第40話 666の意味
「うっ」
頭痛で目を覚ました。どうやら俺は死んではいないようだ。
薬で眠らされてそのまま首でも絞められたと思ったが、そうではなかったようだ。
起き上がって周りを見る。俺の部屋だ。いつの間にか俺の部屋に移動している。
部屋の時計を見ると9時になる5分前である。
俺の格好は下半身にタオルを巻いたままの姿。ベッドで倒れ込んだまま、ゲームに参加するために部屋へ戻されたようだ。
「ケケケッツ……大人になったようだな……TRよ」
部屋には幼女悪魔ばあるが、いつもの意地の悪そうな笑顔で俺を出迎えていた。
「なってねえよ」
「おや、それは残念じゃの。ケケケッ」
この悪魔、俺がどんな目に合ったか知っているようだ。意地悪そうに俺をにやにやして見ている。
「危なく殺されるところだった」
「ケケケッ。あの女はお前を簡単に殺したりはしないぞよ。ゲーム内で殺さなければ、魂の消滅まではしないからな。穏やかな死はお前には与えないぞよ」
「何を言っている、ばある。俺は西村さんに殺されるような恨みは買っていない」
「そうかのう」
また頭痛が襲う。俺の失われた記憶が少しずつ蘇ってくる。
(666の刻印……)
そう言えば、この幼女悪魔の両頬と額には『666』の文字がある。あえて確認のためにばあるに俺は聞いた。
「ばある、この666の数字。どんな意味があるのだ?」
俺はシャツをめくって俺自身の脇腹を晒した。よく見えない。黒い文字がわずかに見える。脇腹の後ろにその文字はある。鏡を取り出し、俺は確認した。そこには『666』の文字がある。
「ククク……どうやら記憶が戻りつつあるようじゃな。それも重畳じゃの」
「いいから答えろ」
「ダンジョンマスターとして最初の7日間を生き残った奴に刻まれる数字ぞな」
「……どういうことだ」
俺は混乱した。7日間生き抜いた印がどうして自分にあるのだ。
(いやいや……俺だけじゃない。西村さんにもあった……)
俺は今日の西村さんとの行為を思い出した。西村さんが俺を誘った理由。
(やはり、俺のこの印を確認するため……)
西村さんの表情を一つ一つ思い出していく。俺の脇腹に視線を落とした時、形容しがたい表情に一瞬だけ変わったことを。
刺激的な行為でそんな一瞬のことを忘れていったが、西村さんは俺の体に666の文字があることを確かめたのではないだろうか。
(分からない……。西村さん、SATOさんはこのゲーム初めてではないのか?)
そして俺はモニター画面にある1つのフォルダをクリックした。
(うっ……)
混乱の中、激しい頭痛が襲う。そして頭に浮かんできた記憶の断片。
『パスワードを入れてください』
そう表示される。俺は10文字の数字とアルファベットの組み合わせを打ち込んだ。昨日までそんなパスワードは知らなかった。今、思い出したことで入力できたパスワードである。
『解放されました』
そうモニターに表示された。
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