第33回配信 とりあえず通常運転に
はぁ、僕はため息と共に目が覚める。
昨日は本当に疲れた。
コラボだけでも疲れるのに、そのあとのヤンデレバレ騒動がとても疲れた。
まさか、レミーがヤンデレオタクだったとはね。
今世紀最大とびっくりと、疲労要因だった。
結局、あの後も大変だった。
2人は、レミーに対して敵対心剥き出しだし、レミーはレミーで2人のヤンデレ発言にしか興味がない。
レミーに対して悪口を言う2人を止めながら、レミーのヤンデレ好きを受け止めるのは至難の業だった。
おかげで、お互いの話は噛み合わないし、僕が疲れるだけ。
なんとか僕が間に立ち、通訳をすることで、2人はレミーが自分達のファンであることを理解し、レミーの方も2人に愛を伝えることができたのだった。
そこからもさらに疲れた。
2人への愛を存分に語りまくるレミーと、自分達への愛の急になる供給に照れる2人。
これもまたこれで、シュールな状況。
そんなこともあったが、結局は2人はレミーと仲良くなり、プライベートのアカウントも交換していた。
はぁ、僕だけが疲れている。
なんだよ、最後にこんな仕打ちか。
だが、結果としては1人味方ができたのだともいえる。
これは大きな第一歩。
これからも信用できる人を増やしていくことができれば、いずれは2人だけでも活動できるようになるかもしれない。
僕だって、いずれは2人から離れないと。
子離れってやつだね。
2人にはまだ絶対に言えないけど。
コラボ後の反響はすごく、動画の再生数は急上昇ランキングに入り、コメントも上々。
また、配信前は否定的な発言も見られたSNSでも、肯定的な意見の方が多くなっており、調べる2人も大満足。
2人も、コラボ前はあまり乗り気ではなかったように見えていたが、終わってからはレミーの配信を楽しそうに見ながら、
「レミーすごいね、これ。お兄ちゃんうちらもこれできるようになろ」
とか言って、2人でゲームの練習をする様子も見られた。
よかった、これでもしコラボが失敗してたら2人にとって結構なトラウマになっていたかもしれない。
ここを皮切りに、今までは少し避けていたコラボも少しずつ増やしていければと思う。
2人にとってもいい影響のあるコラボを。
そして、通常の配信にも変化が。
まず、初見で来てくれる人が増えたこと。
これまでもいたはいたが、やはりヤンデレという狭い業界で頑張っている2人。
見てくれる人は固定気味になっていた。
もちろんその人たちも大切だが、よりいろんな人に2人のことが知ってもらえたら、とは僕も思っていた。
そうしたら、2人にとってもVtubeをより楽しめる方向につながるかもしれないって。
だから、このコラボをきっかけに見ている、との発言をしてくれる人がいると、自分のことのように嬉しい。
それに、レミーが個人の配信で2人のことを絶賛してくれたのも大きい。
やっぱり、推しの推しって見たくなるみたいな精神働きやすいよね。
その影響もあるのか、コラボを見てから、と言うだけでなく、レミーが好きだって言っていたから、ちいう方向性でも見てくれる人が増えたように思える。
そのため、レミーリスナーと被っているリスナーも見てくれるようになってきた。
いい傾向だ。相乗効果ってやつ?
それに、2人をただヤンデレで売れているんじゃないか、と思っていた層がゲームの実力も認めてくれてきているように思え、これも大きな変化のひとつだ。
そりゃ、2人の売りはヤンデレだとは思う。
双子でヤンデレなんて、珍しいんだからそりゃそれだけで売れていると思われても仕方ない。
だが、2人はトークやゲームもうまいのだ。
そのことを、コラボを通じてたくさんの人に知ってもらえたようだ。
これは、2人にとって大きな変化だといえる。
それに、これは別に関係ないと言えばないが、ヤンデレっていいねって言ってくれる人も増えた気がする。
ヤンデレってデレ業界では少し好かれにくいと僕は思う。
やっぱり、二次元で犯罪チックなことを起こしやすいこのタイプは、苦手とする人も多いだろう。
だけど、ハマればハマる魅力がある分野ではあると思うし、その魅力の貢献も2人ができると言うのはいいんじゃないか?
そうすれば、いつか2人の通常でもヤンデレなことがバレてしまったとしても、味方になってくれる人が少しでも多くなるかもしれない。
それは、とても大切なことだ。
そんなふうに僕がしみじみ考えている横で、
「ちょっと、紫友これ見て。この人最近僕らのこと見初めて、昔のも見てるって。昔のとか恥ずかしすぎる。死にたいんだけど」
「ねぇ、見てよ。新しいリスナーの子たち私たち以外のことも呟いてるんだけど。ありえない」
と、いつも通りの様子。
はぁ、2人はもう通常運転か。
もう少し、レミーを見習って欲しい気もするけど。
って、レミーも大概か。
はぁ、どこかにまともなVtuberいないのかな。
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