46話 欲しかったもの
「梯子が出た!?」
スマホに来た連絡はあきらかなレアアイテム
そこで4人全員で一度現在の『家』拠点に集合した
かなり快適な方を自分たちで暮らしていたので多少気まずい
「ここの拠点からまだレアアイテムは出ていないのね?」
「うん」
「想像以上に公園っていうか人が暮らしている感じが見えるわね」
庭の小さな畑から生えていた野菜(青じそなど)を収穫
パンやチョコばかりだとこういうものが本当に食べたくなる
油も手に入ったのでまともな料理(天ぷら)をいただいた
「うめーなこれ」
「つかえそうな粉があって良かったわ」
「布団どうしようか?」
「座布団だけ山のような量あるみたいだし平気よ」
「宿に泊まれるたー思って無かったな」
改めて確認したが梯子はそこそこの距離を移動する事が可能そうで
巨大ではあるものの重量は4次元鞄がある今はむしろこの大きさが良い
最終目的地に向かい始めてもいいまで考えて
「ウサギ定石は次の山を偵察にいってくれる?」
『分かった』
「レベルがここから異常な速度で上がっていくからルート確保をどうするか」
「道順って意味だよな『ルート』って」
「ロープやなんかを先にしかけて徐々にピストンで進もうかと思って」
「ぴす?」
「慎重にすすむって意味」
翌朝にはウサギ定石の偵察結果が聞けたが
思ったよりも雪が激しいらしく暖がとれる装備は必須
あと見た目が
「もうこれ完全に雪兎!!」
『吹雪が酷くてな』
「雪だるまって言われても信じそうなほど雪の塊になっちゃってるわね」
わずかな滞在時間でこうなると分かれば
吹雪を耐え抜く装備は絶対に手を抜けないが
靴ですらまだ二人分しかない
特筆すべきこともなくまた10日が経過した
レアアイテムが出たので一気に状況は変わった。
「靴が揃った!!」
「うちのサイズもあるんやね」
「防寒具が足りないけど進まないと食料が足りない」
「思ったよりも減り早いわね」
『頂上まで吹雪を耐える必要がある』
「誰か二人が登らないと、ね」
「俺は判断を委ねる」
「アタシもやれと言われたらなんとかするわ」
「―――羊」
「なんや強い敵やねんな」
『次からは『ウマ』もいるのが見えた』
「毒がありそうな雰囲気あったか?」
『見たところ毒はいいが力が強そうというのが意見だ』
馬の筋肉が半端ないらしく
毒みたいな状態異常系よりも車にひかれるような事故が危ないかもしれないと
全部を聞いてまず久利巣は連れて行けない
「ヒロさん」
「俺か」
「馬はともかく羊が出る可能性がある以上は―――ヒロさんがいないと」
「分かった」
「物理的な怪我ってだけなら回復魔法でなんとか出来そう?」
「今なら全快魔法が一発いける」
食料に余裕が無く二人ですぐに出発する事に
4次元カバンには『梯子』『スコップ』『ツルハシ』『寝袋×2』を入れて
テントはすでに設立してもらってある
「行こうか」
「……俺の妹になる奴を助けに?」
「そう」
「山に登るだけで直せるなら俺は喜んで参加する、いいな?」
ウサギ定石にも荷物を持ってもらい出発
幸いたどり着いた段階で吹雪はやみ多少の雪だけ
家から手に入れたレインコートで身体を濡らさずにすんだ
『気を付けろ、見えない岩が多い』
雪景色の山だが所々岩が飛び出ている
これを踏むと『すべる』から本当に気を付けて進んだ
道路なんかでも雪より凍結した氷の方がドライバーは怖い
「風が出て来た……」
「悪いが急ぐぞ」
「こけそうなんだけど」
「こけたら痛いですむが吹雪になりそうな気配がする」
「急ぎましょう」
ホワイトアウトを道中で喰らうのはさけたくこけながら頂上に向かう
歩けなくなりそうだったがなんとか休憩をはさんで持ちこたえて
8時間かけて頂上のテントにたどり着いた
「雪が―――」
「まずはテントが潰れないように雪を降ろそう」
「潰れてね!?」
「元からこのじょうたいにしておくよう指示してあるから」
雪の重みで潰れる恐れがあるなら広げておいておく
中の支柱が折れず布さえ破けていなければ
自分たちで建てられる
「なんだ壊れてねーのか」
「まずは雪をどけるよ、はいスコップ」
「そうだな」
のんきに喋っているように聞こえるだろうが
寒さでハイテンションになる事だってある
雪そのものはそれなりに軽かったので1時間もかからずテントは設営出来た
「まずはコンロに着火」
鍋に雪を入れて溶かして温かい粉末スープを飲む
冷え切った身体が熱をとりもどす
薪に出来る木が周辺になく超荒業で手に入れた
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4日前
「家って木で出来てるよな」
「確かに」
「この柱なら俺の力でぶったぎれるぜ?」
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「箱は―――これスープの素じゃね?」
「え!?」
ここでスープの素はかなり有難い
食料さえもてば耐久は出来る
7日で尽きる気がしていた食料はこれにより伸びた
『外に馬がいる!!』
「えっ!?」
『かなり周辺をうろついている―――どうする?』
「ヒロさんパワーだけありそうな相手なら何とか出来ない?」
「そういうことなら切り捨ててくる」
「僕もいくよ」
「……あの程度の修行で勝てるようになった訳じゃねーぞ」
特筆すべきことは確かに10日無かったが
修行というか筋トレや魔物との戦闘が軽くあった
ようするにレベル上げをしていた
「ヒロさんだってやられる事があるのは本人が一番わかっているでしょ?」
「危険だと思ったら逃げろよな」
「うん」
外には馬がテントを壊そうと構えていた
今までの魔物は目線に入らなければ良かったのに何故かと思ったら
相手の馬にその部位が無く
さらに周囲はかなり暗かった
「鼻でかくね?」
「匂いで襲ってきてるのか!!」
ならばと匂いを付けた布を風で飛ばしてみると
案の定ひっかかってくれた
馬はあらぬ方向に走るもヒロの方が早かった
「イッテンブレイク!!」
MPを使う技だが相手よりも早く打てる利点
馬は剣に当たった瞬間に今までのモンスターと同じように消えた
どうやら体力はないらしい
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