうもこれを越えない

どちらかで湧いたらどちらかに逃げ込める


「多くははこばんと思ってたわ」

「これでも減らしたんだけどね」

「確かに鍋もフライパンもいるんわ分かるけどな」


一晩休み冬の恰好に着替えて山を登り始めた

雪は激しく降るものの風がなく非常にチャンスだった

どうにかゆっくりと登り始めて休憩をはさみつつ登る

途中で蛇が見えたが勝手に死んだ

よく考えてみれば蛇は冬眠する


「何か落としたで?」

「……鉄の杭だ」

「限界なのにそれも持っていくん!?」

「いやここに打ち込んでから進む」

「なんでや?」

「後続の目印」


ガンガン叩いてどうにか雪に埋めて進んだ

寒さはそこまでではないが雪と岩に足をとられて

クレパスには梯子をかけて


「スマホがアップデートされてて本当に良かった」


彦星のスマホはレベルがあがり『レアアイテム』がGPSのように地図で位置が分かる状態になっておりこれのおかげで梯子をおきっぱなしに出来る

こうして頂上にたどり着いてテントを広げた。


「すごいなこのテント!!」

「今袋から出しただけでひろがらへんかった?」

「ワンタッチ式とは書いてあったけどー――それより早く中に入って」


テントの性能は半端でなく暖かくさらに換気用の小窓があり

ガスコンロも安全に使う事が出来そうだった

思ったよりも時間がかかったが後続はいつ



「よぉ」

「早い!!」

「大量の荷物があるとはいえクリスの足がおそかったんでしょうね」

「おかげで梯子をちと探すはめになったがな」


全員が怪我もないようで一先ず安心

テントで揃って箱を開けた

固形燃料が出てきたのでフライパンの上で3つほど火をつけてガスを節約


「一度に随分使うわね」

「一度ぜんいんを温めないといけないから」

「予定通りスープ作るでぇ」


作ったスープを飲み身体を温める

もうここまでくれば100レべの山まで近い

なるべく進んだほうが良いという結論はあった


すでに世界へ滞在した日数など覚えていない

仲がよくても過酷な環境で争いになりそうで

本当にギリギリのところをこらえてくれている

高校生の二人はまだ社会的な経験もすくないのに不満を声にしない

しかし顔は気遣いもあって酷いものだ


「なるべく早くクリアしないと」

「急ぎすぎてねーか?」

「気力は無限じゃない」


2日ほど経過してレアではなくスキーの板が出た

物を運ぶのにこれに乗せられればかなり楽に移動できる

そして滞在はまだ止められない


「相変わXず酷い天Xね」


風の音が酷くて聞きにくいが

今は出発しない事のほかに大きなやりとりはない

天候が回復したのはさらに翌日の夜


「すごい星空が綺麗だね」

「なんだこの明るい外」

「やっとの事さきに進めるって事やねんな?」

「でも夜は夜よ?」


確かに天候が変われば大変な目に遭うが

それよりも先に進むことを選び

荷物運びがウサギ定石とヒロと彦星

クリスのペースで先頭を行く

もしもホワイトアウトした場合スマホでお互い別々に登る

しかし迷子にならないように全員で紐を持つ


「古いやり方かもだけど」

「いやこれなら俺も反対しねぇ」

「頑丈なロープってこれの為だったのね」

「行こう」

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