出撃準備だぁ!

「あらあらあら、ココがジブラロール王国?」

 フェアリーリングでジブラロールへ一度戻った千春達、そして挨拶をしたいとネフェルス王、リリーシ王妃、そしてイーレンと手を繋いで楽し気なセトール王子は千春の庭を見ながらキョロキョロと見まわす。


「おかえりなさいチハル。」

「おはようございますお母様!ただいま帰りました!また行きますけど♪」

「アルデアから聞いてるわ、もうすぐゴールマン伯爵とエイダンも来るわよ。」

「え?もう会わせちゃう感じなんです?」

「えぇ、ジブラロールとしては断る理由は無いもの。」

 微笑むマルグリット、その横にはイーレンの母スコーラが楽し気に立っていた。


「おかあさま!」

「おかえりなさいイーレン、その方が?」

「はいっ!」

 イーレンは手を引きスコーラの前にセトールと歩いて行く。


「セセセセセセセトール・エピ・ロロロロロンガーともうしましゅ!」

「セトール君ね、あ、セトール王子でしたわね。」

「だだだだいじょうぶでしゅ!」

 丸い耳をピコピコと動かしながら必死で話すセトール、すると横にセトールの母リリーシが並ぶ。


「初めまして、リリーシ・エピ・ロンガーと申します。」

「イーレンの母、スコーラ・ゴールマンと申します、こちらがジブラロール王国王妃、マルグリット王妃殿下で御座います。」

 スコーラはすぐ後ろでニコニコとしているマルグリットの紹介をすると、マルグリットは膝を軽く曲げ挨拶をする。


「ようこそジブラロール王国へ。」

 マルグリットは王族を見回しながら挨拶を交わす。


「急な来訪失礼する。」

 ネフェルス王は謝罪をしながら前に出る。


「ルプさまぁぁぁ!!」

「チッ。」

「ルプ、舌打ちはやめてあげなー?」

「いや、空気読めよ・・・。」

 王族の挨拶もそこそこに、パパドラに乗ったルクレツィアが空から降りて来る。


「おぉ~!パパドラさんも行くの?」

「うむ、話を聞いたら楽しそうだったからな。」

「あたしも行くわよー♪」

 パパドラと並ぶママドラ、他のドラゴンよりも二回りは大きい黄金のドラゴンと並んでも遜色ない威圧感を出すママドラ、2人を見て思わず後退りするネフェルス王。


「こ・・・これがパパドラ殿とママドラ殿?」

「うむ、儂の父と母じゃ。」

 ロイロはネフェルス王の横で答えていると千春の部屋から人がワラワラと現れる。


「ようこそジブラロール王国へ!」

 エイダン国王は楽し気に入って来る。


「チハル、大人しくと言ったじゃろ~?」

「ごめんなさいお父様。」

「まぁ想定内じゃ、怪我しなければ良い。」

 千春の横に来るとエイダンは優しく千春の頭を撫でる。


「ネフェルス王、ようこそジブラロールへ、儂はエイダン・アル・ジブラロールじゃ。」

「ネフェルス・エピ・ロンガーと申す。」

 ネフェルス王は自己紹介をすると、申し訳なさそうにしている少年王スクエドの背を軽く押す。


「スクエド・シャー・デットナと申します!」

 今にも倒れそうな程緊張しているスクエド王にエイダンは微笑みかける。


「一通り話は聞いておる、ココではなんじゃぁ、場所を変えるとしよう。」

 エイダンはそう言うと、客人を連れ部屋を出て行く。


「ウチらは何すんのー?」

 美桜が千春に問いかける。


「そりゃ帰ってきたら物資補給っしょ。」

「もう兵糧も少なくなってきたからねー。」

「兵糧って、お菓子じゃん?」

「お菓子が無い旅行なんて旅行じゃない!」

「ジュースも!」

「買い出し行きますかぁ。」

 JK達はキャッキャと話ながら日本へ向かった。



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「あなた、千春が帰って来たわよ♪」

「お!それじゃ鉱石貰いに行こうかな!」

「今日本に行っちゃったわよ。」

「直ぐ帰って来るよね?」

「さぁ?」

 ムカイ領で寛いでいたパパさんズとママさんズ、春恵も一緒に寛いでいた。


「美容品の生産間に合うかしら。」

 智美が呟くと美咲が答える。


「まずは貴族と大店商店押さえれば大丈夫でしょ。」

「こっちの拡販は落ち着いてるから大丈夫よ。」

「石鹸が作れるようになったのは大きいわね。」

「王妃様も来てるのよね?」

「来てるわよ。」

 智美達の話に答える春恵。


「獣人だとやっぱり全身シャンプーよね、足りるかしら。」

「エーデル君の家で検証した感じだと大丈夫だと思うわ。」

「リュトリュイーズちゃん、ふわっふわになっててビックリしたわ。」

 美桜の婚約者エーデル、その母、羊の獣人リュトリュイーズにボディシャンプーでテストした美咲は皆に説明する。


「タイキ!行こうか!」

「イサム、急いでもまだ子供達居ないから物は無いぜ?」

「良いだろケイジ、あっちでも話出来るだろ。」

「そうだな。」

 パパさんズはそう言うと立ち上がる。


「ハル、鉱石受け取りお願いするね。」

「はいはい、まかせてちょーだい♪」

 春恵は笑いながらパパさんズ、ママさんズを連れジブラロールへ戻った。



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「ルノアーさんっ!」

「お!おかえりモリーちゃん。」

「調味料の補充と肉の補充お願いしまーす!」

「おう、倉庫に有る物ならいくらでも持って行ってくれ。」

「了解でっす!」

 モリアンとサフィーナは王宮の厨房に向かうとサフィーナがアイテムボックスに調味料や減った食材を収納していく。


「モリーちゃん、あっちでどうだった?」

「ふっふっふ、コレです。」

 モリアンはニヤリと笑い紙を数枚ルノアーへ渡す。


「・・・ふむふむ、ブタ、チハルさんが前行っていた猪の改良種だな。」

「はい!めちゃくちゃ柔らかくて美味しかったですYO!」

「オークより?」

「オークより!」

「それは一度食べて見たいな。」

「へっへっへ~、ちゃんと有りますよー。」

「何!?何処に!?」

「サフィーが持ってますよん♪」

「あとは・・・スープパスタ、麺か。」

「はい、平麺って言うタイプだそうです、スープはジブラロールの方が美味しいですけどね。」

「あー、このレシピは作った事あるな。」

 千春がトーホル大陸で作ったレシピを見ながらフムフムと頷きながら目を通す。


「モリー、もう良いわよ、あ、ルノアーさん。」

 サフィーナはルノアーに声を掛けると豚肉の塊とクオイス鳥をテーブルに置く。


「これチハルからのプレゼントです。」

「これが豚か、肉質はオーク寄りだな、これは・・・鳥か?。」

「ブタはオークより臭味も無く柔らかでした、特に脂の部分が甘くておいしかったですよ、クオイス鳥は牛の様な肉感ですがサッパリとした味でした。」

 しっかり食レポまでするサフィーナ。


「よし、今日はコレでチハルさんが作ったオーク料理を試してみよう。」

「王族の皆様に出してあげてくださいな。」

「勿論だ、さぁ!皆忙しくなるぞ!」

「「「「「おぉー!」」」」」

 ルノアーは料理人達に声を掛けると、肉を見てワクワクしている料理人達は大きな声で声を上げた。



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「エーデル!」

「はっ!エンハルト殿下!如何なさいましたか?」

「出かけるぞ。」

「・・・あちらにですか?」

「あぁ。」

 エーデルは苦笑いでエンハルトに問いかけると、エンハルトも苦笑いで答える。


「鎧は要らない、いつもの冒険者風で行く。」

「ルクレツィアから話は聞いております。」

「だろうな、ホーキンは?」

「訓練中です。」

「一緒に連れて行く。」

「了解しました。」

「準備が出来たらチハルの部屋に来てくれ。」

「はっ!」

 エンハルトはそう言うと足早に魔導士団の所へ向かう、しばらく歩くと魔導士団の棟へ到着する、そして団長の扉をノック無しで開ける。


「アリン!」

「はい!?」

「ヒマか?」

「ヒマなわけ無いでしょう?」

「たまには息抜きしないか?」

「・・・そうですねぇ、王都で食事でも行きますか?」

「いや、ちょっと出かけるぞ。」

「何処に?」

「あっちだ。」

「あっち?」

「あぁ、お前の嫁達が暴れてるから見に行く。」

「・・・それって一番暴れてるのハルトの嫁でしょ?」

「・・・。」

「まぁ良いですよ、って事はあっちの大陸で何かあったんですね。」

「色々な。」

「分りました、準備しますのでお待ちください。」

「ジブラロールと分からないように行くからな。」

「分りました。」

 クスクスと笑いながらアリンハンドは立ち上がる。


「何したんでしょうねぇ~。」

 独り言のように呟くアリンハンドにエンハルトは澄ました顔で答える。


「今からするんだよ。」

「何をするんですかねぇ~。」

「国を落とす・・・わけじゃないが、ドラゴンを引き連れ脅しに行く。」

「・・・いつも通りですね。」

「だな。」

 2人は目が合い笑い合った。







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