第11話 佳音唯桜と漢らしくない御霊知火牙
「あへぇぁ......もう......はぁっ......ダメっ......。一旦......休ませて......ごほっごほっ」
「ふぅ。あ、
結局、
普段の知火牙くんは優しくじっくり導いてくれるのに今日は獣みたいに襲ってきた。
胸の鈴も勘弁してほしいってくらい鳴らさせられた。
昔の男嫌いのあたしなら思いっきり怒鳴りつけて殴り飛ばしてたところだろうけど、知火牙くんになら、むしろものすごく愛されてる感じがして拒めない......。
っていうか、あたしから誘ったんだし、拒むわけない。
ただ............ちょっとは手加減してほしかったな......。
もう腰が砕けて立てないよ......。
知火牙くんだって珍しくヘトヘトだし。
「はぁっはぁっはぁっ............。ありがとうございます、唯桜さん」
「も......もうっ......。やりすぎ......だよっ。今日、は......どう......しちゃったの?」
「い、いや? な、なんでもありませんよ......。ホ、ホントですよ。た、ただ興奮しすぎただけですよ」
え、なにこの知火牙くん。こんな慌てた知火牙くんなんて珍しすぎるじゃん。
何を隠してるのかな?
いや、知火牙くんが何かを誤魔化す理由なんて1つしかないか。
ふふっ、可愛いな。
とりあえず一回呼吸を落ち着けて、仕返しにちょっとからかってあげよ♪
「はぁはぁはぁ............ふぅ〜〜〜〜〜。それで、知火牙くんはあたしに何を隠してんの? 教えないとあたしと心中してもらうからね?」
「え、いや、何も隠してないですって。単に新しいピアスをつけた唯桜さんの身体と、濡れに濡れた振る舞いが可愛すぎただけですよ」
「ふーん、あたしと心中したいんだ?」
「だから何もないんですって!」
頑なだなぁ。
心中の話も割と本気なのにそっちにはちっとも触れてくれないんだもん。
ま、本気で心中しようとしても知火牙くんにいいように止められちゃうってのは、もうすでに何回も経験してるから、ナメられてるんだろうけど。
いっか、もう核心ついちゃうもん。
「漢らしくない理由、だったんでしょ?」
「うっ......」
ほらね。知火牙くんが動揺することなんてこれしかないもんね。
けど、その理由はわかんない。
「それで? どんな理由なの?」
「............」
ま、こうやって問い詰めたら知火牙くんは絶対答えてくれるでしょ。漢らしく♪
「..................すみません......。嫉妬......したからです......」
「え?」
なに? あの頃の話したら知火牙くん、嫉妬するの?
むしゃくしゃしたから、みたいな理由のほうがまだわかるよ。あの頃のあたしの最悪な態度を思い出してイラついた、とか。
「嫉妬? あたしの態度思い出してイラついたとかじゃなくて?」
「イラつく!? そんなことしませんよ! あのときの唯桜さんもトゲトゲしてて可愛かったですし......」
ほんっと珍しい。こんなウジウジしてる知火牙くん。
「もぅ、何? ウジウジして知火牙くんらしくないよ? 漢らしく、ないよ?」
「......っ!?」
ふふっ。この言葉は一番知火牙くんに効くよね。
「それは、ダメですね。すみません、あまりに女々しい理由で唯桜さんを本能のままにめちゃくちゃにしてしまった自分が恥ずかしかったので......。だって、唯桜さんがあの頃の話をするから......ちょっと嫉妬してやりすぎちゃいました......」
「なんで昔の話をしたら、嫉妬するの?」
あたしに布団をかけて、さっきまでの獣じみた彼とは打って変わって、頭を優しく撫でながら反省する知火牙くんの脇腹をツンツンしながら聞いてみる。
この期に及んでまだ言いづらそうにする彼がますますカワイく見えてくる。
それにあたしに嫉妬を向けてくれるくらい好きでいてくれるなんて、嬉しい。
いっつも漢らしさ漢らしさうるさいくらい言ってハーレムなんてものまで作ろうとしてるくせに、こういうカワイイところもあるから沼らせられるんだよなぁ。
「......だって昔の話されたら思い出すじゃないですか。唯桜さんのハジメテの全部が、俺のってわけじゃないって......。うあああああ、すみません! これは女々しすぎる! 漢らしさの欠片もない! 俺、元々そういうの気にしないタイプだったはずなんです! でも唯桜さんのハジメテはもらいたかった!」
「うっ......」
さっきまでの浮かれた気持ちが一気に悲しみに染まる。
そう、あたしは他の子たちと違ってハジメテの全部を知火牙くんにあげられたわけじゃない。
そのことに嫉妬してあたしをめちゃくちゃにした、と。
もちろん、処女もその他諸々の初体験も知火牙くんに捧げた。
ただ、初めてのお付き合いと、キスと、乳揉みだけは、捧げられなかったって話............。
「って、
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