第38回配信 (レミー視点)今日は女子会という名の審判

はぁ、私は悩んでいた。


何にって?もちろん、コラボした2人についてに決まってるじゃん。

あのコラボを通じて、2人はより知れ渡ってしまった。

いや、別にいいんだよ?人気になることはそりゃあ、ファンとしては嬉しいし、Vtuberの先輩としても嬉しい。

だけど、やっぱり思っちゃうよね?

私だけのヤンデレであってほしいって。


いや、やっぱり知れ渡るのが嬉しいのと、ちょっと秘密にしておきたい気持ちが半々になる気持ちあるよね?

そりゃ、ファンならそう思って当然だと思うわけ。

そんな私が今悩んでいるのは、ガミちゃんにプライベートで連絡を取るべきかってこと。


勘違いしないでほしいけど、単純に仲良くなりたいだけだから。

これはVtuberの先輩として親交を深めようと思っているだけであって、別にヤンデレと仲良くなりたいとか、あわよくば私にだけの病みを見せてほしいとか、別にそんなことを思っているわけじゃないから。


でも、いいのか?この一歩を踏み出してしまっても。

私はそんなこんなで数日悩んでいた。

私は、もしやリスナーとしてあるまじき行為をしようとしているのかもしれない。

いや、でも同じ業界だし。

とずっとこの堂々巡り。


だけど、私はここで強く思った。

この仲良くなっている時に言っておかないと、もうこれから疎遠になることだって考えられる。

そうなったら、私にはもう興味がなくなるかもしれない。

いやだ、そんなことだけは耐えられない。


私は、そんな思いで連絡をとった。

そして、オッケーの返事が来た時、私は鼻血共に倒れたのだった。


私はその日に向け、日々トレーニングを続けた。

まず、ひたすらヤンデレの本を読み漁り、いかにガミちゃんに楽しく過ごしてもらえるかを考える。

次に、体を鍛え、どんな長丁場だろうと耐えられる体づくりを行った。

さらに、聞きたいことをメモしておき簡潔にたくさんのことを知れるように私は努力したのだった。


そして、迎えた当日。

ウキウキワクワクでどう言い表したらいいのかもわからないくらい緊張している。

だって、もう2人っきりだからね。これはもはやデートっいうか、親友みたいな感じじゃない?

って、まてまて焦ってはダメだ。

私は今日で、信頼されるVtuberの先輩として生まれ変わるんだから。


だが、そんな決意もガミとつながることで薄れる。

ねぇ、もう声を聞いてるだけで可愛いんだけど。

冷静さなんて保てるはずがない。

しかも、2人っきりだからね。何度も言うけど。

前はカガくんもいたけど、今日はいないし。


だけど、私は更なるガミの魅力に魅了される。

いつもと違って出てくる言葉は流暢じゃないし、プライベート感あっていい。

しかも、この頑なに顔を見せないのもプロ魂感じるし、これも良き。


あ、そういえばこれ聞いとかないとって思ったんだった。

私は、一度冷静になりメモを見直す。

あ!これこれ。

そう、それは、年齢。

Vtuberにとって、中の人っていうのは暗黙っていうか触れなくてもいいものである。

特に、同じ事務所でもなければ特に直接会うまでのことまでもせず、コラボをすることも多い。

だけど、これからも私はミラーツインズと仲良くいたい。

だから、せめて年齢だけでも知りたい、というか、タメ口で話しているが果たしていいのか、という気持ちで聞きたいのだ。

決して、相性占いがしたいとかそう言うことじゃないから。


意を決して、私が


「年っていくつなの?」


と聞くと、20歳との返答が。

うわ!本当?私と2歳しか変わらないじゃん。

ってことは、私が死ぬまでガミちゃんは生きている可能性高いよね?

よかったぁ。


私がホッとしている間に、ガミちゃんが聞いてくる。


「あの、龍ちゃんのこと好きなんですか?」


と。


ん?いや、どういう意味なんだろう?

龍ちゃんって多分、マネージャーの立花さんだよね?

好きになるって、私メッセージやりとりしてただけだけど。好きになるわけなくない?

私は頭がはてなマークで溢れる。


はっきり言って、私からすればマネージャーさんなど、全く名前さえも怪しいぐらい。

2人のことだけを見守ってこれからは生きていきたいくらいなんだが。

あ!私はここで気がつく。


もしかして、やきもち焼いてるんじゃない?

きっと、立花さんは2人のVtubeを支えてきた大切な人。

そんな人と私が事後とだろうと個別でメッセージを送りあっていたらそりゃあ嫌だろう。


なんともまぁいじらしいんでしょうか。

こんなことでやきもちを焼くなんて。

いや、こんなことではないんだよね。

うん、わかってる。

でも、私をやきもちを焼く対象として見るのは違うから!

私は2人しか見えていないから!

そんなことを熱弁し、私たちのオンライン飲み会は終わっていったのだった。

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