第18回配信 最近ちょっと変なことが

「まりあちゃんねる」との戦い?を通して、2人は少し成長した。

あまり周りを気にしない、というかリスナーのことだけを見ていた2人が、よりリスナーのことしか気にしなくなったというか。

成長したというか、退化したというかっていう感じだけど。

まぁ、2人にとっていい変化だったことは事実で。

情緒は安定しているし、コメントやSNSを見る時も、以前のように鬼気迫る勢いではなく、自分達の参考にするために、愛を確認するために見ているようで、前よりは安心して見守れる。

これはこの戦いを通して良かった点だと言える。


だけど、


「ねぇ!見てこの人、またすぐにコメントしてくれてる」


「本当だ、しかも僕らが良いって言ったカレーすぐ試してるね。良い人だ」


そう、最近はこういったコメントやつぶやきが多い。

今までは、2人のヤンデレに湧く声が多かったのだが、2人の熱狂的ファンが増えてきたような気がする。

それ自体はありがたい。

2人は元々、周りに人を集めるタイプ。

きっとそんな魅力が容姿に関係なく、動画を通じてでも伝わるんだろう。

だから、多少は仕方ないと思うんだけど、なんだが、リスナーもちょっと重くなってきたような。ヤンデレって人を染める力を持つものなのか?

ヤンデレなファンが増えてきたらもはやヤンデレ製造のVtuberみたいになっちゃうんだけど。


ファンがいてしかも熱心にコメントしてくれることはありがたいし、別にいいのだ。だが、どんな発言にだって2人は喜んでいるから心配でしかないのだ。

この間も、


「ねぇ、私がこの間思い出せないって言ってた本これじゃない?コメントで教えてくれてる」


「そういえば、いつもより声が鼻声だったって。風邪引いてないけどなぁ」


よく見てくれているといえばそれまでだが、これからどれだけヒートアップしていくかもわからないし、距離感が近くなってきていると心配になる。

2人だったら、昨日これ食べたでしょ、とかこここの間行ってなかった?とか言われてもなんの疑問も抱かずに受け止めそうだ。

Vtuberの中の人に興味ある人だって絶対にいる。

そうなってくると、2人の私生活も侵される可能性だってある。

もしも本当にヤンデレだってバレたら?そうなった時にもファンでいてくれるかはわからない。

フィクションだから受け入れられるって言う点も絶対にある。

それに、2人のことを知っている人にバレたら?ましそれで2人の居場所がわかってしまったら?


そんなことを言うと、どうせ過保護だって言われるから言わないけど、やっぱり心配だ。

2人はちょっと疑うっていう意識を、自分達に対することにも向けて欲しい。


僕が少しでもいつもとは違うことをしたら、すぐに問い詰めてきて証拠を掴もうとするくせに、自分達のことに関しては本当に無頓着。

あの出来事があった反動で、一時は他人と関わることもトラウマになっていた2人だったが、今ではリスナーのことなら無条件に信じている感じがあって、それもそれで良くない。

自分達がすることだから、他の人がしていてもなんとも思わず、むしろ愛ゆえだと受け止めてしまうのだ。

人を信じては欲しいし、そうなっていっては欲しいのだが、適度に疑うことも知らないと痛い目に遭うのは2人なのだ。


だけど、最近本当に心配というか奇妙なつぶやきが増えているような気がする。

なんだか2人の行動を監視しているような、そんなつぶやき。

2人の何気ない時間が定まっていないつぶやきにすぐに返信、2人が話していたものをすぐに買い、つぶやく。

まるで2人のことを監視しているのかというぐらいのタイミングでつぶやかれることもあり、僕としては不安になってしまう。


たが2人は、


「それだけ私(僕)たちのことが好きなんだよ」


って言ってる。

自分達がそうだからってみんながみんな単純に好きだからってずっと見ているわけじゃないから。

そんな言葉が出るのは君たちが実際にやっているからなんだけどね。

君たちはまともではないのだから。

しかも、それが1人じゃなく数人のアカウントあるとなると、僕としては心配せずにはいられない。


まぁ、リスナーの中にもヤンデレっぽい人はいるかもしれないし、もしかしたら2人に触発されてそうなっているのかもしれないけれど、それにしたってちょっと心配していまう。

こういったことが後からトラブルにつながったりしたらどうする?

もし誰かに知られて2人の居場所が中学時代の人たちにバレてしまったら?

そうなったら、以前の2人に戻ってしまい、今度は何を使ったって話をすることすら難しくなってしまうかもしれない。

そんなことを次々に考えてしまうほどに、僕は心配で不安。そして、少し背筋が寒くなる。

それは嫌だ。せっかく最近いいリズムなのに。

このままいけば、きっと2人は元の2人に戻れるはずなのに。

そんなことは僕がさせない。

危険な予兆は僕が早めに摘む。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る