第7話 VS風景たまにコイバナ
「夜食の用意ができた。好きなときに食べてくれ。じゃあ始めるぞ」
「今日は勝つぞ~」
2人っきりの研究会が始まった。今日の研究会は三間飛車相穴熊の研究をする。かなでから最近三間飛車相穴熊で勝ててないと言っていたからだ。僕は居飛車、振り飛車どちらでも指せるけどきれいに捌けたときの壮快感が気持ちいいから振り飛車のほうが好きだ。
★★★★★
1局目が終わった。結果は僕の穴熊が残っているが、かなでの穴熊は僕の手によって木っ端みじんになった。対局中かなでは終盤ずっと嘆いていた。
「りゅうまに裸にされちゃったよ」
かなでは悔しそうにつぶやいた。
「言い方〜!もっといい言い方があるだろ」
「えっなに〜。想像しちゃってるの~。りゅうまのエッチ」
こういうところだけかなでは小悪魔になる。かわいいから憎めないが…。
「感想戦するぞ。まず…」
感想戦とは指した棋譜を確認し、相手の読みと確認する。もし気になったところがあれば聞いてみるし、こっちのほうがいい場合は助言する。感想戦は時間の無駄とやってくれない人も一定数はいるらしい。最近は感想戦よりソフトにかける方がいいと思っている人も多いようだ。
「じゃあここのときにこうだったら、どうなっていたの」
「この局面はこう指すかな。でこうして、こうしたときにこうだったら少し指しやすかったかもしれないね。本譜より良いよ」
「そうか~。こっちか〜。」
多分対局中に読んだ筋だったのだろう。かなでは悔しそうに嘆く。
「もう1局やるか」
「ちょっと休憩したいかな」
「じゃあ夜食を食べるか」
「そうだね~決定」
★★★★★
僕は今日の夜食をテーブルに並べていく。今日の夜食はチャーハンとスープだ。
「美味しそう!いただきます!ハフハフ…美味しい」
何を食べてもかなでは美味しそうに食べてくれる。その姿はいつ見てもかわいい。
「そうか!それはよかった」
「ところでりゅうまは好きな女の子とかいるの」
急にかなでは僕の好きな女の子を聞いてきた。
「…いるよ」
「えっ!だれだろ」
お前だよって言ってあげたい。でも今は言えない。
「今は言えないかな~。かなでは好きな男子とかいるの」
「はぅ~。言えない…」
これはもうわかりやすいやつなんだから。かなではかわいい顔を真っ赤に染めていた。これはいるに決まっている。
「いるのか。へえ〜」
「りゅうまのイジワル〜」
足をバタバタさせ恥ずかしがるかなではいつも以上に可愛かった。
「いじわるりゅうまにはこうだ」
そう言ってかなではかなでのスプーンを僕の口の前に持ってきた。照れながら僕を誘惑してくる。
「いいのか。食べるけど」
「いいに決まってるじゃん。早く食べてよ~」
かなでは多分気づいてない。これは関節キスになることを。気づいているなら今日のかなではいつも以上に小悪魔だ。
「じゃあ遠慮なく」
僕はかなでのスプーンをくわえ、かなでのチャーハンを食べた。僕のより美味しく感じた。
「美味しかった。ありがとう」
「…?作ったのりゅうまだよね.そしてさっきまで食べてたよね」
やっぱり気づいてなかった。まあその方がいいけど。
「隠しあじがあったからな。さっきより美味しく感じた」
僕は言葉を濁しながらかなでのチャーハンが美味しかったのかをかなでに伝えた。
……………
かなでのチャーハン…食べたくないですか?
食べたい方は♥を押してコメントお願いします!数人はかなでのチャーハンを食べさせてくれるかも。
次回はかなでサイドです。隠しあじのコイゴコロに気づいているのか?次回をお楽しみに。
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