第2話 おい、全然有意義な会議にならねぇじゃねぇか
昨日、生徒会室にて自己紹介を行い、本日から本格的に生徒会活動を始める。
俺が生徒会室に入ると…
「センパイ!もうみんな席に座ってますよ!」
春菜ちゃんが大きな声で、俺に注意してくる。
「あぁ、すまん。ちょっと職員室に寄ってたから遅くなった」
俺は3人に謝り、そのまま本題に入る。
「さて、さっそくだが、今日の議題はこれだ」
生徒会室にあるホワイトボードに議題を書き込む。
「『学校行事について』か」
「そうだ。今日は今年一年の学校行事について話し合う。この行事は必要ない等なんでもいいから意見がほしい。ではさっそく……」
「はいはーい!」
春菜ちゃんが勢いよく手を上げる。
「お、なんかいい意見があるんだな?」
「はい!ウチは常々思ってたんです」
(おぉ!常々思ってたってことは期待できるぞ!)
「なんで学校行事の中に……テレビゲーム大会がないのかを!」
「そんな行事できるわけないだろ!」
俺はすぐに否定する。
「ダメですよ!しっかりとウチの意見を聞いてくれないと!」
「た、たしかにそうだな。何かしらの正当な理由があるかもしれん」
俺は春菜に理由を教えるよう促す。
「理由はですね!ウチが学校でもゲームをしたいからです!」
「私欲のためじゃねぇか!」
全然正当な理由ではありませんでした。
「待ってください!ウチがそう思っているということは、この学校の生徒も絶対思ってることです!」
そう言われて、俺はカエデと雪野先輩を見る。
すると、2人とも首を縦に振る。
「ほらっ!というわけで、是非、学校行事にテレビゲーム大会を加えましょう!」
「そうだな。みんな頷いてるから加えても……って、できるかァァァァ!!!!」
俺はカエデや雪野先輩にもツッコむ。
「えー!それを加えるだけで、全校生徒からのセンパイの評価がナマズのぼりするのに!」
「俺の評価がナマズのぼりってなに!?」
(急上昇する感じがしないんだが!)
「と、とにかく!ダメなものはダメだ!」
「ちえっ!センパイの堅物!頑固!ロリコン!」
「ロ、ロリコンじゃねぇよ!」
唐突に罵倒される。
これ以上は俺が聞く耳を持たないことを理解したのか、春菜ちゃんが話を止める。
その様子を見た俺は次にカエデに話を振る。
「カエデは学校行事のことで何か意見はあるか?」
「そうだな。これに関してはアタシも常々思ってたことがあるんだ」
「お、それはなんだ?」
「あぁ、それはな」
ここでなぜか溜めを作るカエデ。
そして大きく息を吸って…
「なぜ球技大会があるのに、球技を使わない大会がないのかということを!」
「…………うん?」
「つまりは、サッカーやバスケなどボールを使ったスポーツ大会は学校行事としてあるが、柔道や剣道など、球技を使わないスポーツ大会がなぜか行われない!」
「そ、そうだな。たしかに俺も聞いたことはないな」
「だろ!?これだと球技を使う部活生がチヤホヤされて柔道部や剣道部の子たちがチヤホヤされないではないではないか!」
「そ、そういうものなのか?」
「あぁ!女子なんて球技大会で活躍した男に『キャー!』とか『ギャァァァァ』とか言ってチヤホヤしたくなる生き物だからな!」
「『ギャァァァァ』って言葉はただの悲鳴だ」
「つまり!球技を使わない大会を今年は開催すべきだ!」
「な、なるほど………これはアリかもしれん!」
「だろ!よってここに第1回、天下一武○会の開催を希望する!」
「今の話の流れからそれじゃねぇだろ!」
(怪我人続出なんだけど!?)
「馬鹿野郎!天下一武○会だぞ!?もしかしたらミスターサ○ンに会えるかもしれないんだぞ!」
「会えるかァァァァ!!!!」
俺はカエデに向かって叫ぶ。
「バカなの!?天下一武○会なんか開催したら、学校のみんなが怪我人だらけになるわ!」
「そんなの、気合と根性でなんとかしろ!」
「却下だ!」
俺はカエデの案を否定する。
「あーあ、いい案だと思ったのに」
そう言いながらカエデが諦める。
(やっぱり、頼れるのは雪野先輩だけだな)
そう思い、雪野先輩の方を向く。
「雪野先輩は学校行事のことで何か意見はありますか?」
「そういうことなら私もあるわ。常々思ってたことが」
(このパターンはあんまり信用ならんが、雪野先輩なら大丈夫だろう)
「それはなんですか?」
「えぇ、それはね。なぜ、体育の学校行事はあって、保健の学校行事はないのかしら……と」
「………………」
(え、俺、この話を広げたくないんだけど……)
そう思うが、スルーすることなどできないので…
「な、なぜそう思ったのですか?」
「それはね、体育の授業って『保健体育』の括りよね?なのに、体育大会や球技大会など、体育の方だけ大会が開かれるのは間違いだと思うわ」
「つ、つまり?」
「エッチな大会も開くべきだと思うわ」
「やっぱりそうなるんかい!」
想像通りの返答が返ってくる。
「あら、おかしなことは言ってないと思うわ」
「いや、理屈はそうなんだろうけど!」
(エッチな大会とか開けるわけないだろ!)
「あら、これは拓海くんにとって嬉しいはずよ?」
「な、なんでですか?」
「それは拓海くんが童貞を卒業することができるからよ」
「お、おおお俺は童貞じゃねぇ!」
(なんてこと言ってるの!この人は!)
「へぇ、それは興味深い話だわ。是非、詳しく聞きたいわね」
「アタシも詳しく聞きたいな」
「ウチも聞きたいです!」
(そこに食いついてこないでよ!)
なぜかみんなが俺の発言に食いつく。
誤魔化そうと思うが、童貞に誤魔化し方がわかるはずもなく…
「嘘です。俺はまだ童貞です」
俺は顔を赤くしながらカミングアウトする。
(美少女3人に向けて何を言ってるんだよ。一歩間違ったらセクハラで通報ものなんじゃ……)
そんなことを思っていると…
「あ、もしもし警察ですか?今、女の子3人に向けて童貞宣言した変態が目の前にいます。逮捕してください」
「わー!雪野先輩!何やってるんですか!?」
俺は慌てて雪野先輩に詰め寄る。
「何って、童貞宣言した変態に襲われそうだから警察に通報しただけだわ」
「そ、そんなことしませんから!」
「そうよね、チキンで童貞の拓海くんは襲ったりできないからね」
「………そうなんです。だから通報はやめてください」
(これ、否定したら通報しようとするやつだろ…)
俺は抵抗するのを諦める。
(おい、全然有意義な会議にならねぇじゃねぇか)
俺はそんなことを思った。
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