其の弐拾伍


 しっちゃかめっちゃかの乱闘騒ぎから抜け出してきた一人の清楚系仙人エルフがヨシナリ達を客間へと案内する。



「放って置いていいのか?」


「だいじょーぶだよぉ。どうせ夜にお酒飲んでー猥談してれば勝手に仲直りしてるからぁ」


「あ、さいですか」


「某もその酒宴に参加してよいか!?」


「あなた達は主役だからぁ、もちろんだいじょうぶー。それよりぃあなたの春画ちゃんと見たかったんだぁ!」


「いよぅし!新鮮な下の幸の仕入れ時!大漁は約束されたし!ほれほれこういうのがありますぞ!」

  


 下の幸とは一体全体何なのか。いやナニであろう。

 カエデはいつの間にやら手に持っていた春画を間延びした喋り方の仙人エルフへと渡す。



「うわヤバぁ……人間ってこんな事してるのぉ!?ええっそんな物好きな男がぁ!?」


「ヨシ殿は尻と腿に挟まれ隊隊長ゆえな!」


「坊ちゃんがぁ?童貞のくせにぃ……ふーん。エッチじゃーん?」


「まだやってません!というか本人の前じゃなくて隠れて喋りなさい!」


「まだって事はーヤル気はあるって事だよねぇ?」


「ヨシ殿はむっつり将軍でもありますからな!」


「嫌な将軍だな……」



 そう遠くない場所から聞こえる喧騒を聞き流しつつ、春画とヨシナリを見比べる随一のワガママボディを持つ見た目は清楚系仙人エルフ(詰め込み過ぎ)に「あそこがぁ私の部屋だからさー。いつでも来なよー。お姉さんがぁ教えてあげるし教えてもらうからぁ」とナニする気かわからない事を言われるも、ネネとお市に間に入られた仙人エルフは残念そうな顔をして客間へと通した。



「ここが客間だよー。この家の中なら好きに動いていいよぉ。あ、長達がいる所はー落ち着くまでは近付かない方がいいからねぇ。夜は宴会だけどーお腹空いたなら厨房で好きにやってくれていーからぁ」


「うむ。有難う」


「うん。有り難がられましたぁ。また後でねー」


「……吉田様。あれは狡くないですか?」


「……うむ。ヨシナリ!見過ぎじゃったぞ!」


「しょうがないだろ!?男なら誰でも見るぞあれは!」


「そびえ立つ山でしたな!」


「あのなヨシ殿。普通男は女の身体を舐めるように見ないのだ。逆に女がヨシ殿をこう…視姦する勢いなのが何というか普通なのだぞ?」


「やっぱりー坊ちゃん凄い見てたよねぇ?私もいーっぱい見て良いよねぇ?」


「「「「まだいた!」」」」



 その後はなんやかんやと過ごし、夜には宴会が開かれる。

 仙人エルフ達とカエデが円陣を組んで春画品評会を開いていたのだが、処女を拗らせた長は「ったく、これだから品のない女共は。たかが紙に発情しやがる」と格好つけた事を言いつつもチラチラとその様子とヨシナリを伺っていた。童貞でいう所の、俺硬派なんでアピールである。

 結局大いに酔いが回るとその円陣のど真ん中に突っ込み、春画を見ては「えぇっ!?」やら「そんなのアタシには無理っ」やらと言いながら、酔って赤い顔を更に真っ赤に染めては意識を飛ばしたのだとか。

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