閑話:王宮のひととき!

「今はどこら辺じゃろうなぁ。」

 エイダンは窓から王都を見つつ呟く。


「昨夜はお呼びされませんでしたね。」

「うむ、流石に3日連続でシグリプと呑むのもな。」

「アルデア様ならお分かりでは?」

「アルデア嬢、チハルは今何処辺りか分かるかの?」

 エイダンがシャンデリアに向かって言うと、蝙蝠が降りて来る、そしてアルデアが現れる。


「今はロンガー国に向かっている途中よ、今日の昼くらいには途中のメタエ村に到着するわ。」

「ん?ドラゴンで向かっているんじゃないのか。」

「馬車の旅が良いそうよ。」

「ふむ、有難うアルデア嬢。」

「いいえ~、それじゃメグの所に戻るわね♪」

 そう言うとアルデアは蝙蝠になりシャンデリアの裏へ隠れた。


「・・・何事も無さそうじゃな。」

「・・・今の所は、ですか。」

 宰相ルーカスの言葉にエイダンはジト目で見る。


「大陸が違うからのぅ!儂は関係ないじゃろ♪」

「ジブラロール王国第一王女、チハル・アル・ジブラロール王女殿下ですよ?」

「身分くらい隠すじゃろ。」

「隠すと思いますか?」

「・・・チハル、大人しく旅するんじゃぞ。」

 エイダンは王都を見ながら悲しそうに呟いた。



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「おかえりなさい。」

「ただいま~。」

「エイダン何て言ってた?」

「チハルが今何処に居るか聞いてたわ。」

「聞いた所で何も出来ないでしょうに。」

 マルグリットはクスクスと笑いながらアルデアに言うと、アルデアも笑みで返す。


「今日は昨日助けた商人と冒険者を連れてメタエ村に向かってるわ。」

「その商人は問題無さそう?」

「えぇ、アイトネ様とモート様がチェックして問題無いって言ってたわ。」

『呼んだー?』

「呼んでませんよ。」

『アルデアちゃんいけず~♪』

「ヒマなんですか?」

『暇ねぇ。』

 マルグリットとアルデアが座るソファーの対面に座るアイトネは、マルグリットの腕で眠るチェラシーを見る。


『あら、おもらししてるわよ?』

「あらあら。」

 マルグリットはそう言うと立ち上がりおむつを手に取り小さなベッドにチェラシーを寝かせるとおむつを替える。


「この紙おむつ便利すぎてもう戻れないわ。」

 チェラシーから紙おむつを脱がせると、ウエットテッシュで綺麗におしりを拭く、そして新しい紙おむつを器用に穿かせるとチェラシーを抱き上げまたソファーに座る。


「ニホンの幼児用品は凄いわよねー。」

 アルデアは可愛いクマのおくるみを手に取りチェラシーに着せると笑みを浮かべる。


「かわいい♪」

『かわいいわねー。』

「かわいいでしょ~♪」

 3人はチェラシーをのぞき込みながら微笑み合う。


「コレはなに?」

 アルデアはテーブルに有るラトルを手に取り振ると、優しい音色が鳴る。


「トモミ達が昨日持ってきてくれたのよ、赤ちゃん用のおもちゃでガラガラって言うらしいわ。」

「コレが?」

「そう、ミサキがそれをチェラシーの目の前で振ったらチェラシーが笑ったのよ。」

「へぇ~、起きたら私もやっていい?」

「良いわよ♪」

『コレは何かしら。』

 アイトネも楽し気にテーブルの上にある段ボールをのぞき込む。


「その紙の箱に色々入ってるわ。」

『これは?』

「おしゃぶりって言ってたわ。」

『へぇ~面白いわ♪』

「でも寝かしつけやぐずった時だけって言ってたわ。」

「そうなの?」

「えぇ、落ち着かせる時だけ使うそうよ。」

『トモミ達が言うならそうなんでしょうね。』

「えぇ、私も3人育てて来たけれど、ニホンの物は初めてだから。」

 話をしているとチェラシーがもぞもぞと動き目を開ける。


「・・・おはようチェラシー。」

「起きた?」

『チェラシー♪おはよ~♪』

「アー♪」

「あらご機嫌ねー。」

「チェラシーが不機嫌な所あまり見た事無いわね。」

「えぇ、本当手のかからない子。」

 腕に抱かれアーアーとマルグリットへ話しかけるように声を上げるチェラシー。


「アイさんもしかしてチェラシーが何を言ってるか分かる?」

『わかるわよ、言葉にはなってないけれどメグの事をおかあさんって呼んでるわ。』

「言葉分かってるの?」

『んーん、母親を呼んでいるだけよ。』

「チェラシーおかあさんって言ってるの~?」

「アー♪」

「チェラシーほらーガラガラー。」

 シャランシャランと静かな音が鳴るとチェラシーはそちらに目が行くとニコッと笑う。


「笑ったわ♪」

「アルデア。」

「なに?」

「それね?面白くて笑ったわけじゃないらしいのよ・・・。」

 寂しそうに呟くマルグリット。


「え?こんなに楽しそうなのに?」

「楽しくて笑うのは2大月以上先らしいわ。」

「そうなの?」

「えぇ、マイがアオイ達に言ってたもの。」

「そ、そうなのね、でも可愛いから問題無いわ♪」

 そう言うとまたラトルを振りチェラシーを笑わせる。


『・・・楽しいみたいよ?』

「え?」

『喜んでるわ。』

「それじゃマイの言った生理的な笑いってのは?」

『もちろん普段はそうみたいだけど、少なくとも今は楽しいみたい、音が好きみたいね。』

「ほらー!喜んでるじゃない♪チェラシー♪アルデアおねーちゃんでしゅよー♪」

 アルデアは思わず赤ちゃん言葉で話しかける。


「アルデアも赤ちゃん好きよね。」

「可愛いもの♪」

「アルデアは子供作れるの?」

「作れるわよ?」

「あら、そうなのね、イーナみたいな分身的な子供とかではなく?」

「えぇ、そういう行為を行えば産む事が出来るわ。」

「アルデアも結婚すれば?」

「イヤ。」

 プイっと横を向き断るアルデア。


「ヴァンパイア族の結婚を見て来たわ・・・そして例外無く旦那と子供を見送る事になるわ・・・寂しいじゃない、自分だけ置いて行かれるのよ。」

「超長寿種族ですものね、アイさん、まだこの世界にヴァンパイア族居るの?」

『ん~?・・・居るわね。』

「ヴァンパイア族同士なら結婚出来るじゃない。」

「イヤ!」

「なんで?」

「どれだけ気の合う者でもず~~~~~~~~っと一緒なのよ?!何千年も!」

「・・・そうね、長すぎるわね。」

「えぇ、絶対に何処かで亀裂が入るわ。」

「大変ねぇ~ヴァンパイアも。」

 気を取り直しアルデアはまたチェラシーと遊び始める。


「あーあーあー。」

「チェラシーお腹空いた?」

 マルグリットはそう言うと服を開け母乳を飲ませる。


「良く分かるわねぇ。」

『チェラシーも早くチハルのご飯食べれる様になったら良いわね~♪』

 2人は母乳を飲むチェラシーを見ながら微笑む。


「・・・ん?」

「どうしたの?アルデア。」

「チハル達の先行させてた眷属の狼が盗賊を見つけたわ。」

「あら・・・大丈夫かしら。」

「心配不要でしょ?」

「違うわよ、盗賊がよ。」

「あ~・・・チハル達の事だもの命は取らないでしょ?」

「そうね、動けなくするくらいでしょうね。」

『私が行く?』

「そう言うのダメって言ってませんでした?」

「アイさんってチハルの事だと動くわよね、管理者権限的に大丈夫なのかしら?」

『チハル達に限っては大丈夫よ♪その為の女神の愛し子だもの♪』

「・・・それたまに聞くけれど、何なのかしら?」

「私も気になってたわ、アイトネ様それ何なんですか?」

『私の特別な加護よ、今はそれだけ♪』

 ニコッと微笑むアイトネにアルデアとマルグリットは目を合わせ微笑む。


「アイさんの事だもの、悪いようにはならないでしょ?」

『もちろん♪』

 笑みで返すアイトネ、勿論2人の思考は見えている、そして2人は本気でアイトネを信用していた、それを見てもう一度微笑み返すアイトネだった。







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