3章予告 As a brother and as a man(兄編)

【3章予告 As a brother and as a man(兄編)予告】




「あっ」


 閃いたように声を上げた李津は、突然莉子の手首を掴んだ。


「寝取れないか?」


「えっ!?」


 手を握られて嬉しい反面、この兄、頭がおかしくなったのかと莉子が顔を引きつらせる。


 しかし李津は真剣だ。


「竿役は誰でもいい。最悪、俺が躑躅つつじの妹を寝取る!」


「てめえ! それ以上言ってみろ、ぶっ飛ばすぞ!!」



[10話 李津&躑躅つつじ


***




「んー。りこぴんとつむぎたんって、もしかしてぼくのこと嫌い?」


「そ、そういうことを言ってるんじゃないです!!」


 直球を投げ返されて慌てる莉子と対照的に、ハウルには余裕すらうかがえる。


「りこぴんだから言うんだけど、ぼくりっつんのことが好きなんだ。だから好きがあふれちゃったみたい、ごめんね〜」


 バッティングセンターのごとく、次々と投げられる直球。気圧されかけた莉子だったが、思い切ってバットを振った。


「そ、そんなのあたしだって!」


「ぼくは、そういう好き・・・・・・じゃないよ〜」


「それ、はっ」


 言葉に詰まり、莉子の額に汗がにじんだ。



[11話 莉子]


***




「ぶっ!!」


「? どーしたの、おにーちゃん」


 つむぎが不思議そうに首をかしげる。


 ガウンを羽織っていて気づかなかったが、下に着ているのは水着に布をやや足しただけの、なかなか肌色が多めな衣装だった。


 むちむちボディを大盤振る舞いしていて、まことにまずい。


 李津の顔は、みるみるうちに真っ赤になっていった。


「おまえその格好、誰に強要されたんだ!?」


「あっ! ちが!! これは、ちがくてぇ!!」



[12話 つむぎ&李津]


***




 瞬間、ドスンと鈍い音が体育館に響いた。


「きゃあーーーっ!!」


 生徒会の女子が叫ぶ。


 ざわめく人々の中心に、左頬を抑えて尻もちをついている副会長と、拳を握って立つ躑躅つつじの姿が浮かび上がった。


「わはははは! 李津、その通りだぜ!!」


 躑躅つつじは大声で笑うと、舞台へと走った。


 ポケットに手を突っ込み、堂々とした態度で李津の隣へと到着。李津は迷惑そうに友人に向かって舌打ちをした。


『みんな見たよな!? ここにいる全員が、暴力事件の証人だ!!』


 言葉とは裏腹に、嬉々と高揚してマイクで語りかけるバスケ部の男子たち。


 今やこの学校では、李津と躑躅つつじは全校生徒の敵となっていた。



[13話 李津&躑躅つつじ


***




※3章は13話まで展開します。





 

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