出だしこそ不穏な空気で始まる本作だが、道中は希望に満ちたものであった。
田舎の村で育った少年が、王都の栄誉ある騎士学校に入学、そして無事に騎士への階段を上り始める。
夢のある成り上がりであったのだが、とあることをきっかけに、夢の裏に隠れていた陰鬱な現実を目の当たりにする。
そのコントラストは劇的で、夢へと昇っていく光景が綺麗であればあるほど、輝かしいものであればあるほど、後半の落差が激しく、主人公の心を深くえぐるのだろうな、と思った。
それでも最後には一抹の希望もあるので、読後感が悪いままで終わらないのも良かった。