其の弐拾陸


 新しい朝が来た。

 夜中にヨシナリ達の部屋に潜り込むような者はいなかったようだが、朝食の席ではニヤニヤしながらヨシナリを見つめる視線が多い。



「人の視線ってこんな分かりやすいんだな……」



 長を筆頭に仙人エルフ達の視線が物凄くにちゃっとしている。よこしまな視線というものは非常に分かりやすい。



「ヨシナリ!アタシが今日案内してあげるからなっ」


「長さん、一人称変わってません?」


「何のことだ?あとお姉さんでいいからな?前からアタシはこうだっただろ、ねぇ貴方達」


「「「「貴方達wwwwww」」」」


「あ゛?テメェら何わらってんじゃごら」


「あ、やっぱり長さんだった」


「あっ、いっけなーい。うふん」


「誰やねん」


「わたしもぉうっふぅん」


「朝からやめてええぇ!」


「「はよ飯食えい!!」」



 やたら身を寄せてようとしてくる長と仙人エルフ達をヨシナリ、ネネ、お市で押し返しつつ、一同はなんとか朝食を食べ終わり出発の準備を終えた。





「うし、てめぇら用意はできたな?」


「「「「おう!」」」」


「やっぱりお姉さんはこっちの方が格好良いな」


「お、おう!格好良いか!?そうかそうか!やっぱこれがいいんだよな、うん!」


「ああ、お姉さんって感じで頼りになるよ」


「おっしゃあ!懇切丁寧に案内してやるぜぇ!柳の葉に乗ったつもりでいてくれや!!」


「長、柳は掴みどころがないから落ちるぞ?」


「……」


「せめてぇ樫に寄っかかるつもりのほうがぁ良かった

のではー?」


「じゃ、じゃっかぁしい!行くぞ!ほれ、はよはよぉ!」


「此奴ら本当に大丈夫なんじゃろうか…」



 仙人エルフ達先導の下、森の道無き道を歩いてゆく。『猿』がいないため獣が襲いかかって来る時はあるのだが、そこは仙人。

 一同の背丈ほどもある見晴らしが壊滅的な草むらから飛び出してきた獣だったのだが、横から待ち構えていた弓が引かれ、獣はなすすべもなく打ち倒されていく。 



「初動が早いな!まさかあそこまで正確に相手を把握できるとなると……ぶつぶつ…」


「どうしたんですかぁ?イチさぁん」


「あー、そうなると中々お市殿は帰ってきませんぞ!仙人エルフの方達はどうやって敵を把握してるのだ?」


「お前ら人間は……できないんだった。そういえばヨシナリすら使ってねぇな」


「何か特殊な技法を使ってるのか!?某に教えて貰えないだろうか!!」


「これはな、俺ら仙人エルフの秘術だ。おいそれと教えてやるやけにはいかねぇ」


「春画10枚!!」


「なっ!?………ぐ、ぐうううう」


「長、別に教えちまってもいいだろ。どうせ出来る奴と出来ない奴がいんだからさ」


「俺は先代に『多種族に無闇矢鱈に教えてやるな』と

言われてんだよ!」


「ヨシ殿主役のやつも付けるぞ!!」


「カエデ。何でも聞いてくれ」


「ちょっろいのう」


「長はぁ下半身が中心でぇ動くからねー」


「それで処女は中々にヘタレじゃな」


「吉田様も処女ですが!」


「お市よ。戻ってきたと思えば、お主喧嘩売ってるな?」



 彼方で喧嘩、此方で猥談をしているかと思えば、いつの間にかそれらが入れ替わっている。非常に姦しい集団だったが、ある洞窟の前でピタリと立ち止まった。



「ここが黒髪の家だ。ああ、勘違いすんじゃねえぞ。

俺らの村に住むよう言ったんだが、あいつがここでいいと言って聞かなかったんだかんな」



 その洞窟は、まるで奥が望めず人を暗闇へと引きずり込むと言われても納得できるほどに、不気味な佇まいをしているのであった。

 




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太古の原稿と違い冒険っぽい事をさせたせいで、経験値と表現不足で勝手に苦悩しまくりでして…投稿が非常に遅れておりますンジョモ牧場です。申し訳ない。



供養のつもりで投稿しており自身の予想では見向きもされないで爆死かなぁと思っていたのですが、フォロー等々して頂き至極光栄でございます。


誰か異世界和風ファンタジーのギャグ多め出して欲しいけどないんですよねぇ…

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