推し
死んだ推しがいる。
人間だったから死んだ推しがいる。何か知らないが死後ロケットランチャーを担いで生身で爆走している推しがいる。結局孤独のまま死んだ推しがいる。ギャグじゃあなければ毎度の爆発オチで死んでいるであろう推しがいる。死後脳みそを箱詰めされた推しがいる。正気に戻らずに行方不明か正気に戻るが死ぬ二択の推しがいる。一回死んでいる推しがいる。かつての自分が精神的に死んだも同然な推しがいる。敵故に倒さねばならない高潔な推しがいる。死後身体をもてあそばれる推しがいる。溶けて死んだ推しがいる。腹に大穴開けて死んだ推しがいる。生首になった推しがいる。プレイヤーが殺せるがバカみたいに強い推しがいる。親友への嫉妬に狂って魂を売り飛ばした結果その親友に討たれた推しがいる。作中味方の中でピンポイントに死んだ推しがいる。劣等感と屈辱を一方的に感じて狂ってしまった推しがいる。親友と愛する人を連続して目の前で失いすべてを滅ぼすと決意した推しがいる。逮捕されて社会的に死んだ推しがいる。信頼していた弟子に刺殺された推しがいる。縦半分になった推しがいる。幸せに煌めいて死んだ推しがいる。現実を受け入れられず夢だとこぼした推しがいる。勝ち目がなくても立ち塞がって結果故障しそのまま直せなかった推しがいる。ニコチンで殺された推しがいる。恋人が人間に殺されバケモノになってでも復讐に燃えた推しがいる。ルートによっては主人公自ら手を掛けることが可能な推しがいる。味方をかばって死んだ気高い推しがいる。力に呑まれて死んだ推しがいる。槍で胸部を貫かれて死んだ推しは複数いる。ついでに死にたくても死ねない推しもいる。消滅した推しもいる。消滅したと思ったら仇敵と合体分離してまた消滅した推しがいる。腐女子の幻覚呼ばわりされているが、残念ながら公式である。そして恐ろしいことにこれで全員ではない。まだいる。
死んでいない推しもいる。が、二次創作の過程で大体死ぬ。TRPG(テーブルトークロールプレイングゲーム)を一人でたしなむ悲しい奴なので、自分でシナリオを組んで自分でキャラクターをつくって自分でロールプレイを楽しむ。友達は別売りかつ非売品なので。そしてTRPGはダイスロールでランダム要素を決定するので、運が悪ければ当然死ぬ。ついでにシナリオ段階で死亡が確定している奴もいる。
今までの自分と決別し、それを死んだと表現してもいい推しもいる。俗に悪堕ちや闇落ちと呼ばれるものだ。具体的な作品名は出さないが、小学生の頃は多くのアニメでそれが取り入れられていた。今でもそうだが、当時は初期にして全盛期のように記憶している。思い出補正と呼ばれるそれの可能性もあるが。
そう考えると、死が魅力的に感じるようになったのはいつからだろうか。答えは最初から。人間は性と生の欲動と死と破壊の欲動がある。エロスとタナトス、フロイトの提唱したそれを初めて知った時、少なくとも自身が異常ではないことを知った。人間に最初から備わっているのならばしょうがない。人はそれを諦めとも言う。
ちなみに列挙した推しはすべて版権キャラクターである。すべてわかったという奇特な読者とは、是非握手をしたい。
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