第46回配信(紫友目線)ねぇ、誰のものに手つけてんの?
私はその記事を見た時、怒りで頭が破裂するかと思った。
なんで、こんなことをするのかわたしには理解できなかったからだ。
別に、こう言う記事が蔓延っていたことは知っていたし、私たちにとってはどうでもいいことだった。
どう考えても、このVtubeをみて、私たちだとわかる人はいないだろうし、中学時代の人たちにバレなければもはや気にもしない。
だから、私たちに関する記事が出たことなんて、全くどうでもいいこと。
だが、問題はその記事が龍ちゃんに関わっていたことだ。
龍ちゃんのことを世界に発信するなんて、ありえない。
何でそんなことするの?意味がわからない。
そんなことをしたら、龍ちゃんの魅力が全世界に発信されてしまうじゃない。
もしこの写真を見て、好きになってしまう人がいたらどうするの?
もし、龍ちゃんに会いに行く人がいたらどうするの?
もしそれで、ストーカーでも生まれたら?そんなこと、絶対に許せない。
わたしは、頭が整理できない。
だって、こんなことをする心理がわからないから。
あ、この人って龍ちゃんのファンなの?
でも、別に好きなものは自分だけで好きだったら良くない?
他の人に教える必要なんてない。
むしろ何であるの?
だけど、そうじゃないと説明できないかもしれない。
だって、たまたま龍ちゃんと私たちの会話を聞いて記事を作るなんて普通じゃない。
もしかして、普段から龍ちゃんの後を付けてたってこと?
なにしてんの、意味わからない。
龍ちゃんの後をつけるとかありえない。わたしたち以外に龍ちゃんのことを知ろうと知る人がいることもあり得ないんだから。
可能なら、私たちだって、龍ちゃんと大学に行って、ずっと一緒にいたいんだから。
わたしは、見ず知らずの記事野郎に怒りの感情しか湧かない。
さらに、わたしを苛立たせたのは記事の内容。
龍ちゃん=お兄ちゃん?
意味わかんない。どう考えたって、龍ちゃんの声の方が綺麗だし、お兄ちゃんとなんか比べ物にならない。
写真だって、隠し撮りなのにいい感じに写ってるし。
こんな犯人、さっさと見つけてやるんだから。
そんな思いで、私は記事野郎を見つけるため、すぐさまパソコンを取った。
龍ちゃんは止めるが、私たちにそんな声は耳に入らない。
止めるわけないよね?だって、これは宣戦布告でしょう?
わたしたちをなめてるなら教えてあげる。
龍ちゃんは誰のものかって言うことを。
「う〜ん」
私は目を覚ます。
調べながら寝てしまったようで、体はバキバキ。
今何時だろうと見てみると、時刻は朝の7時。
はぁ、深夜3時ぐらいまでは記憶あるけど。
私はまだ頭がぼうっとしている。
だが、目が覚め頭が冴えてくると違和感に気がつく。
おかしい。
夏休みは龍ちゃんはマンションにいるはずだから、毎朝6時には起こされて、運動とか食事を取らされるのに。
何で今日は起こされなかったの?こんなこと今まで一度もなかったのに。
なんだか、私は嫌な予感がした。
私が起きると、そこにはお兄ちゃんもいた。
お兄ちゃんはなんだか立ち止まっているように見えた。
「ねぇ、お兄ちゃん!」
と私が問いかけると、
「紫友、これ見てみて」
と言った。
そこには、一通の手紙があった。
なにこれ?
見てみるとそこには、
『蒼、紫友へ』
の文字。
え?なにこれ。龍ちゃんからのはじめての手紙?ちょっと嬉しい気持ちはある。
だが、どう考えてもこれは置き手紙。
どういうこと?
わたしたちは慌てて、手紙を開ける。
するとその中には、
『騒ぎがおさまるまでは、僕は携帯でしかやり取りしない。
落ち着いたら僕は、もう2人のチャンネルに関わなくても2人がVtuberを続けられるように、色々教えてくれる』
そんなことが書かれていた。
なにこれ、私たちは呆然とする。
なんでそんなことになるの?意味がわからない。
なんで、龍ちゃんと私たちが離れ離れにならないといけないの?
あんな記事だけでそんなに大袈裟な行動取る必要ある?
ねぇ、待ってよ。
私は怒りで体が震える。
なんで?これまで楽しく、3人でたくさん乗り越えてきたのに、なんでこんなことになってるの?
これからも、3人でやっていこうと思っていたのに。
夏休みは、寝ても起きても龍ちゃんがいて、みんなで笑い合って、今日はゲーム一緒にしよって言ってたじゃない。
わがままを言っても、笑ってくれてた龍ちゃんは?
美味しいご飯を作ってくれた龍ちゃんは?
わたしのことを褒めてくれていた龍ちゃんは?
私は混乱し、頭が整理できない。
私たちを引き裂いたのば誰だ。
絶対に許さない。
死ぬほど後悔させてやる。
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