11話 妹は兄の誤解をときたい!
さすがに兄、舐められすぎでは(LINEトークあり)
怒涛の週末も過ぎ、また新しい一週間が始まった。
ちまたでも有名なレディース総長の抗争を無効化した李津たちだったが、その功績が学校に広まることは特になかったので、彼の評価は以前と変わらずだった。
ただ“李津は”というだけで、妹は違った。
まずいじめに遭っていた陰気宮妹は、なぜか数日前からアイドル級の美少女へとあか抜けまくっている。
そして明るくてかわいくて、もはや学校中に名が知られているギャル宮妹も、変わらずファンは多い。
どこにいても目立つ姉妹に、生徒たちの多くが好意を寄せていた。
そんな妹の中心で登校しているのが、兄のモブ宮李津である。
「莉子ちゃんとつむぎたんだ! 朝から眼福……と思ったら、真ん中いらねえええ!」
「兄だけなんか異質くね?」
「真っ黒な妹もお兄さんに似てると思ったけど、顔を出したら莉子ちゃん側だったな」
「本当に兄妹か、あれ??」
ギャラリーが言いたい放題なのも、印象にも残らないモブのくせに、兄というだけで高嶺の花と一緒にいることへの嫉妬心からだ。
周りにヒソヒソされていることに、もちろん気づいている有宮一家。
「うぅ〜。先輩方、おにーちゃんに失礼なのでぇ〜」
「さすがに兄、舐められすぎでは」
「ん? 言いたいやつには言わせておけばいいよ。話しかけられないから、静かで快適だぞ?」
苛立たしげなつむぎと莉子だが、肝心な李津はこんな感じで、どこ吹く風。
海外では、登校中に足を引っ掛けられることも多々あったが、陰口だけで手を出されないこちらは天国のようである。
「そーいうところがダメなんですよ!」
「ダメかな? そりゃ、女子にはモテる方がいいけどなぁ」
李津のだらしない声に、妹たちはサッと無表情になる。
「やっぱりぃ、おにーちゃんはそのままでいいかなぁ〜」
「まっ、寂しければあたしたちが構ってあげます!」
「? なんなんだおまえら」
首を傾げる李津に、妹たちは両側からぴとりとくっつくのだった。
◆
「あそこまで兄の評価が低いと、フツーに腹立つんですよね。モテないのは全然いいんですよ!」
「わかる〜。おにーちゃん、かっこいいのにぅ〜」
莉子とつむぎは1年の靴箱で、登校時に聞こえた李津への悪口を思い出して不満を爆発させていた。
本人はほっとけスタンスだが、好きな人が悪く言われておもしろいはずがない。
「なにかいい方法ないですか、むぎ」
「うえぇ!? えっ、えっとぉお〜、じゃあ〜、おにーちゃんを本当にインフルエンサーにしちゃうとかぁ〜」
「女子のファンを増やしてどーするんですか。男どもに囲まれる方法求ムですよ!」
「うえぇ〜!? じ、じゃあ〜、部活に入るとかぁ〜」
「そんな爽やかで協調性がモノをいう団体に、兄が素直に入りますかね」
教室に向かいながら頭を悩ませる妹たちだったが、パタッと二人同時に足を止めた。
彼女たちの視線の先で、見知った顔が仁王立ちしている。
「おはよう、有宮妹たち」
廊下の真ん中を陣取るのは、黒髪をうしろでひとつにまとめた細身の美形、
「先日の礼と言ってはなんだが、おまえたちの悩みをなんとかしてやろう」
そう言ってクールに微笑む姿は、なんともサマになっていた。
【LINE ゲームグループ】
>†ゲーム†
Arkadia
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乙
また協力しような!
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0:58
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おつかれー
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1:00
既読
Arkadia
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なーりっつん。
夏休みってなにしてる?
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1:00
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決まってないけど
だいたい家にいるよ
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1:02
既読
Arkadia
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えだったら遊びに行っても
いい!?
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1:02
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俺は全然いいけど
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1:08
既読
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アルんちの親は大丈夫か?
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1:10
既読
Arkadia
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言わなかったっけ?
ぼく、家族と一緒に住んで
ないんだよね〜。
仕事の関係ってやつ?
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1:11
Arkadia
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夏休みもぼっち決定
\(^o^)/
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1:11
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まじか、心配だな…
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1:14
既読
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親がいないなら夏休みの間
うちに泊まる?
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既読
Arkadia
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いいの?泊まる!
りっつんネ申!!
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1:15
Arkadia
(喜ぶスタンプ)
1:15
ツツジ
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おい。
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1:15
ツツジ
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俺はなぜこのグループに
いるんだ?
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1:15
Arkadia
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草
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1:15
Arkadia
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そりゃつーくんの許可も
取らないと?
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1:15
ツツジ
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俺は親か!
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Arkadia
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どっちかつーと…
嫁じゃね?
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1:20
ツツジ
(嘔吐のスタンプ)
1:20
(嘔吐のスタンプ)
1:22
既読
(画像はノートに掲載)
https://kakuyomu.jp/users/asamikanae/news/16818093080210582770
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