第12話 時間逆行エリアへ
「さてと、時間については何処まで話しましたかな?」
「えぇっと……まず、時間は物質が拡散する方向に動く現象だって事は理解したわ」
「失礼。その言葉は吾輩の説明の文言のままですから、本当に飲み込めているか此方としては不安です。どれくらい理解したか、アリスさん自身の言葉で説明して頂けますか?くどい様ですが、時間への感覚をしっかりと掴んでいなければ逆行エリアでは満足に動く事も出来ないので……」
フーダニット卿が申し訳無さそうに、けれど真剣な眼差しでコチラを見る。私は出来るだけ分かり易く説明しようと、頭の中で思考を纏めてから慎重に話すことにした。難しい言葉を使うと、気付かぬうちに結局、彼らから教わった言葉の受け売りになってしまう。自分がさっき教わった事で新しく得た視点、時間の捉え方を、出来るだけ簡単な話に変換するのだ。その上で、もし間違った論理を展開してしまったら、また教え直して貰えば良い。大丈夫。出来るだけ、自分の言葉で……
「私、いままで時間というものを、全てを包み込む大きな流れみたいにイメージしてたの」
「ええ。そういう考えの方は多いですね」
「どうしてそんな風に考えてたのかって言うと、昔、何で聞いたか忘れちゃったんだけど、時間を川の流れに見立てて、現実の出来事はその川の上を流れる葉っぱの様なものだって例え話をされたのね。だからきっと、その話に引っ張られてたんだと思うわ。時間が進んでいるから、世界中のモノが動いている。だから全てを取り込んでる時間は私達の理解の範疇を超えた特別な存在なんだと思っていた……」
「確かに、川の流れと葉っぱの比喩ではそういう理解になってしまいますね」
「フーダニット卿の話……物理運動から時間を認識する事で因果関係を逆転させるって考え方を聞いて、そもそもその例え話が間違いだったって気付いたわ。今の私なら、正しい例え話で説明できる」
「ほう、では是非聞かせて貰いましょう」
「もし時間を川の流れに例えるなら、物質や現実の出来事は、そこに流れてる水なのよ。水が無ければ唯の溝でしかない。その溝に水が溜まっていても、流れていなければ川とは言えない。水が動いて初めて川になるのよ。つまり時間と物質は表裏一体の存在なのだわ。時間が進むからモノが動くんじゃなくて、モノが動いた結果として時間が進むって捉え方。時間が世界を支配してるんじゃなくて、世界が在ってこそ時間が在る……」
「素晴らしい!完璧です!その理解が欲しかった!」
「考えてみたら、影の少女が絵に化けてブラックホールの時間拘束から逃げたのもそういう理屈よね?一次元から二次元、二次元から三次元に育って、その次にようやく時間って概念を含んだ四次元が生まれるんだから、そもそも土台になる下の次元が無ければ発生すらしないわよね」
「姫、流石だな!そこまで紐付けられるなんて」
「吾輩も吃驚です。アリスさんには素質があるかも知れません……普通の感覚なら、高次元の存在を畏怖し、未知に対しては物怖じする筈です。それを一度の説明でここまで物にするとは……どうやら次の説明に進んでも大丈夫そうですね」
「合ってたなら良かった。フーダニット卿の説明が分かり易かったお陰よ」
「いやはや嬉しい限りです。では、川の例え話を踏まえて……川のイメージは、時間が一方向にしか進まないという固定概念による産物です。物質が拡散の方向にしか動かない為に、時間といえば進むもの、という認識になる訳ですね。ここで最初の方にお話ししたフィルムの例えを思い出して下さい。川の流れは一方向ですが、フィルムはそうではない。時間が対象物の動きに依存するなら、フィルムが逆再生される動きも問題無く、時間の流れとして捉える事が可能な筈です」
「そうね。時間という概念自体が単なる思い込みで、物質が動く事に時間という名前を付けてるだけなのだとしたら、時間の流れ方は本来もっと自由な筈だわ……もし仮に物質が拡散の逆、収束の動きをしたとすれば、拡散の方向に動く世界しか知らない私達の目にはきっと、フィルムが巻き戻った様に見えるわよね」
「ええ。良い解釈ですね。逆行エリアでは全てが物質的に収束の方向に動いているのですが、今のお二人ならば混乱せず受け入れる事ができるでしょう……今持っている常識では不可能に思える事象も、物質の振る舞いを中心に考える事で解釈出来るはずです。そうしてエリア内の物理法則に順応出来れば、あとは思うがままですよ」
「思うがまま……?」
それまで静かに私とフーダニット卿のやり取りを聞いていたマクガフィンが静かに反応した。
「そうです。物質の動きを制御すれば、時間を好きな方向に流せますから……」
「つまり、時間を自由に操る事ができるってワケか!」
「まぁ、理論上ですが。大雑把に言えばそういう事です」
「それは凄いわね……けど、物質の動きを制御するって言われたら、なんだかそっちの方が難しそうじゃない?」
「確かに、オイラ元素周期表とか全然知らねぇしな」
「いえ、意識の問題ですよ。何も分子運動一つ一つを正確に把握して想像しろと言ってるワケではありません。因果関係をイメージするだけで良いんです。結果から原因を推測すれば良い……例えば割れたコップを見て、何処から落ちて割れたかをイメージします。近くのテーブルだと思えばコップはそちらに戻って行くし、自分の手から滑り落ちたとイメージすれば、自分の手に戻っていく。結果を収束させる原因の方へと意識を向ければ良いのですよ」
「ええっとごめんなさい、また迷子になったわ……結局意識の問題だとしたら、今までのややこしい時間の説明はなんだったの?」
「いえ、必要な手順なのです。単純に逆の手順を思い描くだけで良いなら、吾輩も難しい話は省いてそのまま説明します。しかし逆行エリアは環境全てが変化していますから、時間の話が理解出来ていないと歩く事もままなりません」
「歩くのも?」
「ええ。もし時間の流れが物質に依存していると理解せずに感覚だけで歩こうとしたら、一歩ずつの動作すら意識しなくてはなりません。足を爪先から上げて地面から剥がし、踵を上げる為に膝を曲げて腿を上げて……と細かくイメージする必要があります。そんなことを細かく思考する間も無く身体は巻き戻って動きますから、直ぐに頭がこんがらがってエリア内の流れに取り込まれて、そのまま生まれる前まで時が戻されて消滅、お終いです」
「ひっ……確かに、意識が追い付かずに際限なく巻き戻ってしまうとそうなるわね。恐ろしい」
「そう、とても危険なエリアなのです。仮に処理能力が高くて歩く事が出来たとしても、歩くだけで精一杯になります。歩きながら他の動作が出来ない。無防備な状態で歩き続ける事になるので長くはありません。歩いてる間に他の事象が起きた瞬間、その事象を受け入れるか、歩く動作の流れのどちらかを選択して思考する羽目になり、同時に思考する事が出来ずにパンクします」
「相当厄介そうだな……説明聞いててホントに良かったぜ」
マクガフィンが肩をすくめて見せた。私もホッと胸を撫で下ろす。
「対して前提を理解していれば、目的地からここまで歩いて来た後だ、と思うだけで身体が勝手にその地点まで行ってくれますからね。移動中にアクシデントが起きても、先に決定した移動元は変わりませんから、移動に関して意識せず対処する事が出来ます。時間の根本原理への理解は、エリア内での無意識下の動作をする為に必要不可欠なのです」
「そういう事だったのね、疑ってごめんなさい」
「いえいえ。吾輩も出来れば理由を伝えてから時間についてお話をしたかったのですが、そもそも時間の概念を理解しておいて頂かなければ、逆行エリアの危険性も正確に伝わらないというジレンマがありまして……」
「言われてみたら、それもそうね」
「ですが、取り敢えず安心しています。先程エリア内での危険性を説明した際の反応から、お二人の時間に対する理解度が十二分に許容域へ達していると分かりましたので。食事や他の生理現象なんかは基本的に、なるように任せれば大丈夫です。この世界ではそもそも餓死することもありませんからね」
「向こうの世界の振る舞いは分かったけどよ、過去に戻るにはどうすればいいんだ?」
「簡単ですよ、向こうで暫く過ごして、こちら側に出てくればこちらの世界は同じ時間だけ戻っています。逆行エリア内からこちらを観測すると、こちらの景色は確定した出来事の反映として過去へと遡り、巻き戻した映像の様に見えますから、まずは自分の行きたいと思った場所をイメージして、その場所で起きた出来事が確定する前まで巻き戻るのを待ってから、適切なタイミングで出れば良いのです」
「なるほど、そこら辺のルールは特に変わらないのか」
「えぇ。基本的にこちらと変わりません。変わるのは時間の向きだけで……それすらも順応してしまえば、逆行エリア側の法則に沿った感覚に自然となるはずですから、既に原理を理解した状態のお二人は過剰に怖がる必要はありません。説明が長くなりましたが、吾輩の時間解釈を受け入れて下さって有り難うございます」
「それはこっちのセリフよ。丁寧に説明してくれてありがとう」
「オイラも感謝して……あれ?なぁフーダニット卿、その点滅してるレーダーの反応は一体なんだ?」
「ん……?おぉ!これです!まさしく、この反応が時間逆行エリア!かなり近い。気を付けて接近しなければ」
フーダニット卿はレーダーを睨みつけ、舵輪を回しながら慎重にステッキを傾ける。舵輪の回転に従って景色はぐぐぐっと回転し、進行速度は緩やかに減速していく。辺りの景色は枯れ木が疎に生え、岩肌が露出した荒野であった。時間帯は夜で、筋の細い雲が幾つか浮かぶ紺色の空に、白い満月が浮かんでいる。月光がゴツゴツとした岩を白く照らし、幻想的な雰囲気。空気は乾燥しているらしく、時折土煙が舞っている。
「此処からは目視での捜索になります。お二人共、白い点を探して下さい!ビー玉くらいの大きさで景色に混ざっているはずです」
「あら、白なのね?そういうのって、てっきり黒いのかと思ってたわ」
「こちら側から逆行エリアを見た場合にどう見えるかはお話ししてませんでしたね。向こうで起こる出来事は因果関係が逆転してますから、中は未来のあらゆる可能性が内包されている状態なのです。外との境界に当たる臨界面では、起こる事象の全ての結果が重なって反映されますから、外側から観測すると光の集積で色は白く認識されるのですよ」
「あっ!見つけたわ!アレじゃない?ほら、あの岩場の隅」
「む、おぉ!アリスさん、お手柄です!アレこそが、時間逆行エリアです!」
荒野には幾つか高台の様な地形が形成されており、そのうちの一つに、月とは異なる眩い光を感じさせる白い円があった。“感じさせる”と言ったのは、それが光を放っている訳ではないからだ。立体感が無いので遠近感による大きさの予想も効かない。取り敢えず現時点では親指と人差し指で摘める程のサイズ感だ。砂漠を燦々と照らす太陽を想起させる見た目ではあるが、感じる眩しさに反して、周辺の物は全く照らされていない。まるで絵画の中で、そこだけ色を塗らずに下地の白を残しておいたかの様に、スッポリと抜け落ちた円が浮かんでいたのだ。
「全てが収束するから、ブラックホール的な見た目を想像してたけど違うんだな」
「ただ逆の動きをしているだけですからね。周りのものを吸収するブラックホールと違い、モノを中へ引き寄せたりするワケではないのです。吾輩も最初は、全てが遡っていく世界を観測すれば真っ黒になるだろうと予測していたのですが、実際に逆行エリアを設計した時に気付きまして。予めその結果へ至る軌跡が残されていなければ、未来で新たに起こる事象を受け入れる事が出来なくなりますよね。時間逆行を機能させる為には逆説的に、全ての可能性を残した状態にしなければいけなかったんです」
「どのピースがはまるか分からない、パズルみたいなものか……」
「良い例えですね。その通り、永遠に完成しないパズルです。あの輝きは、無限に分岐する我々の未来のあらゆる可能性です。もしパズルが完成するとしたらその時は、こちらの世界の未来が完全に確定した事を示すワケですからね」
「過去に向かう世界が、オイラ達の未来を保証してくれてるなんて、なんだか面白いな」
「それにしても、本当に綺麗ね」
「作品を褒められるのは嬉しいものですね。では向かいましょうか」
――ゴオオオオオオオオ!ガシャン!
「この音……最初にこの時計塔を見つけた時も、同じ音がしていたわ」
「あぁ、コレは連結と言うか、楔を打ち込む時の音なんですよ。吾輩の領地は移動が前提ですから、停泊中は彷徨わない様に周辺のエリアを連結して固定する必要があるんです」
「なるほど、そういう事だったのね」
「あぁそうだ。そのランタンは小さな物に変えておきましょう」
「別に良いわよ、特に重いワケでも無いし。それにコレくらいの大きさと明るさがないと探検って感じがしないもの……このまま持って行くわ。貸して下さる?」
「そうですか、いえ構いません。差し上げます」
フーダニット卿と共に階段を降りて外へと向かう。移動を止めた事で領地の時間は昼間になり、天窓からは柔らかな陽射しが降り注いでいた。階段を降り切って入り口に着くと、お茶会の面々が待ち構えていた。
「おや皆様方……どうかされましたか?」
「その二人、逆行エリアに行くのだろう?」
「えぇ。マクガフィンさんの提案で、過去から《出口》を捜すのが良いのではという話になりましてね」
「やはりお前か……悪い事は言わん、止めておけ。お前は今のままで良いのだ」
「うるせぇな、男爵には関係無いだろ」
「アリスさん、過去の《出口》から出るのは良くないかも知れません。自分達でさっき話してたんですが、上手くやらないと今よりも事態を悪化させるかも……焦りは禁物です」
「えぇ?そんな事言われても……どうすれば良いのよ?」
「引き返すのだ。それが一番安全だ」
「ふん、確かに賢者はそうするだろう。けどオイラにゃもう後が無いんだ。攻める時に攻めなきゃチャンスを逃すぜ。姫、行こう」
「ダメです!どうか考え直して下さい!」
「ならアンタらは、《出口》が何処にあるか知ってるのか?」
「そ、それは……」
「教えられないのか?導けないのなら賢者とは言えないぜ!」
「マクガフィンさん!落ち着いて下さい、流石にその物言いは賢者達に失礼ですよ」
「構わん。この際だ、正直に言おう。実は《出口》が見えなくなった。ワシら四人はもう《出口》を共有する意識の中に居らんのだ。確かに賢者だという自覚はあるが、《出口》の座標やそのイメージを忘れてしまった。全員だ。恐らく他の賢者達にも同じ事が起きているはず……」
「そんな……一体どうして?」
「恐らく、あの魔女が原因だ。彼奴が飛び去ってから、移動中に異変に気付いた。だが大局を見極める力はまだまだ衰えて居らん。マクガフィン、お前のやろうとしている事は無駄だぞ」
「言っときなよ。オイラは諦めねぇ。姫、行こう」
「そうね……《出口》のこともあるけど、やっぱり逆行エリアに行かなきゃ行けないのかも」
「アリスさん、何故だ?」
「これよ」
私は皆に見えるようにランタンを掲げた。影が指し示す先は……紛れも無く、あの白い円を向いていた。
「まさか、魔女も逆行エリアに入ったのか?」
「多分ね。そして過去へと戻って何かをして、アナタ達賢者から《出口》に関連する意識を奪い去ったのだわ」
「そういう事か……辻褄は合うな、確かに」
「そんな!?いかに魔女と言えども全体知識無しであのエリアを通れるはずがありません!」
「落ち着けサラリー、恐らく魔女は二次元状態で潜ったのだろう。あのとんがり帽子の封印を潜り抜けたのと同じ事だ」
「とすると厄介だな……会敵するかも知れんぞ」
「オイラ達はもうフーダニット卿からあのエリアでの振る舞いを教えてもらってる、大丈夫だ」
「えぇ?そんな!ズルイですよ!あっしらが何度お茶会でその話を聞き出そうとした事か!」
召使いネズミが取り乱すのを見て、フーダニット卿が窘める。
「この方達は別の世界からやって来られた方ですから、早く帰って頂く事がこの世界の調和に繋がると判断した為に教えたのです!そもそも最初に吾輩が説明しようとした時に寝たのはアナタ達でしょう!」
「うぅ、それは……」
「では納得して下さいますね。あっそうだ皆さん、お茶会ついでに見張りをお願いします。吾輩もついて行きますのでね。何もそこまで心配せずとも大丈夫ですよ、アレが白いうちはね」
「旦那様は何かというと逆行エリアの白さを持ち出すもんなぁ。あっしらが心配性みたいじゃないですか」
「失敗してもやり直せる、そう信じていますので」
「ワシらが過保護だったかな……確かに、一度味わわねば解らぬこともあるか」
「だから俺は言ったんだ。わざわざ此処まで出向くのもどれだけ面倒かと……」
「よし、うるさい輩は居なくなったな。さっさと行こうぜ!」
フーダニット卿に説得され、四人の賢者達はぼやきながらお茶会の広場へと引き返していった。彼らに《出口》が見えなくなった原因は何なのか。そこはかとない不安が胸をざわつかせた。
そんな私の気持ちを他所に、マクガフィンはどんどん先へと進んで行く。
「彼は何故か、急いでいる様に見えますね」
フーダニット卿のその一言が妙に重く、私の心に纏わり付いた……
フーダニット卿の領地を出て、マクガフィン、フーダニット卿、私の順に並んで荒野を練り歩く。
そうして遂に件の高台の麓まで辿り着いた。もう引き返せない。既に眼前に迫った白い円は、操縦席で見つけた時とは打って変わって随分と巨大に見えた。両手を広げても抱え切れない程である。
「おーい!どうやって入るんだ?」
マクガフィンが逆行エリアの前でピョンピョンと飛び跳ねる。フーダニット卿は移動でズレた帽子を両手で深く被り直し、ステッキで軽く上げて角度を調整すると軽く息を整えてから話し出した。
「逆行エリアに入るには、そこから出てくる自分を想像して手を触れれば通り抜ける様に入れます。出る際は入った時の自分を思い出せば良いのです」
「なるほど!じゃ早速……」
「おっと!まだ待って下さい。アリスさんと同時に入らなければ、すぐにはぐれてしまいますよ。僅かな時間のズレが逆行エリア内では取り返しの付かない致命的なラグを生みます」
「同時ってどうすれば?」
「手を繋いで入るのです、そうすれば一つの塊として入る事が出来ます。可能なら中に入ってからも手を離さない様にして下さい。迷子になると大変ですから」
「分かった。姫、手を……」
「ええ、分かったわ」
差し出された手を握る。ゴワゴワとした毛並みと、僅かに残った柔らかい感触。新品の頃は布団の様に柔らかかったけれど、子供の私が母親に取り上げられるまで泣きながらずっと、強く抱き締めていたせいで潰れた綿……
「では行ってらっしゃい。気を付けて」
「ありがとうフーダニット卿、本当にお世話になりました」
「……」
私がお礼を言う為に後ろを振り返った瞬間、マクガフィンの手が離れる。
「……なぁ姫、オイラが新品になったら昔みたいに抱き締めてくれるよな?」
「えっ?」
気が付くと、マクガフィンの姿は跡形も無く消えていた――
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