第50回配信(蒼目線)僕の知らないところで

第50回配信(蒼目線)僕の知らないところで


『ミラーツインズ友達と3人でやってたんだー』

『これからも頑張ってほしい』

『気にしないで!応援してる』


僕らの突発配信後、僕らのコメント欄やつぶやきはこんな肯定的なもので溢れていた。

だが、僕らはコメントやつぶやきが溢れる画面をすぐさま閉じると、次の作戦へと移行した。


今、僕らに彼らの評価は必要ではない。

今僕らに必要なのは、龍のたった一言。


「これからも一緒に生きていこうね」


これだけ。

僕らは、すぐさま別のパソコンを開くと、ある人物にコンタクトを取った。


これは、龍も知らない秘密のパソコン。

より広く深いところまでリスナーのことを知るために使用しているもので、龍にも秘密にしている。

流石にここまで知られたら、引かれるんじゃないかと思って、僕らは隠しているのだ。

まぁ、何があっても龍が僕らを嫌うなんてあり得ないけどね?

そんなことあったら、すぐさま死んでしまう。

その時は、龍もだけど。


ある人物とは、もちろん龍の記事を載せた人物。

名前は、林茂雄。

龍と同じ学部で、同級生。

Vtuberが好きで、特にVtuberの中の人に興味ある系のファン。

そういう系の記事ばかりを見ては、つぶやきし、ガセネタでもバンバンに流しているタイプ。

しかも、自分が好きでないVtuberに対しては、ありもしない悪口や噂を流し、何度もつぶやきが荒れている。

しかも、複数のアカウントで。


アカウントを消そうと、そんなもん追いかけるのは簡単。僕らを舐めないでほしいね。

僕らは、コイツの全てのアカウントを見つけることができたのだった。


コイツも自然科学のテストを受けていたし、身長も計算に当てはまる。

しかも、写真にうつっていた建物にうっすら見えるロゴ、これはコイツのよく背負っているリュック。

しかも、そのテスト後に他のアカウントでも、この記事をはじめに拡散、コメントをしていた。


確実にコイツだ。

僕らはコイツに復讐する。

そう、僕らの復讐は別に配信をすることではない。

あんなの、龍とリスナーの人たちを安心させるためのもの。

それ以外に意味などない。

そう、これからが本番だ。


だが、ここで重要なことがある。

こいつは、龍の友達じゃないってこと。

もし、コイツが龍の友達だったら、復讐なんてしない。だって、龍が悲しむから。

僕らは龍が悲しむことなどしない。


本当のところは、龍には友達なんて作らないで1人でいてほしい。

僕ら以外に友達なんて作らないで、僕らと一緒にずっといてほしい。

本当なら、ずっとマンションにいて、3人で誰にも関わらず生きて行きたいのだ。

そんなこと、当たり前。


だけど、龍には龍の生活がある。

そこは守らなければ。

なぜって?

それはもちろん、いつかは僕らとのものになるんだから。それでは、龍の自由にさせないとね。


僕たちは、林の全てのアカウントに同じメッセージを送る。

もちろん、僕らも捨て垢で。


『龍を傷つけたこと、許さない』


メッセージを送ってから、少し経つと、


『誰ですか?』

『迷惑メッセージ送ってこないでください』

『通報します』


と返信が複数のアカウントから来る。

これだけ同時に来たんだから、さぞかし気持ち悪がるかと思いきや、この反応か。

僕たちは、顔を見合わせると、次々とメッセージを送る。


『ねぇ、龍ちゃんのことを傷つけた代償払うんだよね?当たり前だよね?』


『僕たちから龍を一時期でも遠ざけた罪、償うに決まってるよね?』


僕らは、三日三晩永遠にそのメッセージを送りづけた。

僕らの龍に対する愛は留まるところを知らないから、メッセージに事欠くことはない。

どれだけだって、メッセージは湧いてくる。


だが、林からのコンタクトは途絶え僕らのメッセージは無視された。

なるほどね、そう来るんだ。ここで反省している態度が見えたら、やめてあげてもよかったんだけど。

僕と紫友は、次の段階に進むことにした。


『今日のコーヒー美味しかった?』


『今日の授業の資料、ちょっと見にくかったよね』


というメッセージと共に、林が少し写っている写真を送る。

誰にもでも当てはまることでも、何度も送られて来れば不安にもなる。

別に、こんなの違うアカウントで発信してた情報と、行ってた場所に写真を合成したらすぐできる。

それで、


『いつもの時間の電車乗らないの?』


と送れば、大体の人は落ちる。

これでわかっただろう?

知らない人に自分のことを知られていることが、どれだけ怖いか。

どれだけ不安になるか。


すると、


『すみませんでした』


とメッセージが来た。

なんだ、ここで終わりか。

次の段階も用意していたけれど、僕らとしては大事にしたいわけではないから。

龍にバレてしまっては終わり。これ以上追う必要はない。

だけど、次はない。

覚えておけ。


僕らは、龍のためならなんだってできる。

それはもう、文字通り火の中だって水の中だって。

槍だろうが、氷だろうがそんなものは何でもない。

僕たちが唯一怖いのは、龍に嫌われるってこと。それ以外、怖いものなんてない。

わかる?これが愛ってこと。

誰にも勝てるわけないんだよ。

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