第27回配信 もう終わりだ

そして、順調に配信は進み、時刻は午後11時。

そろそろ配信終了の予定時刻。

どうしようかな、結構楽しんでるしいつ言おうか迷う。

そんなことを思っていると、


「今日の配信はここまでにしよっか!」


とレミーが言う。

さすがだ、なんというタイムスケジュール。

しかも言いにくいことを言ってくれる勇気。

ありがたい、2人では絶対に言えないから。


「2人は初コラボだったけど、どうだった?」


レミーが、最後のまとめも振ってくれる。

すると、2人も


[凄く楽しかったです!]


【今度は、対戦のゲームもしたいなぁ】


と返す。

2人も相当楽しかったのか、コラボ後の会話もスムーズに話すことができている。

しかも、紫友は今度という未来を捉えた話してまでするなんて。

僕は2人の成長と共に、こんなに短時間で2人を成長させてくれたレミーに感謝する。

ありがとう!


そして、少し話をした後、


「じゃあ、今日の配信はここまで。また見てねー!」


と、レミーの締めで配信は終了する。

コメント欄の盛り上がりは、終了までとどまることを知らず、SNSは大盛り上がり。

今回のコラボは大成功だったと言えるだろう。


終了まで特にヤンデレが出過ぎることもなく、かといって出ないこともなくといった、ちょうどいい感じだった。

ゲームの調子も良かったし、レミーリスナーの中でも2人の配信をまた見にこようと思ってくれた人もきっと多いはず。

僕は、配信の成功に喜びの思いを感じていた。


2人ともお疲れ様、と言おうとして僕は我に返る。

忘れてはいけない、まだ終わってはいないのだから。

そう、僕らにとってはここからが勝負でもあるのだ。


帰るまでが遠足というように、配信は切るまでが配信終了。

もちろん、全世界に対する配信は終わっている。切れ忘れではない。

だが、まだ繋がっているものがある。

それは、レミーとの会話。

流石に、配信終了。じゃあ、こっちもバイバーイとはならない。

今回はコラボだから、配信後にプライベートな会話があるに違いない。


そう、ここからのミッションは、レミーに配信外でのヤンデレがバレないようにするということ。

レミーにバレたら最後、すぐに広まってしまい、瞬く間に2人は危ないヤンデレとして知れ渡ってしまうかもしれない。

だが、プライベートな話を断るわけにもいかない。

だって、せっかく仲良くなれるチャンス!

そうなく配信後の会話もこなし、レミーが匂わせた“今度”を実現させたい。

欲望の塊だけど、仕方ないよね。

だって、2人の良さも存分にできていたコラボだったからね。

さぁ、来い!レミー。

僕らの準備の成果を見せてやる。


「今日はお疲れ様でしたー!お2人とも今回はコラボしてくださってありがとうございます!」


とやはり、レミーが話を振ってくる。

やっぱりな、このままさっと終わるほど、レミーは甘くない。

だが、これは、想定済み。


2人も僕に目配せし、レミーとの会話を続ける。


「お疲れ様でした!こちらこそありがとうございます!」


と蒼が返す。

2人は、まだ僕らコメント見なくても大丈夫だよ、といった目線で僕をみる。

強くなったなぁ、2人とも。


だが、



「あそこすごく良かったです!やっぱりお2人は普段からゲームよくされるんですか?」


あれ?もうかれこれ30分は話している。

おかしい、計算違いだ。

僕らの予想では10分15分でプライベートトークは終わり、コラボは終了。

その後、2人はコメントやSNSを見る予定だった。

だが、予想外にレミーがたくさん話しかけてくる。なんでだよ、レミーも忙しいはずなのに。


そこからさらに15分。

2人はもう、コメントやSNSが気になりすぎて、もはや会話が成り立っていない。


レミーが言った言葉に、


「あぁ、そうですね」とか「ありがとうございます」


とかしか言っていない。

おい、失礼だろ!

気持ちはわかるが、もっと返答に気合を入れろ!

僕の視線が伝わったのか、2人もなんとか持ち直す。

だけど、そろそろ限界かもな。


配信終了から1時間が経ち、もう2人は瀕死の状態になってきた時、


「あ!ごめんなさい。すっかり話しすぎちゃって。はじめてのコラボで疲れてらっしゃるのに」


とレミーが言ってくれた。

やった!そろそろ終わりそうな感じじゃない?

2人も、「いやいや、そんなこと」と言いつつ、終わるように会話を誘導している。

すごい、いつのまにかそんなテクを。


「それじゃあ、また今度!今日は本当にありがとうございました!」


レミーのそんな締めの言葉でやっとプライベートトークも終わり。

その時間計1時間15分。

よく頑張った、2人がここまで我慢できるとは。

僕は涙が出そうになる。


そして当の2人も、


「はぁ、疲れたよ。ここまでエピローグがあるとは」


「本当だよ!もう!早く見たいのにー」


と2人は疲れているが、疲れなどないかのようにすぐに移動すると、コメントやSNSにかぶりつく。


「あぁ、みんなの反応見たくて落ち着かなかったよ。さぁ、みんな見てくれてるかな?やった!みんな結構見てくれてるよ。いつものあきちゃんとかガミちゃん大好きさんとか」


「お兄ちゃん!つぶやきもいい感じだよ。やっぱりみんなうちらのこと見てくれてるんだ。大好き、もうみんないないと生きていけない」


と楽しそうな様子。

まぁ、今日は0時過ぎるのも許してあげよう。

僕も明日は休みだし、とことん付き合ってやる。


「ねぇ、お兄ちゃん!ルリちゃんはこの時間、違う配信見てるんだけど。ありえない」


「えっ、僕のプレイ今日ちょっと下手だったって。やだ、もう生きていけない」


2人は今まで我慢させられた分、一気に見て、ヤンデレ全開。

いや、なんだかいつもよりもヤンデレが強いな。

2人の様子を見て僕が少し苦笑いをしていると、


「ねぇ、さっきの言葉、どういうこと?」


紫友の声とは異なる女性の声が聞こえる。

え?誰の声?

僕は慌てて、声のする方を見る。

すると、画面が光っている。

え?嘘!レミーとまだ繋がってる?

僕が慌てて画面を見ると、確かにまだ繋がっていた。


嘘だ、うまく切れていなかったのか?

もしかして、さっきの2人のヤンデレ発言がきかれてしまったのか?

やばい、なんで僕は今日に限ってきちんと確認しなかったんだ。

2人のサポートをするのが僕の役目なのに。

なんてことだ。最後の最後でこんなミスをしてしまうなんて。

もう終わりだ、、と思った瞬間、僕の想像とは異なる言葉が飛んできた。


「やっぱり2人って本物だったんだ!最高すぎて頭かち割れるわ」


え?なんて?

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