第2章 やりすぎる彼女たちの病み堕ち歴史

第18話 ちょっとやりすぎる模久藍朱

 お風呂から上がったら、リビングのソファでチカがゆったりテレビを見てた。

 ナカヨシする日のチカは藍朱がお風呂入ってる間に準備万端にしてるから、今日はそうじゃなくてまったりの日っぽいなぁ。


「ありゃ、今日はまったりの日?」


「んー、藍朱あいすが疲れてるっぽい顔してるから、まったりの日でいいかなって」



 疲れてるっぽい顔......してたかなぁ。

 いつもと一緒のつもりだったんだけど、やっぱりチカを欺くなんてムリか。


 けど、疲れてるからこそ......ってときもあるじゃん。

 チカはもっと積極的になってもいいと思うんだよ!


 ま、チカが藍朱の身体を一番に心配するのはいつものことだししょーがないか。

 ここは1つ、藍朱がお誘いしてあげますか。


「そっか。でも、藍朱元気だよ? 今日もできるよ?」


「いやいや、無理しないでいいって。ゆっくりイチャイチャでいいじゃん。ほら、こっちおいで、髪の毛乾かそう」



 むぅ。お風呂で毛も剃ったし、藍朱の準備は万端なのに......。


 あ、そうだ! あの話、チカを焚きつけるのに丁度いいかも!


 チカってば最近なんだか日中に佳音かねさんと一緒にいること多い気がするし、つち先輩を孕ませるし、ちょっと調子に乗りすぎてるもんね。あの話は今日の疲れの原因でもあるわけだけど......ちょっとお灸を吸える意味でも、都合いいかもっ。


「ねー、チカ〜?」


「ん〜?」







「藍朱ね〜、今日また同僚の人にプロポーズされたんだ〜。結婚を前提にお付き合いしてほしいんだって。それでとりあえず、答えは一旦保留にしてもらってるんだ。1週間後に答えますって約束してるの。どうしたらいいかな?」


「ん? え、は? あー..................うん。そうだねぇ......。藍朱、ちょっとこっち来ようか」


「はーいっ」



 ふふっ、スイッチ入ったね。そりゃあチカは釣れるよね〜。


「藍朱は前のことから反省できてないのかな? なんで俺以外の男にプロポーズされてるのかな?」


「わかんない。でもね、チカ、藍朱、今回はこうやってちゃんと報告したよ?」



 こてんっと小さく首をかしげて上目遣いで見つめてみる。

 こうしたらチカのスイッチは完全にONになる。チカのことならなんでもわかってるんだから。


「ふーん。へー。そう。そういう態度ね。おっけー。藍朱。わかってると思うけど、今日はまったりの日はやめだ。もちろんナカヨシの日でもない」


「イジワルの日?」



 イジワルの日。藍朱がどんなに泣き叫んで裸土下座で無様にお願いしても許してもらえない。

 次の朝がくるまでチカの愛をわからされ続けることになる。


 嬉しいけど、木曜日今日にやられちゃうと金曜日明日しんどいんだよね。

 徹夜で幼稚園の子どもたちの面倒みるの、結構大変だし。

 それでも今日はチカに愛してもらいたいと思っちゃったからね。


「そうだよ、イジワルの日。藍朱はわざと言ってきたんだろうけど、だめだよ、そういうやり方を覚えちゃ」


「チカもたまには藍朱たちの苦しみを味わったほうがいいんだよ」



 チカに藍朱を怒る権利なんてないでしょ?


 藍朱たちはいっつも苦しいんだから。毎日藍朱以外の女とイチャイチャハメハメして、週末には5P。

 プロポーズされただけの藍朱の報告なんて、チカのやってることと比べ物にならないくらい生ぬるい苦しみなんだよ?


 もっと苦しめ。もっと藍朱に独占欲向けろ。

 他の雌豚のみんなのことなんて忘れるくらい求めろ。


「藍朱が誰と一緒にいるべきなのか、わかってないみたいだからさ。教えてあげないといけないみたいだ」


「それは藍朱のセリフ。もう漢らしさとか極めるのやめようよ。っていうかいっつも言ってるけど、藍朱だけに精一杯の愛を注ぐのが一番漢らしいよ?」


「それはできないよ。みんな、俺のだ。他の男に渡すなんてできるわけがない。もちろん、誰より藍朱を手放すなんてありえない。わかってるだろ?」


「んー、どうかなぁ。チカってば、藍朱以外にもたくさん彼女いるし、藍朱じゃなくてもいいんじゃない?」



 なんて言ったけど、今更チカの愛を疑うことなんてないけどね。

 すぐにお嫁さんにしてくれないのは、不満だけど。


「はぁ。そっか、これはやっぱり、いかに藍朱が俺に必要かって、朝までみっちり話しながらわかってもらわないといけないみたいだ」



 あはっ、そうそう、それだよっ。その独占欲!

 最近のチカは藍朱がそばにいて当たり前みたいな顔してたからね。


 それにしても、焚き付けたはいいけど、チカのあの目。藍朱、朝まで生きてられるかな......?

 ま、なるようになるよね。


「やれるもんならやってみてよ。もしも藍朱が満足できなかったら、チカの手足が身体にくっついてるのは今日が最後だからね? チカがいろんな人に信用されるのも今日まで。明日には、藍朱がチカのお嫁さんで、チカの唯一の理解者だからね?」


「えらく強気だね? いいよ、藍朱がそういう態度を取るなら、あのとき・・・・以上の夜にしてあげる。もし満足できなかったら、その時は藍朱の好きにしてよ」


「へ、へぇ。それは楽しみだね」



 軽口で返してみたけど、あのとき・・・・以上、か......。

 正直ちょっと怖いかも。


 チカが言う『あの日』。

 藍朱がチカのものになった日。


 絶望が幸せに変わった素敵な日だけど、身体への負担を思い出すと、身震いしちゃいそうになるな。






「あと、藍朱にはお仕置きとして、来週の木曜日はみんなで遊ぶ日にするから」


「!?!?!?!?!?!?!?!?!?!??!?!?!?!?!?!!?」

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