其は西方の大魔獣!野生の矜持―楽園追放篇―

 

 これは4大魔獣と恐れられた魔狼フェンリルから堕淫魔獣だいまじゅうへとクラスチェンジして、ただのフェンリルかいいぬとなった彼が色欲、怠惰、暴食と3つの大罪を犯し楽園を追放される時の話――




 ボクはフェンリルなんだワン。働いたら負けだと思うワン。


 魔狼の生き様? 大魔獣のプライド? 野生の本能? なにそれ美味しいの?

 自分で食料を確保するのなんてメンドくさいじゃん。


 なに? カワイイを極めてしのぎを削っていたんじゃないかって?


 バカなの? ボクはとっくにカワイイの極地じゃないか。


 誰もボクのカワイさには敵わない。

 ブッチギリのキュート・ザ・プリティとはボクのことさ。


 ボクのカワイイの前には侍女もメイドもみんなメロメロなんだから。


 今もこの黒髪泣きぼくろのDカップ巨乳侍女に抱えられて夢心地さ。

 ん?この娘の胸はもっとデカくないかって?


 まだまだだねぇキミ達。

 未熟、未熟、未熟ぅぅぅ!


 この娘は少し胸を寄せて上げて盛ってるんだよ。


 ボクくらいのパイオツマスターにかかれば女の子のバストサイズなんて一目で見抜けるのさ。


 あゝ、Dカップにいだかれながら目の前の赤髪吊り目の可愛いメイドがボクに給餌してくれる。


 なんて至福なんだ。因みに赤髪メイドはCカップね!


 どんな王侯貴族だって、ここまでの待遇は受けられないだろうね。


 えッ? 王侯貴族はもっと凄いんじゃないかって?


 バッカだなぁ。彼らは贅沢するのに大きな責任が伴うけど、ボクはいるだけでいいんだから全く待遇が違うだろ。


 ここはホントにボクのための楽園だよ。



「フェンリルちゃ〜ん」



 むむッ! この声はママンだ!

 ママンがボクを呼んでる声だ!



「わんわん♡」

「きゃっ!」


 ボクが黒髪侍女の巨乳から飛び出すと、巨乳の持ち主が短い悲鳴を上げた。


「あーフェンちゃん奥様まっしぐらだね」

「もうッ! リルちゃんのいけず」


 ごめんよボクの黒髪巨乳ちゃん。

 決して君のパイオツは悪くない。むしろサイコーだ!


 だけどボクはママンの誘惑には勝てないんだ。


「ここに居たのね」


 ママンは足元に駆け寄ったボクをヒョイっと抱き上げる。



 この胸サイコー!



 ご主人様も順調に育って良い感じだけど、やっぱり甘やかしてくれるママンが1番だよ。パイオツパイオニアのボクの見解に間違いはないよ!


 それにママンには最強のフトモモがある!

 ママンの膝の上でお昼寝は全てに優る至福だよね。



 隠れフトモモマイスターのボクが断言するよ――ママンがナンバー1だ!



 今日も今日とてママンの膝上でぐてっと寝そべって背中を優しく撫でてもらう――ああ、蕩けそう。


 まさにここはボクのためだけの楽園さ。


 しかし、この楽園を脅かす存在が……



 それはパパン!



 ヤツはボクからママン奪おうと虎視眈々と狙っている!

 残念ながらママンのフトモモとパイオツはボクんだッ!

 パパンごときにボクの安楽の地を奪わせはしないぞッ!


 と、決意をしていたらご主人様に呆れた目で見られた。


「フェンリルもいい加減にしなさいよね。あんた寝室にも潜り込んでお父様の邪魔してるんでしょ?大概にしとかないと痛い目を見るわよ」


 邪魔するに決まっているだろぉ!!!


 パパンがアレクサンドール領主として権限を振おうとも……

 ママンのパイオツとフトモモの所有権を主張しようとも……



 ヤラセはせん、ヤラセはせん、パパンごときにヤラセはせん!

 ママンのパイオツ、ママンのフトモモ、このボクがいる限りヤラセはせんぞーッ!!!



 そう思っていたんだけど……



「今年の春から王都へ行くわよ」


 ご主人様からの無慈悲な命令。


「お母様も気に入っているし、ここに置いていくつもりだったんだけど……お父様に連れて行ってくれと泣きつかれちゃって」


 おのれぇぇぇぇぇ!!!

 パパンめ!悪知恵の働くヤツ!!


 フェンリルのボクにはヤツの権力なんて痛くも痒くもないが、さすがにご主人様には逆らえない!


 しかし、このままではボクの楽園が奪われてしまう!

 ここは無駄な抵抗と分かっていても……


 いや! ご主人様と言えどもボクの可愛さにノックアウトされ――


「ウゥ〜ワンワン! ギャンギャン!」

「こらッ! 大人しくしなさいッ!」


――ませんでした……


 一瞬でご主人様に押さえつけらちんあつされてしまった。


 ご主人様……初めて会った5年前から更に強くなってない?――こんな化け物に誰が勝てるかッ!


 なにぃ!? 化け物はフェンリルのお前だろだって?

 君の目は節穴ですか?

 こんなキュートでラブリーな化け物なんているわけないでしょ!



「あんたやり過ぎた……やり過ぎたのよ! 大人しく私と来なさい!」


 くっそ〜〜〜王都行きは避けられないな……

 神はボクを見捨てたかッ!


 だけどボクは希望を失っちゃあいない。


 いつか必ずこの屋敷に戻って、ボクの楽園を復活させるんだ!



 I'll be back!



 それに……ふっふっふっふっ! 知っているぞ。


 王都の魔法学園には若くキレーなボインボインのネーチャンたちが大勢いるらしい。



 これで新しい女の子をゲッチュだぜ!




『こんな淫獣、私はもうとっくに見離していますがね……』




―――≪次回予告≫―――


みなさんお待ちかねぇ!

カレリンに新たなるライバル出現!その名はラファリィ・マット!

乙女ゲームヒロインとして転生してきた彼女は、恐るべき強敵となって、カレリンに襲い掛かって行くのです!

次回令嬢類最強!?―悪役令嬢わたしより強い奴に会いに行く―『第八死合!悪役令嬢vs道化の転生ヒロイン』に、レディィィ、 ゴォォォォ!

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