第26回配信 どきどきのコラボ配信開始!
午後9時を回ると、待機画面が変わる。
そして、
「こんばんわー。今日もお疲れ様!レミーです。みんな元気でしたかー?」
レミーの元気な挨拶から始まり、待機画面から待っていたリスナーたちのコメントの速度も上がる。
『待ってました!』
『ワクワク』
『伝説のコラボ待ってた!』
見たことのないスピードでコメントは進み、ひとつひとつ追いかけることなどできない。
あぁ、ついに始まったぞ。
僕は緊張と感動で胸のどきどきが止まらない。
2人もそうなのか、ガチガチに固まっている。
そして、
「今日も元気に配信していきたいと思うんですが、今日は、スペシャルゲストに来ていただいています!」
とレミーが2人に話を振る。
僕は緊張を振り切るように、頭を振る。
さぁ、2人の番だぞ。僕は合図をだす。
その合図を見て、2人は頷き、
[こんばんわ、初めましての人ははじめまして。
いつものリスナーさんはお待たせ。ミラーツインズのカガです]
【妹のガミでーす!レミーさんのリスナーさん初めましてー!】
2人は緊張でガチガチなのが嘘のように、さわやかに挨拶することができた。
2人の挨拶に、2人のリスナーも負けじと、
『カガくん今日もいい声!』
『ガミちゃんかわいいー!』
とコメントが盛り上がる。あ、いつも見にきてくれている人たちだ。知っている名前がちらほらある。
レミーリスナーが多いものの、2人のリスナーだって沢山いる。
よかった、アウェイ感は少なそうだ。
2人を応援してくれる人たちは沢山いる。
ちなみに、スラスラと言った先ほどの挨拶。
2人にしてはスラスラだと思ったよね?
そう、実はこれは、僕が用意しておいた原稿をかいつまんだもの。
乗ってきたら2人は自由に話せるかもしれないが、始めは無理だろうと僕が作ったのだった。
なんとか始まりは成功。僕ができる手助けはこの程度。
さぁ、頑張れ2人とも。
そこからは、レミーが軽やかに会話を回す。
「実はね、2人のこと前から気になっててー」
「だって、双子でVtuberとかあんまりなくない?」
と、コラボのきっかけや、2人のことを知らない人にもわかりやすいよう、2人の紹介もしてくれる。
そして、レミーの会話のパスに2人も徐々に乗ってくる。
[僕らからしたらレミーさんなんて雲の上の人ですよ]
【そうそう、絶対コラボなんてできないと思ってた!】
2人も、初対面とは思えないほどの親しい返しができている。
やっぱり、配信前に少し話す時間があったのがよかったのかもしれない。
緊張がほぐれていることが、手に取るようにわかる。
よしよし、いい感じ。いつもの2人っぽくなってきてるよ。
僕が画面を見てみると、すでに、視聴者数は2万人を超え、注目のコラボであることがわかる。
視聴者数は見ている間にも続々と増え、コメント欄も盛り上がりを見せる。
つぶやきはトレンド入りし、それを見たのかまた見る人が増える、という繰り返しで数字は止まることを知らない。
すごい、僕らだけでは超えることができなかった2万人の壁を軽々超えている。
僕は、改めてレミーの凄さ感じた。
「じゃあ、そろそろゲームしてこっか!」
とレミーが言う。
もう、午後9時15分か。
つかみは上々、ここまでは計画通りだし、時間もいい感じ。
やっぱり、配信を長くやっている人って時間の配分も上手なんだなぁと感動する。
僕も見習わないと。
今回のゲームは協力して、ステージをクリアしていく有名なもの。
リスナー参加型でもいいんじゃないかという意見も出たが、計3人分のリスナーが参加するのは混線が予想されるということで却下。
その際にレミーが、
「リスナー参加型は今度しようね」
と何気なく言った言葉が、僕には突き刺さっている。今度があるのか。
僕は期待してしまう。社交辞令だろうけどね。
レミーの提案からゲームに移り、3人での初ゲームが進んでいく。
レミーが、2人も得意なゲームにしてくれたおかげで、無理することなく、2人も楽しんでゲームを行うことができている。
[レミーさんナイス!]
【ちょっと、お兄ちゃんそこはだめ!】
3人は協力(ちょっと妨害し合いつつも)しながら、順調にゲームは進んでいった。
3人の息はぴったりで、見ているこっちもハラハラどきどき。
このゲームにしてよかったな、と僕は嬉しくなった。
さらにより緊張がほぐれたのか、徐々に2人らしさを出てくる。
[あぁ、だめだ。僕はなんでいつもこうなんだろうか。死にたい]
【ちょっと!レミーさんばっかり見てないで、私のことも見てよ!許せない】
と、いつも通りの発言を見せる。
その様子にリスナーたちも、
『ガミちゃんのことも見てるよー!』
『ガミちゃんのオモロい。しらんかった笑』
『ヤンデレきたー!』
と盛り上がりを見せる。
いいね、思っていたよりも2人も楽しそうだし2人の個性も、しっかり出せている。
もう僕の台本など、2人は見ていない。
2人の姿を見て、ふと僕は思った。
あぁ、これから先、他の人とのコラボもできるのかもしれないなぁと。
そして、そのコラボを通して2人はより生き生きとし、以前の2人に近づくのではないか、と。
Vtuberを勧めてよかった。
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