其の二十: 金剛阿修羅[6/4?域怦?]
「武の血を頼りに
「
「何か問題でも?
「
武もそれに
「でも、どうやって……」
清森の質問は金属製のドアがひしゃげる音に
「決まってんだろ。“マスターキー“だよ」
肩に
ドアを破り、壁を壊し、
「こんなバンバンぶっ壊しちゃっていいのかな」
「いいんじゃねーの?どうせ壊すんだろうし」
清森と武が軽口を叩き合う。
「静かだね」
桜子が言った。
「ああ、静かすぎる」
守ノ神が答える。
「確かに。
武が
「そろそろ中ボスが出てきそうな……」
武の言葉が止まる。先頭を走っていた守ノ神が急に立ち止まったからだ。
「誰かいる」
「一般人じゃないのか?」
「
「おーや、おやおや。大勢ゾロゾロ連れ立って、こんな今にも壊れそうなビルに何のご用デスかぁ?ケヒヒッ」
男は首を左右に揺らしながらゴニョゴニョと言った。
「貴様、何者だ」
守ノ神が青年を問い詰める。
「人に名前を聞く時は、先に自分から名乗るのがマナーだと思うんデスがねぇ?うん?」
青年がイラついた
「……“
「そうデスか。なら、ボクもそれに
青年が
「ボクは“サバイバーズ・ギルド“の“
「『サバイバーズ・ギルド』……?」
守ノ神と桜子が訝しげに
(リンが入ってる組織か。ただの親殺し少年の集まり、ってだけじゃなそうだな)
この中で“サバイバーズ・ギルド“の存在を知っているのは清森だけだ。
「いえいえ、あなた方が知る必要はありませんよぉ」
飛車がうつむきながらそう
「『お前らに明日はない』、ので……」
飛車が顔を上げる。髪が持ち上がり、顔がむき出しになる。
「なあ!ケヒャヒャヒャヒャヒャーッ!」
「何⁉︎二重人格?」
桜子が身構える。
「自分に
「そりゃそうだけど……。でも、ここまで
武と桜子が議論している。
「ケヒャーッ!キサマらにボクの戦法を教える必要性なんざ何一つ無ぇんデスわ!この“
先ほどまでとは打って変わり、青年はフロア中に響き渡るほどの声で
「『
龍王が叫ぶ。彼は強い霊力を身に
「うわっ!」
霊力は
[さあ、
光が収まる。
「な、なんだアレ⁉︎」
清森がすっとんきょうな声を上げる。
そこには、
天井に頭が付きそうなほど大きく、その姿は合体ロボと言霊師の
「何アレ、バカじゃないの⁉︎」
桜子が
「ロボ……?いや、霊力を直接身に纏っているのか!」
守ノ神が叫ぶ。
「パワードスーツ‼︎勇者シリーズの風を感じる、良い顔だ」
武の声色がワントーン明るくなる。
[フーン……]
龍王が言霊師たちを見下ろす。
[火村のは許しマス]
金剛阿修羅が武を掴み、地下へと続く階段に投げ下ろす。
[だがそれ以外は殺すッ!
「いや、その理論だと俺とばっちりじゃね⁉︎」
清森が反論する。
[
「俺も善良な学生なんだけどー!」
もはや話し合いの余地は無い。
[『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』ーッ!]
金剛阿修羅のパンチが次々と床に
「くそっ、あんなん食らったら一撃でお
「
「無茶だぜ姐さん!」
部屋中くまなく飛んでくるパンチの雨。とても
「武!」
守ノ神が叫ぶ。
「下へ!お前だけが頼りだ!」
「ああ。……死ぬなよ!」
武が階段を降りていく。
(武一人で
守ノ神は不安げに、その背中を見送った。
[
金剛阿修羅の拳が守ノ神を狙う。
「くっ……!」
(この腕では弓を引くのは……)
右腕は血を流しながら力なく垂れ下がっている。
(いや、この程度で引き下がる訳にはいかない!)
「『
黒弓が小刀の形に戻った、その直後。
「ぐはぁっ!」
機神の拳が守ノ神を押し潰した。
「シンくん!」
桜子が
[ケヒャアッ!わざわざボクにやられる為に、自分から
守ノ神ごと
「がっ、はっ」
「やめて!もうやめてよぉ!」
「行っちゃダメだ!」
泣きながら
[こちらに来て頂いても一向に構いませんよぉ?宮城県産と福岡県産リア充、二匹まとめて”
「ッ、この野郎!」
清森が薙刀を構える。
[
金剛阿修羅が清森を振り払う。
「ぐあっ!」
[”
「う、る、せぇ……」
壁に叩きつけられた清森が息も絶え絶えに言った。
(”
清森が顔を歪める。
「
[ハマる方がアホなんデスよ]
金剛阿修羅に乗り込んだ龍王が、足元の言霊師たちをせせら笑った。
拳が離れて、壁にへばり付いていた守ノ神がずり落ちた。
「シンくん!」
桜子が駆け寄る。
「嫌!死んじゃやだぁ!」
装束が解けた守ノ神は、桜子が呼びかけても力無くうなだれたままだ。
[水面のは
「倒せない……?どういう、事だ……」
清森が言う。
[知る必要は無ぇデスよ!『お前らに明日はない』んデスから!]
そう言い放つと、青年は再び俯いた。
「『戻れ』、『金剛阿修羅』」
機神が光になって姿を消す。
「ハァ……。いけませんネ。”龍王”が出ると、ついやりすぎてしまいマス」
青年――飛車が気だるげに言った。
「ここはもう片付きましたし、次のタスクに取り掛かるとしマスか」
飛車が顔の刻印に触れる。
[業務連絡。”清掃”完了デス。回収タスクのヘルプに向かいマス]
血と肉で汚れた室内に顔を
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