第55回配信 なにはともあれ
色々なことを僕が考えているうちに、2人はノリノリになっていた。
「ねぇ、またレミーとコラボするなら何する?」
「うーん、そうだなぁ。今度は対戦ものしてみたいな。カートレースのゲームとか!」
「いいねぇ!さすがお兄ちゃん!」
2人はキャッキャと楽しみ、勝手に配信内容に胸を膨らませている。
いや、逆凸だから多分ゲームはしないと思うけど。
そんなに1人の持ち時間はないものだし。
普通のコラボじゃないんだよ?わかってる?
というか、それぐらいの基礎は知っておいてくれよ。
どれだけ他のVtuberの人の配信見てないの。
僕は、だんだん呆れてくる。
はぁ、なんで2人はVtuberをやっているんだ。
だが、2人を見ていると、そんなことはどうでも良くなってくる。
2人が、何かを楽しみにしてワクワクしている。そして、何をしようかと前向きになって考えている。
そうだよね、僕がみたいのはそういうことだよね。
そう。これは、チャンスだと捉えよう。
僕は、自分を鼓舞する。
いい意味でなくても、きっとこの騒動で2人を知ってくれた人はいるはず。
ならば、利用しない手はない。
なんでも利用するような、強靭な心と理想がなければ、このVtuber戦国時代。生き残れるはずがない。
今注目してくれている、その人たちを逃さず、2人の魅力を伝えるためにどうすればいいか。
それを考えることが僕の役目。
利用できるものはした方がいい。
僕は、そう決意すると、すぐさまレミーにイエスの返事を送った。
レミー、利用させてもらうよ?
その日から僕たちは、逆凸に対する研究を始めた。
なんでそんなことになったかって?
そりゃあ、2人が逆凸のことを何にも知らなかったからだ!
僕は、反省した。
いくら、2人にあまりストレスを溜めないようにといっても、2人にも他のVtuberの人の配信を見せておくべきだった。
そうすれば、この謎の時間は生まれなかったのに。
この時間をもっと、有意義に使うことができたのに。
レミーの配信は見るようになったものの、2人はまだまだ他のVtuberの人に興味がない。
他の人のをみても、見るのはその人のコメント欄。
配信なんて、微塵も気にしていない。
誰がみているか、そこが2人にとっては重要なポイントだ。
そんな2人がいきなり逆凸なんて呼ばれて、普段通りに振る舞うことなどできるだろうか。
いや、できるはずがない。
だから、まず逆凸の配信を見ることで、ある程度の流れを把握しておこう、となったのだ。
まず、レミーから呼ばれる。そして、自己紹介。そこから、ある程度トークをしてちょうどいい時間で抜ける。
それが大体の流れ。
呼ばれた人が配信に残り続け、次々と人が増えていくタイプもあるが、おそらく今回はそれはないだろう。
誕生日祝いだと言っていたし、楽しむ中心よりは、みんなに感謝を伝えつつ、祝ってもらう。
そんなイメージ。
すると、きっと1人分の持ち時間は10分から15分といったところ。
その中で、レミーに祝いの気持ちを伝えつつ、2人の魅力をを伝えるにはどうすればいいか。
うん、久しぶりに腕がなるね。
僕は、俄然逆凸に前向きになっていた。
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