35話 雪山


翌朝の寒い中で起きた

気温は最悪に思えたが天候は時々晴れ間が見える

そこで朝食をすませて登り始めた



「止まれッ」

「え?」

「ペースが早すぎだ、俺たちが危ない」

『……』


ヒロとウサギ定石の二人(?)はテントを抱えている

しかも足場の悪い雪山

止めて貰えなかったら大事故の可能性があった


「ごめん」

「焦らずゆっくりで行くからな」

「ウサギ定石は疲れてない?」

『まだいける』


こうして登り出したが洞窟を発見する

普段のゲームなら絶対に入る

現実で雪山に居る時こういう洞窟を見つけたら


「静かに」

「どうした?」

「洞窟があるんだ普通の動物かモンスターの巣かも」


無茶はしないという取り決めだったのでゆっくりと通り抜ける

やがて大声でも洞窟に届かせるのは難しい場所まで登ってきた

かなり寒く感じるが引き返す条件にはまだ到達しない


「ウサギの毛皮あったそうだな」

「言い方」

『ダメージを受けすぎると消える仕組みになっているから無理だ』

「やらないよ!?」

『だが俺は寒さでダメージを受けない』

「こおり耐性があるのか」


ゆっくりと登り頂上に着く頃にはもう13時:20分

箱が見えた瞬間にかけ寄った

危ないと注意されるだけで済んで良かったと思う


「あっ!!」

「これ『がす』だよな」

「周辺に木が無いこの山だとかなり嬉しいね」


食料では無かったが火が長時間つかえるようになれば

体力も温存できるし心も休まる

実はこの山に行くと決めたのは心の問題も大きかった

徐々に減っていく食料の恐怖は想像以上

気を使っている仲間たちだが精神的に参り始めていた


「テントを張って身体を全力で休めるぞ」

「そうだね」


テントを張って雪をあつめて鍋に入れて

煮沸も兼ねてガスコンロで沸かしスープを飲む

荷ほどきを終えると寝袋で二人とも昼寝に近い眠り方をして


目が覚めたのは夜


「箱を見てきます」

「モンスターが出るかもしれないし俺も行く」

『俺はテントを見張っています』


箱が出現していたので確認

なんと靴が2セット

山登り用のしみない足首をガードする物

本来は絶対な必需品である登山靴(トレッキングシューズ)

ようやく手に出来た


「防御力の高い靴って事か?」

「そうですね」

「確かに温かそうだな」


今まで使っていたものが限界だったので有難く履き替える事に

雪に対しても滑る気配が無く

どうせならもっと早く欲しかったがこれから登る山を考えれば



「これから先でかなり使えそうだね」

「向こうからの連絡は?」

「大きな事は起きていないってさ」


こちらは登山靴を手に入れた事だけ連絡

テントに戻って耐久を開始

寝袋を被って寝られるだけ眠り途中で凍えかけたのでスープを温め直し飲み


朝に外へ出たら雪は1cm程度のまま

昨日のままではなく地面で溶けた上に新しい雪が降って1cm

目印があっという間に雪で埋まる為周辺の探索も難しい


「箱だけ確認だね」

『俺は下山して焚き木を集めるか?』

「体温を使いたいからいて」

『了解した』


ヒロが箱に触れた瞬間『毛布』に変わった

そこで絨毯の代わりとしてテント内に敷きつめる

地面からの冷気が減ったのでテントはかなり温かい


「かまくらとか作るにしても雪が足りねーなぁ」

「いずれ必要がありそうだね」


朝食に温かいスープとチョコを食べ


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