29話 LV5
「野宿にならないようにここでテントを建てようか」
「そうね」
他人感覚から義理の弟としゃべっているような感覚へ
実際そうなのだろうし世界が見えてきた
妹がこの世界にいる気配が無い事から見て何かあったのは妹のソラミ
「思ったより進めなかったけど」
「けど寝床を確保したのは大きいわ」
「寒さもこれぐらいなら我慢できそうだね」
カロリーバーを食べて(軽いので食料として持ってきた)
水分をしっかりと取ってトイレを済ませ
外が暗闇になる中でテントの中を整理する
「毛布も持ってきたし床に敷くかしら?」
「夜中に冷えるかもしれないからね」
「明日になって天気が晴れなら即刻出発しましょう」
翌朝は天気が雲一つない快晴
正しくは隣の山は曇っているが現段階は上に雲が無い
荷物をまとめて出発すると連絡をして移動を開始
「うっわ」
「どうし……嘘でしょ?」
LV5の山は『雪』だったのだ
少しも降り積もってはいないが微かに舞い落ちていく
外気温は相当低いが今までの感覚で過去最高とは言えなかった
「でも『雪』だけだね」
「だけ?」
「地図のアプリで晴れも無ければ雨も無い一生この程度の『雪』だって事」
「アタシはまだいけるわ」
こうして登り始め
今までとは違った冬の景色に戸惑いながらも大きな問題は起きず
小さいが川も発見した
「水の運搬ってかなり課題になるのでこれは有難いですね」
「頂上までここから数時間かかりそうだけど」
「見つからないよりはいいからさ」
「生水だし飲むなら出来れば煮沸したい所ね」
「持ってきた量にかぎりがあるから飲まない訳にはいかないかな」
こうして水を汲み数時間かけて頂上にたどり着く
広間のようにはなって無かったものの箱を発見
触れたら『カイロ』に姿を変えた。
「食べ物では無いけど悪く無いね」
「もう暗いしテントを急ぎましょうか」
ヒロ・久利巣のチームは着替え・紐・ティッシュ
相変わらず薪の問題はあるが大きな事は起きていないと報告が来た
テントの設営をして中に入りまずは残っているカロリーバーを2本ずつ食べる
「ちょっと相談があるの」
「何かな」
「既にかなり暗いけれど周囲は確認しておきたいわ」
暗い中で動く危なさはお互い承知の上
確かに周り次第では状況が変わる
たとえばすぐ傍に崖などが在って少しうろつくだけで落ちてしまう
モンスターの巣穴が近いなど可能性は大いにあり確かに確認はしたい
「引き上げると僕が言えば即時に中止してテントに」
「それでOKよ」
持ってきたランタンで周辺を照らす
箱の付近に危険そうなものはなく
さらに捜索範囲を広げれば枯木が大量に落ちている
というよりは『大きな木』が数本ほど倒れた場所が
「これどう見るかしら?」
「爪のあととか無いし突風や地震で倒れたのかな」
「薪問題はこっちの拠点ならしばらく無さそうね」
さらに周辺を調べたが崖や危ない岩などもみつからず
かなりの暗闇で明かり無しでは自分の手すら見えなくなり
二人でテントに戻って就寝する事に
翌朝の箱はまさかの
「缶だけど緑茶!!」
「俳句が書いてありそうな緑色ね」
「水をとりに行く必要性が薄くなったからかなり有難いね」
「……本数がやけに多いわね」
合計26本も入っていた
必要な水分量を考えればおよそ1日3本
二人の場合は6本消費したら4日と少しを乗り切れる
メールが届いてスマホを確認
『箱が出たんやけど石鹸やったで』
こちらはお茶の缶が出た事を報告し動き始める
拠点をこちらに移すべきか否か
結論から言えば満場一致で移すことが決まった
『こっち滅茶苦茶に寒いせいで薪がもう足りひんしコンロの火は長持ちせんから』
凍え死ぬ前に移動を開始する事に
しかし荷物の量が多くヒロだけでは運びきれない
久利巣では当然ほとんど持てず
「1度に全部は諦めるとして判断は任せるしかないわね」
「久利巣さんについて僕あまり思い出せなくて」
「ふむ?」
「現代知識は久利巣さんの方が上っぽかったよね」
「アタシの方はヒロコ……ヒロさんについて詳しく知らない」
「え?」
「一般家庭で義理の兄がいるとしてまだ付き合って無い彼女さん候補よ?」
確かに出会いはオンラインゲームで
現実世界の記憶がほとんどない
ほんとーーーーに唯一はオフ会しか覚えて無くて
『写真とってそっちの様子おくってくれへん?』
こちらの様子を写真で撮りメールに添付
『途中まで行ってある程度の荷物を運んで元の拠点戻って1泊でどや?』
これは何よりもテントが重い為の措置で
賛成してタロウ・彦星チームは水の確保と薪集めに別れて向かう
持ってきたブルーナイフで薪を細かく切って運ぶ
「戻ったわよ」
「水は確保できた?」
「バッチリ、薪の方もずいぶんと集まったわね」
燃え移らないように落ちていた葉っぱをかきわけて
そこへ燃えやすいものを投入していき
ライターで着火すれば問題なく焚き火は出来た
「箱が出てるわ」
「お兄ちゃんがまず触るから―――あっ」
何かものすごく恥ずかしい事を言ったような気がして
顔をおさえてちぢこまっていると
「恥ずかしがってないで早く触ってくれるかしら?」
「ごめん」
箱に触れたらまさかの『ヤカン』
銀色でよくあるタイプの持ち手がついている
スープなどはもって来ていないものの
「鍋の代わりに出来そうね」
「昼ごはんを食べたらありったけの薪を集めておきますか?」
「何で敬語に戻るのよ」
「カロリーバー美味しい」
「いつもの調子を取り戻してくれたようで何よりだわ」
夜まで薪を集め続けて暗闇に
彦星と二人で残り少ないカロリーバーを少しずつ食べて
寝袋で眠りにつく
ザザッ
「彼氏になるか俺に一生プロポーズされつづけるかどっちがいい?」
「ラーメン食べに行く手前ですよね僕ら!!」
「つい思った事が口から出た」
「からかわないで下さい」
「お前がじれったくしてるから、まぁ、最悪の場合寝込みに子供でもこしらえるか」
「止めてね!?」
ザザッ
「あらおはよ」
「ヒロさんに振り回されていた事を思い出しました」
「確かにアタシとも―――これペナルティになりそうだから止めておくわ」
「まずは出発して受け渡しですね」
「箱の確認もよ」
出現していた箱に触れるとスープの粉×26袋
レベルが上がったからか個数も多い
焚き火をしてヤカンでお湯を沸かしてスープを飲む
「紙コップがあって良かった」
「身体の中が温まるとやっぱり効くわ」
向こうではコートっぽいものが出たが重いので置いて行くとの事
そこでタロウと彦星はリュックだけ背負って山を降りて
12時を過ぎるころには無事に山と山の境界線で合流した
「ではこれらの荷物を持って僕らは拠点に」
「怪我とかねぇだろうな?」
「大丈夫ですよ」
「不安でも俺たちが必ずついててやるからな」
抱きしめられるし妙に柔らかいしいい匂いした
アメリカ人なら別に不思議はないと心を落ち着かせ
やがてタロウは虚空に向かって
「ダイジョウブケガナーイ」
「パニックになってへん?」
「それより荷物を運ぶのいそぐわよ」
「あ、はい」
主に道具をまずは運搬
鍋・ペットボトル(空)・火鋏(トング)・着替えの類など
何より有難かったのはスコップで穴を掘れる事
持って登り夕方ごろには山頂に戻ってきた。
「どうにか運んでこられたわね」
「食料が不安ですから1人1箱の半分とスープにしましょうか」
「疲れて来ると敬語になるのかしらね?」
スープだけはあるので二人で2杯ずつのんで腹の足しにした
もう2箱しかないカロリーブロック
人が食べる量の多さを本当に実感した。
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