04,その後の学校と殲滅委員会 (1)



破滅、絶叫、血と死。


昨日まで平穏だった学校は異獣により跡形もなく消え去った。


しかし死と破滅によって生き返った生徒がいた。


激しい咳と共に小夜子は喉に刺さっていた鉛筆は何故か床に落ちていた。


小夜子は辺りを見て気を失いそうになる。


辺りは今まで生活し共に学業を高め合っていた仲間が喉に鉛筆が刺さったまま倒れていた。


「な、何があったの?」


小夜子は懸命に何があったかを思い出そうとした。


しかし彼女の記憶は担任の先生が入った所から靄がかかり何も分からなかった。


小夜子も死は慣れていた。

父も母も運がいい事にまだ生き延びていたが他の親族は全て異獣によって亡くなっていた。


お婆ちゃんは彼女と買い物に行ったその日の夜に異獣に殺された。


お爺ちゃんはお婆ちゃんを殺した異獣を探して殺され、従兄弟はその母親と心中。


彼女は…彼女の心は死を受け入れ悲しみを育むのではなく死を間近にある死を何も気付かず感じないようにした。


そうしなければ彼女の心は既に亡くなっていただろう。


この時も仲間の死を隅に隅に気付かぬように上からペンキで上書きするのに違う事を考えようと努力した。


小夜子は目を強くつぶり、足早に教室を後にする。


しかし廊下も血の海であった。


彼女の精神は崩壊寸前であった。


体育祭や文化祭、楽しく遊びに行き自分の人生そのものであった学校生活が何もなくなった事を知った。


隅に隅にペンキを塗って隠す。


死に赤い真っ赤なペンキを塗る。

見えなくなるまで全て赤く染まるまで。


彼女は天井を見上げる。


ピチャピチャ


歩くたびに上履きが血が染まる。


上履きから染み出した血が靴下まで濡らす。

その感覚で彼女の全身は鳥肌がたった。


気付かないふり気付かないふり


プスープス


思わず小夜子はロッカーを見た。

それは無意識のうちだった。


そこにあったはいつも仲良くしていた親友の生首だった。


クラスが違う事をいつも愚痴を吐き、体育祭の準備の話、好きな人の話。


そんな親友が無惨な姿に転がっていた。


目は衝撃で飛び出し口と鼻から血が垂れていた。


プスープス


小夜子は目を離す事はできなかった。


プスープス


生首の鼻から鳴っているその音を呆然と聞いていた。


親友の鼻から小さい鼻提灯ができ音もなく割れた。


隅に……す、み


塗って……早く!


「……あ」


彼女の心は雪崩のように崩壊した。


有明小夜子は気絶した。


廊下に倒れた彼女が心の片隅にあったのは


……冷たい


それだけだった。





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