のんびりのんびり竜車の旅!

「・・・。」

「・・・。」

「・・・。」

「・・・。」

「・・・。」

「・・・。」

「・・・。」

「・・・。」

「あ!うさぎ!」

「かわいー。」

「かわいいのですー。」

「ねぇ千春。」

「・・・。」

「ねぇ。」

「なに?」

「ドラゴンで移動しない?」

「・・・やっぱり?」

 竜車で揺れながら外を見るJKとおこちゃま達。


「馬車に揺られ2じか~ん。」

「な~~~~んもな~~~~い。」

「うさぎいたよ?」

「いのししもいました!」

「とりもいたのです!」

「そうだねー、動物いっぱい居たねー。」

 青空と大愛が呟くと、ユラ達は楽し気に答える、日葵は子供達の頭を撫でながら何気に楽しそうだ。


「こう・・・なにかあるかと思うじゃん?!」

「日本ならねぇ、車で移動してたら色々あるけどねー。」

「森!木!林!森!」

「たまに動物!」

「魔物も居たじゃん。」

「ルプ達が秒殺してビェリーが収納したから見てないもんね。」

「たーしーかーにー。」

「・・・盗賊くらい出て来ないかな。」

 恐ろしい事を言い出す美桜に麗奈が問いかける。


「なんで?」

「いや、面白いかなって。」

「面白くはないでしょ。」

「いやぁ~ドラゴン達に囲まれた盗賊見てみたくない?」

「悪趣味だなぁ。」

「囲んだ後面倒じゃん。」

「たーしーかーにー。」

 馬よりも早い走竜は気持ちよさそうに走り続ける。


「クァッ!」

「ん?アンが鳴いたけど?」

 千春達の竜車を引く走竜の一頭、アンと名付けられたメスの走竜がチラリとこちらを見る。


「ロイロ~、アンなんて?」

「先の方で人が集まってるようじゃな。」

「盗賊?」

「それは分からぬなぁ。」

「ちょいと俺が見て来るか。」

「僕もいきまーす!」

「わっちも付いて行こー♪」

 ルプ、コンは外に飛び出ると、街道を駆け抜ける、ビェリーはルプの背に乗って行った。


「盗賊だったらルプ達が何とかしてくれるね。」

「ふむ、レフト!ライト!」

 ロイロは外に向かって叫ぶと、ゆっくり空を飛んでいたドラゴン二頭がルプ達を追いかけて行った。


「これで何が有っても大丈夫じゃろ。」

 のんびり外を見ながら笑みを浮かべるロイロ。


「っていうかさー。」

 頼子は窓から街道の先を見ながら呟く。


「ルプ君達とドラゴンじゃん?」

「うん。」

「逆にパニックにならね?」

「あ。」

「・・・ま、いっか。」

「もう遅いし♪」

 ケラケラ笑いながら千春が答える、そして直ぐルプ達に追いついた。



-----------------



「おー、来た来た。」

「こっちですー!」

「こっちばーい!」

 人狼姿のルプが竜車を見ながら言うと、子供姿のビェリー、コンはぴょこぴょこと飛び跳ね手を上げる。


「何だったー?」

「ありゃー、馬車倒れてるじゃん。」

「馬さん大丈夫?」

 大きな荷馬車が街道の外れで横倒しになり、馬も横になり倒れていた。


「この方が御主人で?」

 恰幅の良い男がルプに話しかけるとルプは頷く。


「それでは元に戻しますね。」

 レフトはドラゴニュートの姿で横倒しの馬車に手をやる、ライトも同じ様に手をやり力を入れると馬車を持ち上げ街道に戻す。


「「「「おぉおぉお!」」」」

 商人のような恰幅の良い男と従業員らしき男、そして護衛らしき冒険者3人が声を上げる。


「凄いなドラゴニュート、初めて見た。」

「ドラゴンが来た時はもう俺終わったと思ったけどな。」

「俺もだ。」

 冒険者達はウンウンと頷きながら呟く。


「何があったんですか?」

「森から魔物が飛び出てきまして、馬が驚き街道を外れ走り続けてしまいました。」

「それで横倒しに?」

「はい。」

「チハルー!この子足の骨折れてるっぽいよー!」

 麗奈が千春を呼ぶ。


「えー!回復できるかなー!?」

「ちょっとまってー、リリ、馬ちゃんに動かないように言ってくれる?」

「はーい♪」

 リリは馬の耳元で馬に話しかけると、馬はブルン!と鼻息を立てる。


「大丈夫よ~♪」

「ダイア、馬ちゃんに睡眠魔法お願い。」

「おっけー、馬ちゃん、ちょっと寝ててね♪」

 大愛は馬に近寄り顔を撫でながら呟くと魔力を放出する、馬はゆっくりと目を閉じそのまま寝てしまった。


「さんきゅ、それじゃ足押さえてるから回復よろー。」

「まかせれ!」

 麗奈が足を正常位置に押さえながら言うと青空は回復魔法を使う。


「どう?」

「多分大丈夫、他に怪我してない?」

「こっち、後ろの太ももの所、血が出てる。」

「それ私がやるよ。」

 日葵は太ももの怪我した所へヒールを掛ける。


「・・・あなた様方は?」

「通りすがりのヒーラー軍団です♪」

「え?」

「ヒーラー軍団です♪」

「あ、はい、え~・・・有難うございました。」

「いえいえ、おじさん何処に向かってたんですか?」

「私ですか?この先にあるメタエ村に向かっております。」

「村があるの?」

「はい、お嬢様方はどちらへ?」

「この先のじぶ・・・じぶ・・・じぶ・・・なんだっけ。」

「ジブシャン大渓谷ですよ。」

「それ!・・・に行くんです♪」

「はぁ・・・かなり先ですけれど、村へ寄らないのですか?」

「・・・考えて無かったわ。」

「そうだよねぇ、渓谷まで2日掛かるって事はどっかで泊らないとだよね。」

 麗奈は千春を見ながら呟く。


「ま!困ったら王宮に一回帰れば良いし♪」

「チハル、旅行じゃないんかい。」

「道中楽しければよくね?」

「楽しいか?森しか無いけど。」

 森を見ながら麗奈が突っ込む。


「馬ちゃん起こすよー。」

 大愛は馬に魔法を掛け目を覚まさせる。


「ブルッルルルッ。」

「どう?痛くない?」

 大愛の言葉が分かるのか馬は軽く頷き立ち上がる。


「おー!立った!大丈夫そう!」

「よかったねぇ~。」

 ポンポンと首元を叩く大愛に馬は嬉しそうに顔を寄せる。


「可愛いなこの子も!」

「クワッァ!」

「ドゥも可愛いよー。」

「トロワとカトルもかわいいよ?」

「かわいいかわいい。」

 馬と走竜を褒めるJK達。


「ファーノ君、メタエ村行くの?」

「はい、行くっすよ?まさか夜通し走らないっすよね?」

「そりゃそうだけど、言わなかったよね?」

「・・・いや、途中の村に寄るのは当たり前と思ってたっす。」

「・・・そりゃそうか、メタエ村まであとどれくらいなの?」

「明日の夕方には着くっす。」

「・・・明日?」

「ういっす。」

「今日は?」

「今日は野営っすね。」

「マ?」

「マっす。」

 キョトンとした顔で答えるファーノ。


「野宿!」

「キャンプ!」

「良いじゃん!楽しそう!」

「えぇ~?マジでー?」

「お風呂無いよ?」

「お風呂の時だけ帰る?」

「それならあっちで寝た方が良いじゃん。」

「いや!ここは初の野宿経験も有りかと!」

「そうそう!ほら!見聞を広める為の卒業旅行だからね!」

 JK達は何故か楽しそうに話始める。


「あ、あのぉ~。」

 商人の男が申し訳なさそうに話しかけて来る。


「はい!」

「お礼といってはなんですが、もしよろしければ食料などは私が面倒見させていただきますが。」

「あ~・・・うちも食料はしっかりあるんで大丈夫ですよ♪」

「で・・・ですよね、失礼しました。」

「いえいえ、そう言えばそちらの方達は怪我とかしてませんか?」

「はい、私は擦り傷程度ですので。」

 商人の男はそう言うと冒険者達を見る。


「俺達もちょっと打った程度だ問題無い。」

「俺もだ。」

「俺達は鍛えているからな、心配しなくても大丈夫だ。」

「おぉー流石冒険者、かっけー。」

 美桜は何故かパチパチと拍手しながら答える。


「チハルお嬢、どうするんっすか?」

「行先が一緒なら一緒に行く?」

「そっちの方が普通なら安全っすけど・・・。」

 ファーノはそう言うと周りを見る、ドラゴンに竜騎士に聖獣達、そして明らかに冒険者よりも強い執事と侍女、思わず苦笑いする。


「旅は道連れ世は情けって言うからね!」

 千春は腰に手を当てドヤ顔で言う。


「千春それどういう意味なの?」

「しらん!」

「しらんのかーい!」

「良い意味だったと思うからおっけー!」

「はいはい、それじゃ馬ちゃん馬車に戻してもらって一緒に行きますかー。」

 馬は何故か大愛に懐き、一緒に馬車の方へ向かう。


「と言う訳で一緒に行きます?」

「はい!よろしくお願いします!」

「コンゴさん!俺達の護衛報酬無しにならないよな!?」

「大丈夫ですよ、魔物を追い払ってくれたのは間違いなく鉄血の友人のおかげですから。」

「鉄血の友人?」

 千春は首を傾げながら問いかける。


「この冒険者方のパーティー名ですよ。」

 コンゴと呼ばれた商人が微笑みながら答える。


「・・・うん。」

「・・・うん。」

「・・・うん。」

 千春、頼子、麗奈は何故か頷くと美桜が3人を見る。


「何?どうしたん?」

「いや、こっちの冒険者ってさ。」

「うん。」

「パーティー名ダセェ~と思ってさ。」

「それは言わない約束だ。」

「誰との約束よ。」

「ユーリン。」

「シャルルちゃんもでしょ。」

「うん。」

 ユーリンとシャルルにパーティー名の話をし、この2人もダサいとは思いつつパーティーを組んでいた事を思い出す千春と頼子。


「さ!先に進みますかぁ!」

「そうだね!みんなのりこめー!」

 千春と頼子が声を掛けると皆は竜車に乗り込む、コンゴ達も自分たちの馬車へ乗り込むと、一行は街道を走り始めた。








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