第8話 エリルちゃんの誕生日

エリルが重大発表があるという。

「お姉ちゃん……お兄ちゃん。エリルは今日10才になりました!」

「おー」

「う、うん」

……あ。誕生日プレゼント忘れた。前から、時々、誕生日をスゲー露骨にアピールされていたのに……。

「エリルちゃん。狡猾な賢者からのプレゼントは……。コレだ」

「これ文字の読み書きの勉強書じゃん……。エリル、もう卒業だよ……こんなの」


「エリル様……。不肖聖女アリア。誕生日プレゼントを忘れてしまいました……」

「……ふーん。わたし……要らない子だったんだ。シックシック……」

……おい、それ。嘘泣きだろ?


「いいもん。エリルもう、毎日のおこづかい、お姉ちゃん達にあげないんだから!」

そ、それは困る。

「ええと、欲しいモノは、何なのかなぁって?」

「エリル、飼いたい動物があるんだ……」

「わかった!いいよ!すぐ飼おう!!ハムスターかな?それとも小鳥?やっぱ犬?」


「はぁ?そんな弱いの要らないって?」

「弱いのは……要らない??」


「飼うっていったら、ドラゴンちゃんに決まってるでしょ?」

そ、そうなのか……。

「で、でも、ドラゴンなんて売ってないし……」

「うわーん。ドラゴン!ドラゴン!可愛くて世界最強のドラゴン!あとちゃんと人語が喋れて、芸もしてくれる子がいいんだもん!」

「ドラゴン……」

アルフは頭をかきながら、

「しかし、そんなドラゴンと闘ったら全滅……。勝ったところでペットにはならんだろうし……」

と言った。


「じゃ、やめる。エリル、誕生日に好きなものも飼ってもらえないなら、ココに居る意味ないもん」

……それは困るんだよぉ。


「わかった、じゃぁ、さ。ドラゴンさんに会いに行こうか?」

とりあえず、なだめるために言ってみる。


「ホント?」

「ああ、オレが水晶玉で最強のドラゴン探してやるよ!」

とアルフが援護射撃をしてくれた。


「わーい。ドラゴンさんに会える!!ありがとう!アルフお兄ちゃん!」

と、とりあえずはその場は収まったのであった。







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