第4話 勇者の街

王都メイロンこの城下町のどこかに勇者がいる。

城下町の道は戦時に備えて迷路になっている。


「クソ勇者め……、なにも迷路の街に住むことねーだろ」

「水晶玉がコッチだと方角を指し示しているのに一向にたどり着けない」


「あ……」

「な?」


そうか!勇者もニート続けたいのね?

しかし、それでは我々の魔王討伐がいつまでもできないことになり……、

さらには。


「なんかしゃくだな?おい」

「狡猾賢者の名にかけて絶対に家見つける!」

いつまでも……ニート生活できると思うなよ?勇者。


「イケメンだったら、女神に紹介しよ」

「ああ、オレも賛成だ……」

「しかし、どうするの?」

「お前さぁ、聖女なんだろ一応、王様に謁見申し出て兵士にやらせればいいじゃん」

なんという他力本願。

「最悪、街の地図ぐらいもらえるだろ?極秘だとしても、お前聖女だし」


が……、

「面会謝絶か……」

狡猾の賢者アルフは考え込んだあと……

「これは……、きっと王様は病か呪いかでマトモに会話できない状態なんだろう……」

「私が治せばいいじゃん!」

「バカ、そもそも信用されてないんだろ……」

「これじゃ、肝心の勇者がいないせいで戦闘力0やん……」

「オレ魔法攻撃ぐらいはできるけど……」

「壁?破壊できる?」

「あ、国家非常事態宣言だな!」

「壁破壊しながらすすみますか?補修費は公費で出してもらって……」


…………いや。さすがに無理だろ。

「なんてね?空飛べば良かったんだ」


役所に行って、街の飛行許可証をもらった私は、宿願の勇者と今対面していた。


「なんで窓から入ってくるのよ」

「え……?」

「小さい女の子?」

「私は剣の天才なの!!エリル様って呼びなさいよ!」

「なんて……、なんて、かわいらしい……」

「たしかに……」

これは驚いた。どうせムサイおっさんだと思っていたのだが……。

「魔王倒しにいくんでしょ?強い相手なんだよね?」

「うん、そうだよ?お嬢さん」

「強い相手と戦えるなら……いくよ?だって、みんな弱くてつまんないんだもん」


私、聖女アリアと賢者のアルフは、ひさびさにホッコリとした。

だって……。


「一家の大黒少女……発見」

「何言っているのよクソガキ!」

「だってそうだろう、お前生活力ゼロじゃん」


ともあれ、勇者がいれば安心だ!


















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