第7回配信 ゲームって友情壊れたりするもんね
あれから対戦は続くものの、なんとか素ヤンデレのある発言は出ていない。
出そうなところあったが、なんとか踏みとどまっている。
もう一回出たら、もう誤魔化せないよ。みんなヤンデレ発言には敏感なんだから。
そんなこんなでゲーム配信は続き、もう22時半。もうそろそろ最終戦にしないと。どうせヤンデレ会あるし、遅くまでは無理。
リスナーの人たちも明日は金曜日。朝から学校や仕事がある人も多いし、そろそろ終わり時でしょ。
僕は次で最後の合図をだす。
2人は視線を合わせ、
[じゃあ、次で最後ね?]
【勝ち逃げさせないから!】
と言う。
その言葉に合わせ、最後の対戦であることを惜しむ声や最後頑張れといったコメントで溢れる。
最後も、魅せてほしいという期待はゲーム配信あるあるだよね。
最終戦が始まる。
これは、紫友が有利か?
最初の積極的な攻撃から、蒼は防戦一方。
これは、来るかもしれない。
あ、決まるぞ。この技決まると蒼はやばい。
僕がそう思った瞬間に絶妙なポイントで紫友は技を決め、蒼の顔を地につけた。
【やったー!】
紫友の高らかな声が響き、紫友は勝利した。
紫友の勝利で、ゲーム配信は終わりに近づく。
よしよし、今日もなんとか平和に終わったな。途中、少しハプニングはあったが、まあ許容範囲。
あとはヤンデレ会に向けて体力を残しておきたい。
そう思い、油断していた僕に良くない言葉が聞こえてくる。
【やっぱり、リスナーのみんなは私の方が好きだもんね?よかった、お兄ちゃんは意地悪大人気ない野郎だからね】
いや、やめろ。ケンカをふっかけるな。
蒼は兄でありつつもあんまり耐性ないんだから。
ケンカは買うタイプなんだから。やめて、最後の最後に。
僕の心配は的中する。
[ははは、カガの煽りは低レベルだなぁ]
いや、全然目が笑ってない。
リスナーには見えていない蒼の目は笑っておらず、空気が冷えてくる。
リスナー達は
『ガミちゃんめっちゃ煽る笑笑』
『もちガミちゃんの方が好きだよ!!』
『ケンカしないでー』
三者三様のコメントで溢れる。でも、やっぱり営業っていうか、演技だと思うでしょ?
違うんですよ。ケンカもヤンデレも本当なんですよ。
ってそんなことどうでもいいわ!
なんとか、配信だけでも平和に終わらせろ!
[じゃあ、この辺でー。また来週!]
【バイバーイ】
僕の怒りの目が届いたのか、なんとか配信はいつもの煽り合い、と言う形で終わった。
だが、終わってからが酷かった。
「紫友はコメント見てって言ってるじゃん。なんでつぶやき見てんの?」
「別にいいじゃん!お兄ちゃんこそコメント見れば?メンヘラ野郎が!」
はぁ、いい加減にしてくれ。
配信が終わり、30分が経っても2人はケンカをしたまま。
最後にケンカふっかけたのは紫友だが、最初に煽ったのは蒼だし、喧嘩両成敗ってやつ。
だから、どっちか大人になってほしいのに、全くそんな雰囲気はない。
むしろ、悪化し続けている。
だけど、これは結構恒例行事とも言える。
毎回そうなのだ。
ゲームに熱中しすぎる→普段が出る→僕に注意される→煽り合いしかすることなくなる→兄妹ゲンカになる
いい加減学んでほしいし、大人になれ。そして、僕も学ぶべきだ。さっさと対策すればいいのに。
僕は、ゲーム配信では、素ヤンデレが出てしまうことが問題点だとっていたが、ゲーム配信後に、大体兄妹ゲンカが怒ってしまうのも問題だと言える。
ゲームの勝敗の結果がダイレクトに響く2人。自分の感情をコントロールすることが難しいタイプの2人。
この2人とゲーム配信はなんていうか食い合わせが悪い。胃もたれする。
本当に、配信をコントロールするのは大変なんだから。
放送事故にならないように、炎上しないように配慮がしてるのは僕だよ。
はぁ、くだらないと思うかもしれないが、その影響を受けるのは僕。
僕は僕を一番大切に考えたい。
ゲーム配信はリスナーの人に好評だし、できれば月2の頻度で行っていきたい。だけど、僕の疲労度を考えると、半年に1回でもいいくらいだ。
配信中のケンカは、まだリスナーの人たちも宥めてくれるし、本気だと思ってないと思うからまだいいんだ。
だけど、配信が終わってもまだ継続しているなんてやめてほしい。
そんなことを考えていると、
「ねぇちょっと!視聴者数先週より353人も減ってるんだけど!ねぇ、誰が見てない?」
あ、気づかれた。そう。今回の視聴者数は前回よりも少なかった。でも、たった300人ぐらいだったから大丈夫だと思ったのに。
「本当?待ってね。あ、みゆきちゃんとすずなちゃんは見てないね。だって20分前にキラリさんの配信のつぶやきしてるから」
いや、だからいちリスナーのつぶやき見ないでってば。
っていうか、いつの間にか仲直りしてるし。
僕だけがずっと振り回されてる。
ヤンデレ同士は結託が強いのか。
今日も夜は長い。2人は夜がふけるまでコメントとSNSあさりに熱中したのだった。
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