第11回配信 話題の新人Vtuberあらわる
はぁ。休日が怒涛に終わり、平日を迎える。
休日は2人のお世話で終わっていくし、平日は大学と僕に常に休みはない。
昨日も、結局0時までヤンデレ会。
木曜日の後だけでなく、どの曜日であっても、2人がチェックする勢いは止まらない。
どれだけの人の何を見ているのか。そんなに見たってその人のことをコントロールできるわけでもないのに。
しかも、僕が止めなければずっとしてる勢い。
見張っていないと行けないと思わされている時点で、僕も2人のヤンデレの罠にハマっているとも言える。
疲れ切っている僕だが、今日も2人のマンションに向かっていた。
今日はよく信号に引っかかるなぁ。
そんな時に飛び込んできたのは、こんなネットニュース。
『視聴者数2万人超え!Vtuber界の神聖現るか』
なんだこのニュース。
Vtuberに関わっているものとしては無視できないニュース。どんな人だ?全く情報が入ってきていない。
記事を読んでみると、Vtuberとして活動し始めたばかりだが、その可愛らしいルックスと特徴的な声、トークのうまさで着々と登録者数を増やしているというのだ。
なんといっても、ぶりっ子キャラがいいらしい、と記事には書いてある。
なるほどね。これは話題になりそうだ。
どの業界でもそうだが、新人が活躍していると話題になることは多い。
ましてや、今流行りのVtuber界でそういったことがあれば、話題性はあるし、関心度も高いだろう。
単純に、僕はこの子の手腕が気になった。
2人の動画をサポートしている身としては、2人ももっと活動の幅が広がるように、2人が楽しんでできるようにしていきたい。
だが、新しいVtuberが出てくるってことは2人を見る人も少なくなる可能性があるってことではある。
Vtuberが出始めた頃とは違って、今はVtuberの人数も増え、テレビにも出る時代。
僕だって、そういった番組を見て知り、始めた(始めさせた)1人なのだから、どれだけVtuberが世間に浸透してきたのかがわかる。
母数が増えれば当然、他に流れる人も出てくるわけだから、デビューしたてといったって侮れない。
僕もこの子の動画を見て、研究しなければ、と思い見ようとすると、信号が青になった。
後でみようっと。
2人にも話題のあるニュースは収集し、話の種にして欲しいものだが、今回はめんどくさいから2人には黙っていよう。
キャラは被ってなさそうだし、そうそうリスナーが減ってしまうことはないだろう。
どうせ、知ったところで見習うどころか、リスナーへの嫉妬で狂うだけだし。
「ただいまー」
そう言って、僕は2人のマンションに入る。
すると、珍しく2人はソファーに座り、真剣にテレビを見ていた。
へぇ、2人が真剣にテレビ見てるなんて珍しい。何見てるんだろう?そう思い、僕はテレビ画面を見る。
すると、見覚えのある顔が写っている。
僕が先ほど調べていたVtuberの顔だ。
うわ、もう知ってるのか。
めんどくさいことになりそうだ。
2人は、僕がきたことにも気がつかないまま動画を見続けている。
すると、
「あ!待って、さっきの子、うちらのリスナーだよ。絶対そう!あ、あの子も!まりりんちゃん」
「今のところ、150人は、僕たちのリスナーと被ってるね。あ!あのさけおにぎりちゃんも僕たちのリスナーだよ」
2人が見ているのはVtuberの方ではない。
2人が見ているのはコメント欄。しかも、そのコメントをしている人たち。
自分達のリスナーでありながら他のVtuberを見ていることが許せないっていうこと。
せっかくみるなら、Vtuber力を向上させるための糧として欲しいものだ。
だが、2人にとって重要なのは自分達のリスナーが奪われないか、ただそれだけ。
まぁ、ある意味いつもの2人ではあるわけだから、放っておくに限る。
すると、やっと僕に気がついた紫友が、
「あ!龍ちゃん!きてたの?ねぇ、見てよ。この人話題の人らしいんだけど、私達のリスナー奪ってくの。みんな私たちよりこの人がいいなんて言い出したらどうしよう?」
そう言って縋ってくる。すると、握っていた僕の携帯が落ちた。落ちた拍子に映った画面には、研究のため見ようと思っていた僕の動画再生画面が見える。
あ、やばい!
そう、映し出されたのは、何を隠そう2人が嫉妬しているVtuberの動画。
「はあああ??龍ちゃんも見てるとかありえないし!龍ちゃん私達以外の放送見ないっていう約束だったよね?」
「うそ、龍太郎。龍太郎は僕たちの一番の味方であるべきじゃないのか」
いや、そんな約束してないし、ちょっと他の人の見ただけで大袈裟なんですが。
あと、リスナーのみんなも1人しか見ないわけじゃないから。多分2人の動画も見つつ、この子のも見てるわけじゃないかな。
そう思っても、僕は2人の剣幕を前に言うことは出来なかった。
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