白波島
フゥジェンらの船が辿り着いたのは、島だった。波が穏やかに打ち寄せる港には、多くの船が泊まっていた。
落ち着いて見れば、私が拾われた船も含め、ここらにある船は全て木製のようだった。
フゥジェンの肩を借りながら、船を降りる。他に足をつけると、まるで地面が揺れているような気がしたが、それは単に私が長い時間、船で揺られ続けたためであった。
島は蒸し暑く、消耗しきっていた私の体には堪えた。半ば担がれるようにして、道を歩く。道といってもコンクリートで舗装されているわけでもなく、ただ歩きやすく土を固めてあった。おかげで、照り返しはさほどでもない。
ただこのあたりで、朦朧としつつもなにかがおかしいぞ、と感じ始めた。少なくとも、この島が日本だとは思えない。
自生している木は一様に背が高く、いかにも南の島という感じだ。幹は白く、てっぺんの葉は一枚一枚が大きく平たい。何という名前の木だろうかと、ぼんやりと考えたのを覚えている。
しばらく行くと、集落に着いたようだった。建物の多くは、道の途中で見た木を組んで作られているらしく、全体的に景色が白い。扉はたいてい派手な原色に塗られている。
フゥジェンが入ったのは、そのうちの黄色に塗られた扉の家だった。
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