48話 進む


翌日の朝に予想は現実となり馬が3匹外にいるとの事

このテントも狙われているようで仕方なく全員で出てきた

遠くにタオルを投げ一匹だけそちらに向かう


残った二匹が恐ろしい速度で突撃してきた


「必殺!!」

『エックスカット!!』


ウサギ定石の技と太郎のナイフで馬は仕留めたが

外気温が酷く低くこのままさらされているだけで危険だった

ヒロも馬をしとめはしたが


「どじ……った」


反撃を喰らって服が破けていた

極寒の中で腹部が破けた衣服は致命的

一匹どこへ行ったかも分からない馬


「え?」


寒いが雪が止まって風も止まった

だからか次の地点が雪ではなく緑があるのがわずかだが見え

一旦あまりの冷気にテントの中へ入るがウサギ定石が倒れていた


「動けないってこういう事か」

『……1時間フリーズだ』

「1時間まてば動けるのはいいがここは滞在むずかしくねーか?」

「身体にけがは?」

「服が破けて角がかすり傷になっただけだ」

「とりあえず火をつけて身体を温めてすぐ離れよう」

「え?」

「ウサギ定石は置いていく」

「……」


テントを破壊されてからではもう動けない

箱が出現するのを待っている事すらと思っていたが

上着が出てちょうど良くヒロが使うことに


「待った」

「どうしたの?」

「それが鳴ってる」


スマホに来ていたメール

食料が出た事とレアアイテムとしてゴーグルが出たらしく

次はどうするべきか?と


「向こうの山に行こう」

「結論はかわらねぇんだな」

「スポナーにもよるけどああいうのは一度出ると基本一定の時間は出ない」

「今のうちが一番進めるって事か」

「説明の暇がないからテントをたたんでいこう」

「分かった」


ともかく荷物を片付けてテントを畳んだ

次の箇所が緑だった事も踏まえて途中ですこし杭をうめつつ

梯子がいる場面もなくどうにか山を下りた

次の箇所は今よりレベルが高いから天気も雪か酷いと勘違いしていた

驚きの夏模様で境界線を踏んだ瞬間に思った


「暑い!?」

「マジで暑いなここ」


まさかの気温で真夏のような場所

登る必要はあるが水が無い

しかし雪があるという現実ではありえないあべこべ


「服はとりあえず脱いで」

「分かった」

「全部は脱がないで」

「暑いんだが」

「怪我の防止に全部は脱がない方がいいから!!」

「たしかに敵がいるのに装備を減らすのはダメだったか」


さて問題はすでに見えている崖っぷち

たしか垂直登攀という言葉があるのを思い出した

迂回していくことも出来そうで


「あれ登れると思う?」

「俺ですら厳しい」

「よし回り道して頂上を目指す、でも」


その前にまず雪を鍋に入れて溶かして水を作った

ペットボトルの水筒に移し替えたが

二本ダメになっていた


「あの寒さだったからな」

「ペットボトルはあの公園な山にならありはするだろうけど」

「進んだほうが早い」

「ヒロさん慎重派なのに珍しいね」

「山の寒さがあまりに過酷だったからな」


二人でトイレを済ませて水を飲み出発

登山では喉が渇いたと思ってからでは遅いとよく知っている

2時間かけて登って来たが水が無く


「……水を確保しないと」

「頂上にいきゃ水がありそうだ」

「え?」

「さっきの突き出た崖から水が落ちているように見えたからな」


1時間登ってカロリーバーを食べるが

水分が無い今はかなり水気をもっていかれてつらかった

回り道をしているせいか夕方になってもまだ山頂につく気配が無い

いつもならここでビバークだが


「無理」

「だよね」

「一刻も早く上にいくほうがいい」

「うん」


2時間後、あしがつった


「いっ……」

「歩けるか?」

「少し休めば」


こむら返り(足がつる現象)を起こしながら

暗い森の中をどうにか登り小さな湖にたどり着いた

水を生で飲むのは本来やめたほうがいいがコップに半分程度だけ飲み

あとは煮沸してお湯を飲んだ。


「あれが頂上か?」

「……そうみたい」


テントが張れるほどのスペースが無く

辺り一面が南国系の木でおおわれている

切ろうにもかなりの量


「テント無しで寝るのもありか?」

「交代でみはってとりあえず一時休憩にしようか」


箱から出る毛布、どう考えても今は外れだ。


「俺はまだ動けるからお前しばらく休憩してろ」

「1時間ぐらいしたら起こして」


シートを敷き寝袋を取り出して入らずに上で寝た

2時間半経過してようやく起こされた

ヒロが寝ている間に拠点まわりを大きく動く訳にいかず

木を切って枝をあつめてバリケードを作って過ごし


3時間ほどしてヒロは目がさめて起きた

暑いとそれはそれで寝にくい


「さて、どうする……おおいいな柵がある」

「雨が怖いけどバリケードだけでもモンスターの脅威はだいぶへるかなって」

「もう夕暮れ時だしいったん飯にするか」

「お腹すいたもんね」


水が無かったせいでほとんど食事できなかった

木を切って焚火をしてお湯を作り

カップ麺を食べて休憩するが

水が飲めるようになったら今度は食べ物が無く


「釣りとかできそうだったな」

「罠を作って魚をとるのはあり!!」


湖には魚の影がみえていたし

川魚にあまり毒があるやつはいなかった



ゲコッ


大きなカエルがいて反射で捕まえた。


「食べられるらしいから」

「まじ?」


一応内蔵の処理をナイフでして

焼いて鍋に入れて火を通し

食べてみたら


「鶏肉みてーな味すんな」

「美味しいねこれ」

「罠づくりみたいな器用な真似は出来ねーがカエルならとれるぜ!」

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