42話 見通し
どんなものでも物理法則を無視して入れられる鞄
数に五個の制限はあるものの
4次元ポケットなどというゲームでしか見ないもの
つくづく自分たちが何をしているのか思い起こさせる
「魔法よりもはるかに現実味が無いね」
「けどこうなると本当に話が変わってくるぜ?」
「何かいれてみようか」
土を入れようとするとはじき出された
缶詰めは入るし服も入ったがポケットの中身がはじき出されていた
せいぜいティッシュのかけらなどだが
「毛布は入れられる……スコップも可能」
「取り出すのはどうだ?」
「問題なさそう」
国民的なロボットが持つポケットのように無限に広がってはいないが
向こう側に見えているのとは違う空間があるようだ
大きな物だと取り出すのに時間がかかる
「テントは今後もっといい物が手に入らないかぎりはこれかな」
「次の山頂が刈り取る事も出来ないような太い木でまみれてるかもよ?」
「確かに」
前の山との狭間に荷物がまだあり取りにいく事に
ウサギ定石がいないのは厄介だが
着替えも食料も置いて来てしまったのだ
「鞄使えば手早く戻って来れるかな」
特に大きな事は無く2時間で下山し荷物を取り
5時間弱かけてテントまで戻ってきた
一方で向こうはそろそろ移動しないと薪がキツイらしく
思ったより物資の消費は激しいのだと痛感した
幸い今の拠点であれば4人で生活する事も出来ない訳ではない
「かなりの山を越えてくる必要があるから数日かけての移動になるね」
「あのガキがそこまで移動できるか?」
「それは大丈夫そうだけど量が運べないから」
「迎えに行く形にするか?」
「食料や水がかなり深刻みたい」
「二人で迎えに行くか」
翌日の朝に出発
もう水が無いという連絡が来たのでかなり急いだ
この状況で脱水されると上まで登らせるのが難しい
1時間弱で山を降り切って合流した
「水のんでほら」
「食料もあるぞ、ほら」
缶詰めとフォークを渡した
寒い中で温かい物が食べさせられないのは厄介だったが
今はすぐにでも栄養をとって貰う必要があった
「まだ動けるか?」
「ウチは大丈夫なんやけど彦星が」
「水も飲んだし休憩すればなんとか」
「身体の冷え具合なんかも考えると背負う方が早いな」
ヒロが彦星を背負った
4次元カバンのおかげで水の重さに悩まずに済み
そのおかげで5時間キッチリの時間を使い拠点に戻ってくる事が出来た
「温かいわね……このテント」
「すぐに焚き火するからな」
薪を焚き火用の穴に入れて火を付けた
テントの中が温かくなっていく
ヤカンにお湯を沸かして薄味のスープを4人で飲む
「温まるわね」
「二人が無事でとりあえず良かった」
「ウサギ定石がおらへんけど?」
「じきに出て来るとは思う」
怪我もないし鞄もある
更に箱から出たのがカロリーバー
レアアイテムはもう確保した為に次のカ所へ行く必要がある
翌朝にウサギ定石が復活した
『今、ここに戻った』
「久しぶりやんな」
『状況を教えて欲しい』
皆から状況を説明されたウサギ定石
結論として次の山に様子を見に行ってもらう事に
スマホで見る地図からして次は『雪』オンリーの可能性が高かった
真夜中に今朝出発したウサギ定石が帰って来た。
「どうだった?」
『雪が4cmほどつもっている見通しがいい山だ』
「問題はヒツジがいるかもしれない事かな」
「げぇ……」
ヒツジの脅威があるからといって進まない訳にはいかない
本当に高い雪山を登るのに足りない装備がいくつもある
最低限でも『梯子』が欲しい
「そんなにいるんか?」
「上に2m程度なら登り降りは最悪てでも出来るけど問題はクレパス」
「谷って意味よね?」
「ヒロさんも渡れないって時は上下っていううより穴なの分かるかな」
「確かにデカい穴を簡易な橋で渡れれば何倍も楽になるな」
「防寒具も今のままだと太刀打ちできない」
『冬山に挑む本格的な防寒具』
「服はあるのにか?」
「防御力40ぐらいの装備で魔王に挑むのと防御力300の防具で挑むぐらい差が」
「そこまでなんだな」
最終的な極寒に耐えるだけの装備は絶対に必須条件
欲しい物を書き出していく
『梯子』『防寒具』『温められる食料』『雪を溶かす道具』
「冷たいものを摂取すると体温は一気に低下するから」
「雪を溶かす道具ってなんや?」
「主にガスコンロで、コンロはあるからガスボンベさえ手に入れば解決出来るよ」
「雪食べて」
「ダメ絶対、雪を食べると体温が持ってかれすぎる」
さらに現時点で次の雪山をどうするかが本当に困った
「レアアイテムって奴さえ手に入ればいいんだよな?」
「そうだね」
「飛ばしちまうのはどうだ?」
「飛ばす?」
「さっき見せて貰った地図だとほら、次の山」
レベルが低いのでヒツジが出ない
「……ごめん、それでも次の雪山には行きたい」
「まじか」
「ここから先ずっとヒツジの恐怖とは戦う事になるよ」
「チッ」
「たとえ脱落者を出す事になっても行かなくちゃならない」
「本気でゆずれないんだな」
「うん」
「4人全員で行くのか?」
「2・2で別れる」
気温が温かいのもあり水も豊富な拠点
風呂とまではいかないが体中を洗うだけの余裕があった
そこで皆が一度清潔に
「なんかもう裸に慣れたな」
「アタシはもう少し隠すとかしてほしい所だけどそうもいってられないわね」
「彦星の裸体をカメラに収めたいてもええ?」
「止めなさい」
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