第17話 全素粒子統合計画
「まず、物の移動に関して説明させて欲しい。妾のタイムマシンには若干、瞬間移動的なニュアンスも含まれているからね……さて、アリスさんはどういう特性を持つ物質が速く動けると思うかな?」
「速く?うーん……軽い、とか?」
「軽さか、いいね。じゃあその軽いとか重いって概念はどこから来ているモノだと思う?」
「えっ、それはどうかしら。確か宇宙では物の重さが関係無くなるって聞いた事あるから、重力……とか?」
「うん。確かにそういう考え方もあるね。まぁ総じて相対的な物ではあるんだけど、結局のところ素粒子間での情報伝達における抵抗の大きさが肝なんだ」
「抵抗?」
「そう。例えば水の中を移動する時は空気中より動きが鈍くなるだろ?手を動かす為には、手の移動先の水を掻き分けていかなきゃならない。更に水の代わりに泥や、小さな金属玉を敷き詰めた空間をイメージしてくれ。粒が大きくなればなるほど抵抗は増えて、ひとつの動作に多くのエネルギーが必要になる。イメージ出来るかな?」
「なんとなく……?」
「その粒を掻き分ける移動が、全ての領域で起こっているんだ。実際に重い物を移動させるのに大量のエネルギーが必要になるのは、その重い物を構成している粒子が空間を移動する為に掻き分けなきゃいけない粒の量が非常に多いってワケさ。逆に光なんかはその抵抗が殆どない為に、とんでもない速さで移動する」
「うーん……」
「ごめん、分かり難いかな。じゃあもっとシンプルにしよう。ある物質に電流を流したとして、その抵抗が少なければ通電するけど、抵抗が大きければ電気を通さないよね。それどころか、熱を溜めて溶けてしまう物すらある」
「あぁ、それは分かるわ。理科で習った事があるもの。オームってやつよね」
「その通り。あの抵抗の正体は電流の自由電子が導体の金属原子にぶつかる回数なんだ。人通りの多い道を想像すると分かりやすいかな。道が細いとぶつかりながら進む事になるけど、道が大きければ誰もぶつかり合う事なくスムーズに移動できるだろう」
「うん、そうね。イメージ出来たわ」
「そしてその抵抗は、電流に限って起きる事じゃないって事なんだ」
「つまり……重い物質は、空間での抵抗が大きいから移動しにくくなっていて、私達はそれを重さとして感じているという事?」
「その通り!妾はそれを情報移動の抵抗と定義した。そしてその抵抗が無くなれば、あらゆる物が光速……いや、それを超えた限界値の速さで動けると結論付けたワケだ」
「なるほどね、少しだけ理解できた気がするわ」
「ありがとう。で、肝心の抵抗を無くす方法なんだが、力を司る粒子との兼ね合いが非常に厄介だったんだ。そして結論から言うと世界を構成する素粒子達に統合的な意識をもたらし、そいつの感情によって抵抗値をゼロにする事にしたんだ」
「感情で……?」
「そう。凡ゆる物において、移動時の抵抗を物理的にゼロにする事は不可能だった。だから妾は彼らに全ての知的生物が最終的に辿り着くべき共存の思想を植え付けて、擬似的な無抵抗状態を作り上げる方法を考えた」
「その方法が、素粒子に意識を持たせる事だったのね」
「初めて意識を持たせた時、彼らの振る舞いはとても野生的で、原始的だった。彼らの文明レベルを上げ、知能を高めさせて共存の意識を目覚めさせる為に妾は試行錯誤し続けたんだ」
「争う必要性がある、と言っていたわね。平和的な解決の方法を教えるだけではダメだったの?」
「前にも言ったが、妾は彼等を使って何度も実験してる。その結果、彼らにどれほど理論的な最適解を示しても実践に勝る事は無かった。成長せず時間切れになったりね……結局、一度は戦争を経験させなきゃ上手く軌道に乗らないんだ。百聞は一見に如かずってやつさ」
「分からないなりの質問なんだけど、試行回数とか、時間切れっていうのは……」
「あぁ、この世界は最初の発生から終わりを永久に繰り返しているんだ。例えるなら振り子の様なモノかな。物質が拡散の方向に進んでいる状態から、拡がり切った後、収束の状態になって原初に戻る。つまりずっとテープを再生→逆再生→再生……と繰り返しているんだよ。その周期毎に妾は観測を続けて、上手く素粒子の意識がハマるタイミングを待っていたワケさ」
「ごめんなさい。質問しておいて悪いけど、やっぱり難しいわ。私には理解出来ないかも」
「そう?逆行エリアはそれを利用した原理だからそんな難しい理屈じゃないと思うけど……まぁ、いわゆる世界線ってヤツだと考えてくれたらいい」
「なるほど……ね?」
「時間切れってのはその周期の中で宇宙が拡散し切るタイミングなんだ。一度収縮を始めたら、次の周期を待つしか無いからね」
「最終的な目標を私に教えなかった理由は?」
「それはアリスさんが、この世界の集合意識を司る存在に匹敵する可能性があったからさ」
「えっ?」
「君はこの世界の外から来た。だから本来はこの世界のルールに縛られない筈なんだ。然し、君の常識は非常にこの世界に適合していて、寧ろアリスさんが居た世界よりこっちの世界の方が奇妙な振る舞いをする様に見えるらしい。つまり、感情や想いといった方の力の大きさだ」
「それは確かにそうだったわ。気の持ちようが全てにおいて優先されるなんて、私の居た世界では考えられない事ですもの」
「然しそれが、実のところ総てにおける大原則なんだよ。妾の実験によって、より物理的な干渉を引き起こす形になっている事は否めないけどね。話を戻すと、君が妾の本当の企みを知った時点で、その意識がこちらの世界に紐付けられて、彼らの意識が純粋にならない可能性があったんだ」
「私の意識が、この世界に紐付けられる……?」
「あぁ。素粒子達はこの世界そのもの。つまり外世界からやってきた君という存在に対して非常に敏感になっている。その君が、この世界の法則を捻じ曲げるくらい強力な概念を持っていると判ったら、何処かのタイミングで必ず気付かれる。妾の理論の有用性を理解する前で潜在的なところにそれがあると、警戒される可能性があったんだ。彼らにはあくまで"自力で"平和的共存の道を志して貰う必要があったのさ」
「あの……ごめんなさい、ちょっと気になったんだけど。この世界自体がアナタの理論を警戒するなら、アナタ自身の意識はどうなるの?アナタはこの世界の住人でしょう?アナタの意識は決してこの世界とは切り離されないわよね」
「そうだな、例えは悪いが……妾はこの世界にとってのガン細胞とでも言うのかな。そして君は花粉さ。花粉に対してはすぐアレルギー反応が出るだろう?」
「な、なるほど?」
「だから計画が成功するまで、アリスさんにだけは説明するワケにいかなかったんだ。申し訳ない」
「大丈夫、いま教えて貰えたから……それで、とにかく計画は上手く行ったのよね?」
「あぁ。シナリオはこうだ。グリ族とホム族は長い争いの果てに、共通の敵を見出す事で休戦。共存の道を選ぶ。そして共同体としてのホル族が生まれた後……ここが重要なんだが……過去を振り返り、歴史を誤りと認識する」
「その誤りって言うのは、クワーティを邪神と見做した事?」
「いや、そっちじゃ無い。それよりもっと前、グリ族とホム族が互いに争う選択をした事だ」
「詳しくお願い」
「彼らは互いのコロニーを認識した時、最初から共存の道を選ぶ事も出来た。だがそうしなかった。何故なら何処かで相手を疑っていたからだ。本当に信頼出来るのは同族だけだとね」
「まぁ、その考えは分からなくも無いわ。初めて知り合う他人の事をいきなり信じるなんてとてもじゃないけど無理よ」
「一定の知能を持った生物が個としての思考すれば、確かにそう思うだろう。妾が目指したのは彼らにその不信感は不要なモノだと信じさせる事だった」
「最低限、必要な考え方だと思うけど……」
「別に、そこの解釈の一致は求めていないさ。互いを敵と見做した状態の競争下で生まれる発展よりも、互いに協力する事で生まれる切磋琢磨の方が持続可能で、全体最適解に近いというだけの話だ」
クワーティの話を聞いて、ふと思い出した事がある。20世紀にあった宇宙開発の話だ。
当時、冷戦の真っ最中だったアメリカとロシアは技術力を誇示して相手を牽制する為、宇宙開発の名の下に熾烈な技術競争を行ったという。そもそもの始まりは第二次世界大戦におけるロケット兵器の功績で、軍事開発を大っぴらに発信出来ない事から月面探査を謳ってロケットの技術開発をアピールした。つまり、先に月面着陸を成功させた方が世界の中で最高の技術、軍事力を誇る国という立場になり、政治的な利益を得られるのだ。
そんな危ない理由で始まった競争の結末。アポロ11号の月面着陸は人類の叡智の結晶、科学技術における華々しい到達点として世界中の人々から称賛を浴びた。万国博覧会での月の石の展示は未来への希望の象徴として人々の記憶に刻まれる。
……歴史の先生が言っていた。「万国博覧会は今でこそ世界平和の祭典になっているけど、昔は自国の権力アピールの場だったんだよ。つまり戦争での戦利品や高価な芸術品などを持ち寄る事で、私の国はコレだけ凄いから逆らわない方が良いぞ、と牽制し合っていたわけだ」
そうだ。歴史が示している。人々は争いの後に平和を目指す。平和を願う人々は争いの無意味さ、悲惨さを知っているから声を上げる。仮に一度も争いが起こったことの無い世界があったとしたら、その世界に"平和"という言葉はそもそも無いんじゃないだろうか?
クワーティは、平和の必要性を示す為に争いを起こすと言っていたけれど、平和の有り難さを知る為の争いって何?本当に、その犠牲は必要?あぁ、もう訳が分からなくなって来た。私だって、世界中の人々が手を取り合って生きる世界が一番平和だと思う。誰がどう考えたって、同じ星に生きる同じ種族が殺し合う必要は無いはずだ。なのに何故争いは止まないのだろう?世の中をより良くしたいと願って生まれた発明が、邪な考えを持つ者によって悪用され、不幸を生んだ事例は数多くある。全員が願うはずの平和が上手くいかないのは何故?もしかして、何処かに居る悪のせい?悪……純粋悪、とまではいかなくても、自分だけが得をすれば良いと振る舞う人は一定数居る。そういう考えがある限り、優しい人達が幾ら努力をしても無駄な気がする。
じゃあ、なぜ彼等は個人の利益を優先するの?自分が一番可愛いから?いや、恐らく違う。きっと彼らは怖いのだ、他人に裏切られる事が。個人の力を増そうとするのは、その裏返し。ただ自分以外を信じられないのだ。牽制し合うのも、徒党を組むのも、全ては他を信じられない事が原因だ。だから、宗教が……いや、ならば信じられる共通の思想があれば平和が生まれるはず。何故そうならないの?国家という枠がそれをさせない?個人という概念が競争を生んでいる?人間以外の生き物は?昆虫も、動物も、生きる為に争い合う。無性生殖の生物と有性生殖の生物は明らかに互いの生殖方法を使って戦争をしている。生存戦略の戦争を――もしかして、全ての存在は争い合うようにプログラムされている?そもそも誰もが無意識の内に、不幸な事は自分の知らないところで起きてくれと願っているとしたら……自分が同情すべきだと認識している世界、それ以外には無関心で居られるよう境界線を引いているとしたら。クワーティのやろうとしている事は、つまり……
「……アナタがやろうとしていた事って、本当に難しい事なのね」
「まぁね。けど成功したさ。とにかく!ホル族は戦争時代に先祖が互いを出し抜こうと技術開発を進めた競争の成果よりも、和平後にその壁を越えて共同研究をした際の成果の方が良いと理解したんだ。だがホル族には未だ戦争での憎しみが忘れられず、互いを憎み合う一部の過激派も居た。確かに過去の過ちを忘れてしまうのは御門違いだ。だが共存による発展に必要なのは憎しみじゃなく、許しなんだよ。許しって言うのは本当に賢くないと出来ないことなんだ。そして彼らは根強く、そのとても難しい意識の転換を図り続け……成功した。反省と、許し。その二つを納めて漸く、妾という存在を認めてくれたんだ。つまり悪いのは妾ではなく、他を認めようとしなかった自分達だと宣言してくれた訳だね」
「アナタが最後に渡した発明品っていうのは、一体なんなの?」
「あぁ、知識だよ。この世界の成り立ちと、彼らの存在自体を説明した……つまり、今まで争っていた彼らは元は同じ一つの存在で、ただ世界の始まりから拡散する動きによって分裂しただけの同一の存在……当然、それは彼ら部族に限った話じゃ無く、全ての存在が元は一つだって事で、"他者"なんて居ないと悟らせたんだ。一は全、全は一ってやつだ」
「それで、それを彼らが知ってどうなるの?
「彼らはこの世界を構成しているそのものだからね。例えるならニューロンがバラバラに意識を持っていたところに、君達は一つの脳みそなんだよ、って教えてあげたってところかな。本来の動きを取り戻して今、この世界の素粒子は全ての情報をただ受け流す役割に徹している。物理的な抵抗値で言えば全く無抵抗の状態になったんだ」
クワーティは話しながら、部屋の望遠鏡の様な装置を示して見せた。
「そしてこの装置を使えば、我々は光の照射と同じ様に特定の場所へ移動出来る。この世界はエリアが分かれているだろう?これを使えば、干渉を一切受けずに全てのエリアに光を当てる事が出来て、即ち好きな時間と場所に移動出来るんだ」
「好きな時間と、場所に……」
「あぁ。君が探している、マクガフィンの居る場所にもね」
「!!!」
「だが、当初アリスさんが望んでいたマクガフィンと会う為には、アリスさんの中の時系列としては過去に飛ぶ事になる。逆行エリアに入る前のあのタイミングだ。ただ助言させて貰うと、君が本当に自分の願いを叶えたいのなら、そこに戻るのはお勧めしないね」
「……それは、どうして?」
「今のアリスさんなら理解出来るだろう?」
「それって、どう言う意味かs……」
私が理由を知ろうとした途端。ぎゅるり、と意識が進んでいった。マクガフィンを止めようと何度繰り返しても説得出来ず、彼が逆行エリアに入って戻らない未来……
「アリスさん、君がここで目覚めた時、普段と違う感覚にならなかった?」
「え?あぁ、確か、今いる場所をどこか別の目線から認識していたわ」
「素晴らしい!きっと、君はいま"四次元の目線"を持っている状態なんだ」
「四次元……?」
「そう、この世界を一つ上の次元から観測しているんだよ。まさか、ここまで上手く行くなんて……」
「その、四次元の目線って言うのは一体なんなの?」
「例えば、展開図。二次元に生きているモノには、三次元の立体は展開図として平面にしなければ認識する事が出来ない。対して三次元に生きる我々が平面図を見れば、一目でそれがどういうモノか全体を認識できるだろう?四次元の目を持てば、三次元の構造体でも、まるで平面の展開図の様に内部まで一気に全体情報を把握出来るんだよ」
「えっと、どうしてそんな能力が私に?」
「外部の存在としてこの実験に参加した時点で、アリスさんは特殊な観測者足り得たんだ。そして、何万回もの試行の果てに今回の世界線に辿り着いた……素粒子同士の情報共有に抵抗が無くなった為に、本来警戒されるべきアリスさんへの敵意も無くなり、より有利な情報視野を与える為に、存在の次元を引き上げる事になったんだと思う」
「あぁ、本当にアナタそれを理解して言ってるの?何が何だかまるで分からないわ!」
「大丈夫、あくまで仮定の話だよ。ただ、そのお陰で今、この場所でのアリスさんは色んな事が無意識に理解出来るはずだ。どうかな?あの時点のマクガフィンに会う事が得策では無いと、理解しているだろう?」
「え、えぇ。本当に、予感程度のモノだけど……コレが、その四次元の視点なのね……」
「素晴らしい!では、後は任せたよ。アリスさん。では妾は華々しい功績と共に、あの男に会いに行くとしよう」
そう言うと、クワーティは椅子に座り望遠鏡を覗き込んだ。彼女の脳内が光に溢れるのが見える……そうか。そうだったのか。私は理解した。彼女は自らを認めない周囲の愚鈍さを恨んでいた訳でも、自分を裏切る立場を取ったフーダニット卿を嫌っていた訳でもなかったのだ。
彼女がここに籠って実験を続けていた理由……それはただ単に、自らの手で実験を成功させ、理論の正しさを証明する為だった。誰かに認められたいとか、そういう話では無い。この実験が成功しなければ、彼女は自分で自分自身を信じられないのだ。そしてそれは、見事に結実した。だからこそ今、彼女の翅はこうして神々しく伸びているのだ。もしこの発明を世界中が非難しても、その翅が萎れる事はないだろう。彼女はただ自分の信じた事を、自分の信じる方法で完成させたのだから。
「……ねぇ、クワーティ。この装置、行った先から戻る方法が無いわね」
「あぁ、そうだよ。一生で唯一、行きたい場所に行く為の装置だからね。帰ってくる必要なんて無いだろう?」
「……その通りね。アナタは、フーダニット卿を本当に愛しているのね」
「はははっ!違うよ。ただ発明家として、彼に負けてたく無いだけさ……なんて言っても、今のアリスさんには全てお見通しかな」
「ふふふ。まぁ、言わないでおくわ」
「あの騎士殿の事を聞かないのも、見えているからだろう?」
「ベルが鳴ったタイミングでド・シナンテに乗せてエリアの外へ運ばさせたのよね?彼はもう目を覚まして、放浪の旅を再開しているわ」
「そこまで見えているんだね。安心したよ……装置の使い方は分かる?」
「えぇ、お陰様で」
部屋の中央に浮かぶ大きな球体に、あの時計塔が見えた。研究室の中でフーダニット卿は相変わらず、オモチャにしか見えない発明品をいじくり回している。
「お世話になったわ、色々ありがとう。帰ったらフーダニット卿にもよろしく伝えておいてね」
「こちらこそありがとう。勿論!伝えておくよ。アリスさんの物語の結末が良いモノになりますように。どうか健闘を……じゃあ」
「えぇ。じゃあね、クワーティ」
次の瞬間、椅子に座っていたクワーティは"影"になった。望遠鏡から一筋の光が伸び、球体が白く瞬くと……先程の景色の中に、クワーティが映っていた。研究室の中だ。フーダニット卿の驚く姿を悪戯っ子みたいにからかうクワーティ。どうやら上手く移動出来たようだ。
チラリと見えた座標の日付は『6/11』。そういえば何処かで見た覚えが……暫くして、思い出す。そうだ、フーダニット卿の帽子に挟まれていたんだっけ――
「なんだい。別れの時はあんな冷たくしていたのに、妾の伝えた約束の日をそんな大切に取っていたのか」
「あー!これはうっかり、吾輩としたことが……多忙な日々を送っていましたからね!あの日に挟んだままにしたのをすっかり忘れていただけですよ」
「素直じゃないねぇ……相変わらず」
「お互い様です。取り敢えずお疲れ様でした、紅茶でも淹れて差し上げましょう」
「頼むよ。≪紅茶は≫君の淹れるものが一番美味しいんだ」
そんな二人の他愛無い会話が、聞こえてくるような気がした。
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