メタエ村に到着したぞーい!
「王女殿下!あれがメタエ村です!」
護衛冒険者、鉄血の友人のキンキが千春の竜車に声を掛ける。
「キンキさーん王女殿下やめてー。」
「いえ!王女殿下は王女殿下で御座いますのでっ!」
キンキは馬に乗り横に寄りながら礼をする。
「盗賊討伐した後ずっとこれだよぉ。」
「アレ見たらなぁ~。」
「だよねぇ~。」
「チハルが怒る事自体レアなんだけどねぇ~。」
「アレはビビるって。」
JK達はそう呟きながら窓から顔を出し、村の方を見る。
「・・・村?」
「町じゃね?」
「え?村って言ってたよね?」
「ファーノくーん、村なんだよね?」
御者をするファーノに美桜が話しかけると小さな窓からファーノが顔を見せ答える。
「そうっすよ、村っす。」
「デカくない?」
「あー、ここ領主が居ないんっすよ。」
「え?領主居ないと村なの?」
「そうっす。」
「へぇー、初めて知ったよ。」
「領主が管理する所は町っす。」
「ココは?」
「村長がいるっすね。」
「へぇ~、結構大きいよね?」
「ロンガー国に行く中継村っすからそれなりにデカいっす。」
ファーノはそう答えると村を見る。
「あの門で入管あるっすけど~。」
「あ、コレ渡してー。」
千春はアイテムボックスから紋章の付いたペンダントを渡す。
「シグリップさんがくれたやつー。」
「了解っすー。」
トコトコと竜車は門に向かう、門には門兵の様な者と文官の様な男が立っていた。
「おつかれっすー。」
「プロステルからか?」
「そうっすー。」
「この後ろもか?」
「そうっすー、その後ろは商人っすね。」
ファーノはそう言うとペンダントを見せる、門番の男はそれを見ると直ぐに文官に声を掛けペンダントの話をする、文官はすぐに走って千春の元へ来た。
「プロステル国の王族の方で御座いますか!?」
文官はファーノに向かって確認する。
「あー・・・王族の友達が乗ってるっすね。」
「と・・・友達!?」
「はいっす、無礼が有るとヤバいっすよ~。」
軽~く答えるファーノ、すると空から護衛していたドラゴン達が降りて来る。
『ファーノ、何か問題が有ったか?』
「ロイロさん大丈夫っすよ?多分。」
ドラゴンに驚き戸惑う文官、しかしファーノと話をするロイロを見て平常心を何とか保てた。
「このドラゴンは!?」
「チハル王女殿下の家族っす。」
「お!?王女殿下!?」
「チハルお嬢~言っていいんっすよね?」
「いいよーん♪」
窓からピョコっと顔をだし答える千春。
「村長の所へご案内致します故少々お待ち頂けますでしょうか!?」
「了解っすー、チハルお嬢、ちょっと待機っすー。」
「はーい。」
「あ!」
「な!?何か?!」
「後ろの商人さん、コンゴさん達も一緒にロンガー国向かうんで同行でお願いするっすー。」
「わ、わかった!ちょっと待っててくれ!」
文官がそう言うと直ぐに馬に乗り走り去る、門番はファーノに指示し竜車を詰所の横に移動させる。
「結構大きい街だねー。」
「家が石作りだー。」
「ほんとだ、すごーい。」
「チハルおねーちゃんあっちからいいにおい!」
「どっち?」
「あっち!」
ユラに言われクンクンと匂いを嗅ぐが、分からず首を傾げる。
「ルプわかる?」
「あぁ、焼き串の匂いだな。」
「食べ歩き出来そうだねー。」
「お昼まだだもんねー。」
千春が言うと頼子がお腹を軽く触りながら言う。
「あの人来るまで遊べない感じ?」
「かなぁ~?」
「すぐ来るかな。」
「どうだろ。」
JK達はぽけーっと窓から見える村の風景を眺めながら時間を潰した。
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「村長!!!」
「どうした?ワラサ。」
背が高く、がっしりした体、村長と言うよりも傭兵と言われてもおかしく無い村長が不愛想に答える。
「大変です!」
ワラサと呼ばれた文官はペンダントの話をする。
「今村へ来た方がプロステル国王族の紋章を!」
「なにっ!?王族の方が!?」
「いえ!王族のお友達と説明されました!」
「友達?」
「はい!チハル王女殿下と!それからドラゴンが!」
「チョットマテ!情報が多すぎる!今その方は何処に!?」
「門でお待ち頂いております!」
「ば!!!!馬鹿野郎!!!!何故直ぐにお連れしなかった!!!!」
「も!申し訳ございません!!!!」
村長は机を蹴る勢いで立ち上がり足早に部屋を出る、ワラサはヒィヒィと走って村長に付いて行く。
「馬を出せ!」
「馬ですか?馬車ではなく?」
「急いでいるんだ!馬を出せ!」
屋敷を出た村長は直ぐに厩舎へ向かい馬に跨ると走り出す。
「村長!」
「お前は屋敷に戻って直ぐに来客準備をしてろ!!!」
「はいぃぃぃ!!!」
ワラサは馬の踵を返し屋敷に戻る。
「急げ!王族を待たせるわけにはいかんぞぉぉ!!!」
村長は汗なのか冷や汗なのか分からないほど汗をかきながら馬を走らせた。
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「な~・・・なすび。」
「び・・・びじゅつ。」
「それ4文字じゃね?」
「ちっちゃいのはセーフ!はい、レナ、つ。」
「つ~・・・つみき、はいユラちゃん。」
「き?」
「き。」
「きーきー、キヂヂ!」
「なにそれ?」
「おさかなだよ?」
「へぇ~。」
「れんちゃんヂ!」
「ヂヨウ!」
「え?なにそれ?」
「もりにいるどうぶつです♪」
「モリー、知ってる?」
「はい、これくらいの動物ですよ。」
モリアンは手を丸くして説明する。
「こっちの言葉変換されない事あるよねー。」
「あるあるー。」
「イーナちゃんう!」
「ウズラ!」
「なにそれ?」
「これくらいの鳥さんなのです!」
「あ、ウズラってそのままウズラなんだ。」
「鶏は通じるからねー。」
「ソラ、ラ。」
「ら~ら~ら~・・・。」
「チハルお嬢、村長っぽい人が来たっすよ。」
「おー?早かったね。」
千春がそう言うと竜車の扉をワークスが開く。
「お待たせしました!!!」
「いえいえー、すみません、なんか。」
千春は馬から飛び降り直ぐに千春へ駆け寄る村長に挨拶され謝罪する。
「ようこそメタエ村へ、私は村長をしておりますアンバと申します。」
村長のアンバは自己紹介すると貴族のような礼をする。
「えっと、チハル・アル・ジブラロールです。」
「じぶらろーる・・・?」
「はい、別の大陸の王国です。」
「おぉ・・・プロステル国王のお知り合いという事で?」
「はい、お父様とシグリップさんがお友達?なんですよ。」
アンバはシグリップ国王をさん付けで言う千春に驚き目を見開く。
「そ、そうで御座いますか、それで・・・その、後ろのドラゴン達は?」
気付けばロイロは人型に戻っていたが、空から降りて来たレフト、ライト、そしてアイリスを乗せたアベリアはドラゴンのまま待機していた。
「うちの家族と護衛です~♪」
「は・・・はぁ、だだだ大丈夫ですよね?」
「はい♪いい子達なんで♪」
「そのようで・・・ん?」
アンバは馬車の方に目をやると見知った商人が立っていた。
「こ・・・コンゴ?そっちは鉄血の友人じゃないか。」
「どうも!村長!」
冒険者のキンキは楽し気に声を掛けると、ギャット、トーグも楽しそうにアンバの顔を見ていた。
「どうも、アンバ村長。」
コンゴは苦笑いで話しかける。
「何故王女殿下と一緒に?」
「私の馬車が路肩で倒れた所を助けて頂いたのですよ、ご縁が有り一緒に旅をする事になりまして。」
「そ、そうか、ケガもなく何よりだ。」
アンバはそう呟き千春を見る。
「チハル王女殿下、今日は村にお泊りで御座いますか?」
「その予定ですけどー宿あります?」
「私の家にご案内致しますので!宿は不要で御座います!」
「あ、えっとー。」
千春はチラッとサフィーナを見る、サフィーナはさも当然と言わんばかりに真顔で頷く。
「え~、はい、よろしくお願いします~。」
「では私が先導致しますので、こちらへ。」
フゥ・・・と聞こえない程の溜息を吐いたアンバは馬に乗ると千春達を見る、竜車と馬車が動き出しアンバの後ろをついて来る、勿論ドラゴン達もだ。
「・・・だ・・・大丈夫・・・なのか?」
先程とは違う汗を背中に感じるアンバ、そしてアンバは空を見上げ呟いた。
「神よ・・・何事もありませんように・・・。」
アンバの声は空しく消える、しかし千春を覗いていた某女神には聞こえていた・・・聞こえただけだが。
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