第47回配信(蒼目線)容赦はしないよ?
信じられない。
僕は、置かれた手紙を見てそんなことしか思えない。
なんでこんなことになってしまったんだ?
僕らは平和に、ただただ3人で楽しくしていただけなのに。
なにが僕らをここまで引き裂いたのか。
僕は考える。
そうか、僕が悪いのか。
そうだ、この記事は僕があの日大学でVtubeの話をしなければ起こっていなかったこと。
おそらく、龍は大学ではVtuberに興味ないフリなどをしながら、たくみに僕らと関わりがないように装っていただろう。
それを僕が崩してしまったのだ。
なんであの日、僕は龍にこの話を大学でしてしまったんだ。
別に帰ってきてからでもよかったのに。
僕は後悔の念しかわかない。
だけど、龍が大学にいるときに電話をしたら、僕らのことを思い出してくれるかもしれない。
龍のキャンパスライフに、一瞬でも登場したい、記憶に残りたい。
そんなことを思ったのがいけなかった。
だけど、そう思ってしまうのも仕方がないとは思わないか?
だって、僕は大学には行けない。
あんな話を僕がしなければ、こんなことにはならなかった。
きっと、今も3人で笑って生活することができていた。
なんで僕は、なんで僕は。
後悔をしている僕の横で、紫友は何やら忙しそうだ。
何をしているのかと、見てみると紫友はパソコンを激しく打ち、なにやら調べている様子だ。
なにを調べているんだ、もう調べたってどうにもならない。
龍は出て行ってしまったんだから。
今更何の意味がある…ん?あれ?そうか。
それを見て、妙に冷静になる自分がいた。
そうじゃん。
いまこんなところで悩んでいてもしょうがない。
龍が、僕らを見捨てるなんてあり得ない。
そんなことは絶対にあり得ない。
そう、そんなことはあり得ないのだ。
だから、大丈夫。僕らはずっと一緒。
なにがあろうと離れることはない。だって、そう言う運命だから。
でもなんで今龍はここにいないのか。
それは、龍が心配性だから。
龍は心配性だから、犯人が見つからないと心配なんだ。なるほどね。
犯人さえ見つければ、龍はすぐに戻ってくる。
だって、僕らのことが大好きだから。
もしかしたら、これは龍からのメッセージなのかもしれない。
早く犯人を見つけてくれって言うね。
大丈夫、こんな犯人すぐ見つけてあげるから。
待っててよ。
僕たちから龍を取ったのは誰だ。
僕と紫友はパソコンに齧り付き、犯人を見つけるために躍起になった。
僕らの能力を舐めるな。こんな犯人、一瞬で見つけて見せる。
誰に牙を向いたのか、きっちりわからせてあげよう。
まず、この写真はどこで撮られたのか。
この話をしたのは、大学。
ならば、まず龍の通っている大学であることは明白。背景も、大学の風景と一致する。
しかも、この背景は1506館がある壁に似ているな。
僕は、画像を見ながら考える。
次に、その日のテストはなんだったかを思い出す。
その日は確か、自然科学のテストのみだったはずだから、その日にテストを受けている人が龍の近くにいた可能性が高い。
あくまでも確立的な問題だが。
それに、1506館で自然科学のテストだったはずだから、理論上も一致している。
だが、この中でテスト後の時間に他のつぶやきをしている人は削除する。
よしよし、絞れてくるぞ。
つぶやきや他のSNS、裏垢まで見れば大体のことがわかる。
こんなにガバガバ情報を垂れ流しにしてくれていてありがとう。
えっとあとは、この角度からいって、龍との身長差は10cmもないくらい。
だと、なかなか大きいから身長は170cm後半。
すると、男性である可能性が極めて高いな。
候補はここまでくると、30人ほどに絞れてくる。
まぁ、この中にいるかどうかはわからない。
でも、いる可能性は高いよね?まぁいなくても探し出すけど。
あとは、この消された記事。
もちろん、消される前にデータは取ってあるし写真もバッチリ。
読んでいると、文章の癖が見えてくる。
カタカナにする部分や、句読点の付けるタイミング、文末への持って行き方。
文章には意外と人のクセが出る。
そして、そのくせはなかなか取れず、SNSでも出やすい。
この条件に当てはまる人は…。
僕が分析していると、
「ねぇ!龍ちゃんと同じ大学のコイツ、変なつぶやきしてる!」
紫友が大きな声で叫ぶ。
どれどれ?と言いつつ、画面をみると、おや不思議。
僕が目をつけていた人と同じ。
「コイツ、龍ちゃんの変な記事が出た後すぐに裏垢何個か消してるし、絶対に怪しい。それに、この記事載せてたアカウント名。昔飼ってた猫の名前と一緒!これはコイツの従兄弟のお姉ちゃんのアカウント見たからあってる」
さすが紫友。だてに僕らは双子じゃない。
僕らは犯人を見つけたのだ。
ふん、僕らに牙を向いた割に雑魚だったね。
そして、僕らは考えた。
どうしたら龍が戻ってきてくれるか。
龍に安全だと伝えても、きっと龍は戻ってきてくれないだろう。
龍は僕らのVtuber活動を1番に心配してくれる人。
きっと、リスナーの反応も気になっているに違いない。
僕らのリスナーさんたちは優しい人たちばかりだから、気にすることはないのに。
だけど、龍は優しい人だから。
僕らは考えた。三日三晩考えた。
そして、一つの方法にたどり着いた。
今の僕らにできる最大限のもの。
さぁ、僕らの復讐の始まりだ。
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