第23回配信 返事がきた、そして
ピコンッ。
通知音とともに目が覚めた。
ちなみに、僕が通知をオンにするなんて、とても珍しいこと。
だって、もしもいつも通知をオンにしていたら、2人からの通知で電池切れるくらい連絡くるし、1分とたたずに通知音が鳴り響く生活になるだろう。
そんなことをしていたら、僕は精神が崩壊してしまう。
だから、僕はいつも通知はオフなのだ。
だが、今回は1人に限り、つぶやきの通知音をオンにしていた。
それはもちろん、レミーに対してに決まっている。そして、それはレミーからのコラボに対する返信を逃さないためだ。
僕は通知音で一気に眠りから覚め、急いで携帯をみる。
すると、
『ありがとうございます!コラボ楽しみにしています!楽しいコラボにしましょうね』
との通知。
わ!凄い。
本当に、レミーから返事が来た。
返事が来るまでは夢なのかと思っていたけど、やっぱりこうやって返事が来ると現実なんだなと実感する。
凄いことだ、Vtuberとしてここまで2人は成長したんだな。
僕は感動を噛み締めた。
やった、これで本当にコラボできる。
僕はその日、学校が終わるとすぐにマンションに向かった。
そして、
「返事が来た!コラボが決まったよ!」
と大きな声で言いながら入った。
さぁ、嬉しいでしょう?喜ぶでしょう?
そう思いながら入った部屋では、2人とも一瞬変な顔をした。
ん?どうしたんだろう?そう思ったが、すぐに、
「やった!よかったね」
「本当?めっちゃ楽しみー!」
と言った。
よかった、てっきり嬉しくなかったのかと思っちゃった。
あるよね、前日までは遊びに行くの楽しみにしていたけど当日になるとめんどくさくなるとか。
そういう感じかと思ってドキッとしたけど、違ったみたいでよかった。
僕は2人と喜びを分かち合いながら、次のことを考える。
レミーとコラボについて話し合わないとって。
そして、僕はレミーと連絡をとりながら、2人を励ます日々が始まった。
ちなみに、僕が連絡をとる係。
2人が冷静かつ、的確に連絡をとることは難しいと判断した僕が、DMの管理をしている。
そして、2人の前で連絡を取るとうるさいので絶対に学校や自分の家などできる限り2人に見つからないように連絡をとった。
自分達では連絡を取れないくせに、僕がとっているとうるさいのだ。
僕はあまりマンションでは携帯をいじらないようにしている、というかマンションに入ると早々に2人に携帯を取られる。
そして、チェックされる。余計な人と連絡を取り合っていないのか、2人以外のVtuberを見ていないのか、って。
そんなに暇じゃないから、僕。
レミーとは、いつ何時からするのか、どんな企画をするか、という打ち合わせについて連絡を取り合っていた。
また、コラボ時の宣伝方法やサムネイル、繋ぎ方などコラボ初心者の僕に、コラボの心得をたくさん教えてくれた。
さらに、僕が協力型のゲームがいいんじゃないか、と提案すると、
『いいですね!私もゲームは好きですし、おふたりもお上手ですもんね』
と返信がくる。
優しいな、レミーは。
褒めることも忘れずに、僕の意見も聞いてくれる。その上で、
『このゲームよりはこっちの方がいいですよね?』
と自分の意見もきちんと出してくれる。
凄いな、こんなにトップとなっても偉そうにしない人もいるんだなぁと感動する。
そして、2人を励ますとはどういうことか。
実は、2人はコラボが近づいてくるにつれて、少しずつ不安定になっていったのである。
コメントやSNSを見る頻度は増え、携帯から目を離せない。
コラボに備え、配信後の観察をすぐにはさせないようにしているものの、それでも30分以内には見てしまう。
さらに、レミーの配信を見ては、
「こんな人とコラボしたら私たちのダメな部分が全部バレちゃうよ」
「こんな人とコラボなんてできるわけない。いまからでも断るとかできない?」
と消極的な言葉しか出てこない。
まぁ、確かにレミーの配信は面白く、飽きない。
ベテランの配信を見ると自信が無くなるのもわかる。
だけど、コラボするからには相手に対して理解は深めておきたいし、話のネタはほしい。
だから、できる限り配信は見ておきたい。
それに、2人は他のVtuberと関わりがないわけだから、できればこれを機にVtuber仲間を作っておきたい気もするよね。
だが、僕は2人に言った。
別に無理して見なくてもいいよって。
2人が不安になって不安定になってまで見るものでもないし、僕が見て最低限の知識だけでも教えればなんとか乗り切れるかもしれない。
失礼かもしれないが、2人に無理をさせるためにコラボをさせるわけではないから。
レミーは配信歴が2人より長いし、大手事務所に所属し、フォローも手厚いに違いない。
だから、別に気にしすぎる必要はないのだ。
2人には2人の良さがある。
たが、2人は
「大丈夫、見るに決まってるじゃん。任せてよ」
と頼もしい返事をしてくれた。
凄いな、コラボする前からもう2人とも新しい一歩を踏み出しているような気がする。
そして、とうとうコラボの日がやってきた。
さぁ、頑張ろう。そして、新たな一歩を踏み出そうじゃないか。
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