41話 求める物
ウサギ定石が調べた結果は東の山には猿と鳥が多そうだが
雪が降っている様子も無く
そこまで行けば主な敵は猿になると
「イノシシは三回ほど殴ったら消えた―――僕の攻撃力3回分ってことかな」
「武器もあるし威力は上がってるんじゃねぇの」
「確かに」
猿や鳥も噛まれたりすれば痛いが『痛い』で済む
毒でゲームオーバーになる恐怖さえなければ今は耐えられる
引っ越しの準備を進める事に
「缶詰め重すぎるから置いて行こう」
「確かに全部は無理だからな」
「何よりテントが大きいから他の物をほぼ全部おいていくぐらいになるかな」
さらに話し合いテントの中身で今日は必要のないものをウサギ定石が運ぶ
外からかきこんだ雪を溶かしてお湯にして
バケツに入れてタオルを絞って身体を拭いたりして清潔さを少しあげておく
「いざとなっても清潔でさえあればかなり難易度変わって来るからね」
「お前ほんとうに頭がいいんだなぁ」
「ヒロさんは忘れているだけですよ」
「元々そんなに良かったのか俺」
確か肉体労働の仕事をバリバリしていた人で
勉強―――は出来ていた記憶が無い
とはいえ流石に家に帰って手洗いうがいをすれば風邪予防になる程度は
日本人なら流石に知っている気がした
「多分」
「ここから作戦はお前に任せる」
「明日はこの巨大テントを急いで東の山に運ぼうか」
「ここまで広くなくても良さげだが」
「外に出なくて事が済むから危険度がずっと低いよ」
ついに翌朝は出発する事になった
外にモンスターがいない確認
ウサギ定石が偵察結果を報告しに入ってきた
『サルがいる』
「え?」
『1匹だから倒せばいける』
「攻撃を一発あてれば倒せそうか?」
『俺の攻撃では必殺を使えばなんとか』
「全員で出よう」
「マジで?」
「猿のモンスターって『武器』は何かある?」
『牙と爪だな』
「リアルでおなべのフタを防具にする日がくるとは思わなかったけど」
それでもないよりはマシだ
全員で外にいる猿のモンスターに一斉攻撃を仕掛ける
ヒロ→ウサギ定石→太郎
『ギーッ!!』
猿が爪で攻撃してきたのをなべの蓋ですこし防ぎ致命傷を回避した
盾として多少の攻撃を防ぐことは出来たが
腕に爪が刺さってしまうものの猿はヒロが2度目の攻撃で仕留めた
「大丈夫か!?」
「怪我は平気なのでテントを畳んで移動します!!」
『了解した』
動かせない程の傷ではないと判断して3人でテントを畳む
余りの大きさに片づけて3人で持つだけで1時間弱かかるも
どうにか解体して出発する事が出来た
「動けなくなりそうなら荷物を捨てて東の山まで走るぞ」
「うん」
『……了解した』
道中で暗くなりはしたが東の山には来ることが出来た
羊の脅威に脅える事も無くなり安堵はしたものの
周辺は真っ暗であり一度野宿しなければならない
「見張りを俺がするから寝ろ」
「では交代制という事で」
『なら俺も少し休憩する』
3時間ほど寝て見張りを交代してを繰り返して朝
明るくなってから出発し少しずつ登り始める
ヒロの耳にはわずかに川の音が聞こえ近づいた
「水!」
そこまで大きな川では無かったが流れ出てはいる箇所にたどり着く
前の山では雪を溶かして水を確保していたが少量でも川の水が手に入れば喉の乾きも洗濯も出来てありがたみが凄い
やがて登り切って頂上にたどり着いた
「立地の良さが凄い!!」
頂上には5分歩けば湖があり少々濁ってはいるものの
舐めてみれば異常も無く煮沸で十分飲めそうで
さらに秋のような山模様であり枯れた草などが落ちていた
「テントを建てるにはちと広い場所が無いな」
「木を切り倒す事って可能かな?」
「あまりにも太いとMPを多少使う事になるが構わねーか?」
「これと、あれです」
頂上の周辺に明らかに邪魔な木が2本あり
もしここさえ切れればテントは張れる
MPを使うか時間をかけるかという話でMPを選択
「ソードブレイク!!」
MPの消費量が少ない技でどうにか2本とも切り倒し
1時間ほどかけてテントを設営してテントを設営
どうにか拠点を形にする事が出来た
「箱からはまーた青い奴が出て来たし」
「でも今はテントの底に張り巡らせておけるから有難く使おうか」
「腹減った……」
板チョコを少しだけ食べてはいたものの
栄養はあってもサイズが足りなくて
桃の缶詰めを開けて二人で食べる
「寒いし一度火を焚こうか」
「それには賛成」
テント周辺から焚き木を拾い集めて
中で掘ってもらった中央の穴に入れて火を付けた
久しぶりに身体をここまえ動かした為に体力がもう残っていない
「今日はもう無理」
「身体がなまった気がする」
「何日もテントの中だったからね」
『……俺は一度消える』
「え!?」
『体力を使いすぎた、3日ほどで復活する筈だ』
大きな音を立ててウサギ定石がエフェクトとともにきえた
「召喚獣だから消えても平気って事でいいか?」
「多分だけど大丈夫」
「温かいのはいいが次に山を登るならこのテントはなぁ」
「次の山の時は状況次第じゃないかな」
「まー一理あるな」
焚き火を一旦消して寝袋にくるまって眠りについた
翌朝は一言でいうと極寒
急いで焚き火を開始したものの身体はガタガタするほど
テント内に出現した箱
「なんか、光が違う?」
「レアアイテム!?」
くじびきなので1回目から当たりが出る事も当然ある
出てきたのは茶色い袋でとても辺りには見えないが
ヒロの方は目を輝かせていた
「4次元カバン!!」
「荷物がいくらでも入るアイテムですか!?」
「見た所5つまでなら重さ無視して運べそうだぜ?」
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