第3話 女神どんの事情

聖女のみが「女神」と対面することをゆるされる……。


「あいたくねーなぁ……」

「なに、グダ吐いているんだよヤリモク」

「あいたくねーなぁ……」

「誰と?」

「女神」

「まさか、女神までヤリモクって事はないだろうな……」

……それは世も末だ。すまんアルフ、実は……。

「クソガキ、いっちょ前に賢者じゃねぇか……」

「え?そ、そうなのか……」

「おい逃げんなっ、イイコト思いついた、いま女神召喚するわ……」

「おまえ、オレを生け贄に捧げる気か……」

「まあ、そういうなって、お前イケメンじゃん?顔だけは」

「一応言っておく、オレは童貞ではない!!!」

「あ、大丈夫、神だけど見境なしだから……」


神がバージンを好むなんていうのは、ただの妄想にすぎない……。


「召喚の儀式は全力で阻止させてもらう」

「クソガキ、後ろ……」


そこにはすでに女神が居た……。


「こんにちわ、ごきげんよう」

「ちーーすっ」

私は雑な挨拶を女神に返した。


「で、何のよう?」

「女神どん、あっしになんの御用でゲスか?」

クソガキが……、必死だな……。

「クソガキ、女神様に失礼だろ!言葉遣いっ」

たく、聖女でもないくせに……。


「ふふ、あら……、素敵な殿方……」

「ああ、コイツはクソガキでいいから!」

「そんな……、あの、アルフさんとおっしゃるみたいですね……、良かったら、立ちションにお付き合い致しましょうか?」

と女神はアルフを木陰へ誘う。


「あ、いいですっ、その手口、よーく知っています」

「ちょっと……アルフ?」


私はアルフにある提案を囁いた……。

「頼む……一生のお願いだ……。行ってきてくれないか?一生恩に着るから……」

「そ、そこまでのことなのか?」

「ああ、お前のことをこれからはアルフ様と呼ぶから……。すまん!!!どうかっ」

「あ、あぁ」


こうして、アルフと女神は仲良く木陰で立ちションをすることになり、私は今月も無事、女神からの神託、つまり命令書を受け取ることをさりげなくスルーする事に成功したのだった。










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