次の行先は~!

「ん~♪美味しいですっ♪」

 千春の客間で楽しく朝食を取るラティス王妃は満面の笑みだ。


「そりゃ良かった。」

「ねぇ千春今日どうするの?また王都?」

「ん~、用事終わったし次何処か行きたいよね。」

「どこ行くの!?」

 美桜は楽し気に千春へ問いかける。


「・・・どこ行こうか、こっちの大陸は知らないもんねぇ。」

 千春はそう呟くとラティスを見る、ラティスはホットドックを咥えたまま動きが止まる。


「・・・ふぁい?」

「ティーちゃんこっちで楽しそうな所知らない?」

「楽しい所ですか?」

「うん。」

「楽しい・・・どういった事が楽しいのでしょうか。」

 う~んと唸りながら考えるラティス。


「ティーちゃん景色がすっごい良いとか、そういうの無いの~?」

 麗奈が問いかけると、ラティスはパッと笑みを浮かべる。


「ここから北に2日ほど行くと大きな大地が割れた場所が有ります!そこの滝は凄い綺麗です♪」

「おぉ!・・・大地が割れた!?」

「はい、ジブシャン大渓谷です。」

「へぇ~2日かぁ。」

「ロイロちゃんに乗っていったら直ぐだね。」

「チッチッチッ。」

 青空の言葉に美桜が指を振りながら舌を打つ。


「これは卒業旅行!のんびり馬車の旅も良いのではないかい?ソラどん!」

「はっ!それも良いかも!」

「ミオ~、ジブラロールの馬車が来たから乗りたいだけでしょ。」

「えへっ♪」

 美桜はテヘペロと舌を出し笑う。


「でも馬車移動も良いよね~。」

 千春はウンウンと頷く。


「チハルおねーちゃん馬車でおでかけ?」

「それも良いねーって感じ、ユラは馬車イヤ?」

「ん~ん!いやじゃないよ!でもルプに乗る!」

「私もルプ様にのりたいです♪」

「イーナもー!」

「はいはいおこちゃま達はルプが担当ね。」

 千春が言うとルプもニヤっと笑う、まんざらでも無い様だ。


「で?地図とか有るの?場所わかんないよね。」

「俺分かるっすよ。」

 何故かいつもペット達と食事をとっているファーノが手を上げる。


「流石ファーノ君!雇った甲斐が有るってもんだね!」

 大愛はグッジョブ!とサムズアップしながらファーノを見る。


「それじゃ道案内もOK、馬車もある、荷物も問題無いと。」

 千春は確認していると日葵がポツリと呟く。


「チハル・・・馬が居ないよ。」

「あ。」

「馬買ったり出来るのかな?」

「ドラゴン達にお願いする?」

「レフトとライトは空から護衛してもらうし、アベリアはアイリス乗せてるじゃん。」

「ミカとゼル?」

「えぇ~?目立つっしょ?ホワイトドラゴンとブラックドラゴンだよ?」

「ロイロも目立つよねぇ~。」

 JK達がう~んと唸っているとラティスがファーノと同じ様に手を上げる。


「はい!チハルちゃん!」

「はい!ティーちゃん!」

 思わず指差す千春。


「王宮の竜車を引いている走竜はどうですか?」

「え?走竜?」

「はい♪数頭居ますのでお譲りしても大丈夫だと思いますよ?リプ、大丈夫よね?」

 付き人のリプテルを見ると、微笑み頷く。


「はい、問題無いかと思いますよ?」

「ねっ♪」

 ニコッと笑うラティス。


「良いのかな?」

「王妃様が良いって言うなら良いんじゃない?」

「シグリップ王様に確認した方が良くね?」

「いやいや、ティーちゃんが言えば秒でOK出しそうじゃん。」

「たしかにー、あんなに愛妻家だとは思わなかったよねー。」

「うんうん、絶対王都で遊びまくってるイメージ。」

「ホントそれ、人は見かけによらないよね。」

 JK達は話しが逸れ、気付けばシグリップ王のイメージ合戦が始まっていた。


「そ!そんな事は有りませんよ!?シグリップ様はとてもお優しく、カッコいいんです!」

「・・・のろけかな?」

「・・・。」

 千春が突っ込むと顔を赤くしながらプルプルと震えるラティス。


「そう言えばなれそめ聞いてなかったね。」

「・・・え?」

「ティーちゃん助けてもらったって言ってたじゃん?」

「はい。」

「どういった経緯で?」

「えっと・・・私の国が侵略され危機に陥った時助けて頂きました。」

「国?」

「はい、先程言いましたジブシャン大渓谷の西にある獣人の国です。」

「おぉー、そこって行く事出来るの?」

「はい、出来ますけど?」

「イイね!獣人の国!行ってみたい!」

 獣人大好きの美桜が立ち上がる。


「私も行ってみたいなー。」

 麗奈も楽しそうに呟く。


「おっけー!次の目的地決まり!ジブシャン大渓谷に行ってそのまま獣人の国!」

「イイねー!」

 千春と頼子は次の行先が決まり嬉しそうだ。


「で?その獣人の国が侵略されたの?」

 日葵は逸れた話を戻しラティスに問いかける。


「はい、ジブシャン大渓谷を10日ほど西に向かうとロンガー国があります。」

「10日!?」

「どんだけデカいのその大渓谷。」

「流石に10日馬車はキツイよねぇ。」

「渓谷で楽しんだらドラゴン便でよくね?」

「それも有りか。」

「いや、多分途中でもうドラゴンで行こうって言う未来が見えるわ、うち。」

 大愛は占いをするように手をくるくる回しながら呟く。


「ダイア未来予知できるようになったんだね。」

 花音はクスクス笑いながら大愛に突っ込む。


「うむ!もうすぐ王様が現れる!」

 ハー!と言わんばかりに扉へ手をやると扉が開く。


「失礼するぞ。」

「うぁ!マジで!?」

「すげぇダイア!」

「え?マ!?」

「そんなスキルもってたん!?」

「すげー!ダイアすげー!」

 JK達が一斉に大愛を見るが、大愛が一番驚き目を見開いていた。


「じょ・・・冗談だよ?」

「わかってるよ。」

「知ってるよ。」

「乗ってやっただけだよ。」

 青空、日葵、花音はスンとした顔で大愛に突っ込む、千春はそれをスルーしシグリップに挨拶する。


「おはようございます♪どうしました?」

「今日の予定を聞きに来たんだが。」

「あ、今日出発して・・・なんちゃら大渓谷に行きます!」

「何しに行くんだ?」

「滝を見に。」

「で?」

「そのまま獣人の国に行きます。」

「何しに行くんだ?」

「え?旅行なんで遊びですけど。」

「・・・そうか。」

「何か有りました?」

「いや、お礼が全然出来てないからな、国として何かしら準備したかったんだが。」

 残念そうに答えるシグリップ。


「シグリップ様。」

「どうした?ラティス。」

「チハルちゃんは走竜が必要らしいのです。」

「走竜?何頭だ?」

「えっと、馬が2頭引きの馬車2台あるよね?」

 サフィーナを見ながら言うと、コクリと頷く。


「ジブラロールの2頭引きなら4頭か、良いぞ?」

「軽いっ!」

「それでお礼になるなら俺も有難いくらいだ。」

 千春とシグリップが話していると日葵が再度ラティスを見る。


「で?」

「はい?」

「なれそめ、話逸れまくりなんだけど♪」

「あ、そうでした。」

 ラティスは改めて話始める、そしてシグリップも一緒に話始めた。



------------------



「へぇ~ロンガー国のもっと西の国ねー。」

「あぁ、ラティスはプロステルまで逃げて来た、それを俺が保護したわけだ。」

「おぉーカッコいいなシグリップさん。」

「それでそれで?」

「ロンガー国とは隣国だからな、協定を結んでいたわけではないが交易は盛んに行っていた、それにデットナとはあまり仲が良いわけじゃ無かったんだよ昔から。」

「人間の国ですよね?」

「そうだ。」

「こっちだと領地広いから戦争とかほとんどないって聞いてましたけど。」

「場所にもよる、ジブラロールほど大きな国なら隣国からも遠いだろう、幾らでも開拓できるだろうからな。」

「デットナ国はそうではない感じなんです?」

 麗奈が問いかけるとシグリップが頷く。


「そうでもないはずだが、よく他の国に手を出している。」

「なんでだろ。」

「あれじゃん?戦争すると儲かる人が居るとか。」

「あー、武器商人的な?」

「地球でもそういう話あるねー。」

「実際ソレじゃない?」

 JK達は想像で話し始める。


「良く分かるな。」

「え?本当にそうなの?」

「多分な。」

「マジかー、まだ喧嘩売って来るの?」

「今は来ないな、ロンガー国は既にプロステルと友好条約を組んでいる、何か有れば直ぐに援軍を送るからな。」

「そっか、んじゃ今は安全?」

「・・・チハルにその心配は無用だろう、なんならデットナ国を消せるんじゃないか?」

「あははは・・・。」

「それじゃ出発準備はー・・・要らないんだっけ?」

「走竜貰いに行かないと!」

「あ!そうだ!走竜ちゃんのところ行こう!」

「行こう行こう!」

「そう言う事なんでお世話になりましたっ!」

「「「「「「お世話になりましたっ!」」」」」」

 JK達、そしてユラ達も一緒にお礼を言うとシグリップは苦笑いして答える。


「こちらこそ。」

「また来てくださいね!」

「もちろん♪」

 そう答える千春、そして皆は走竜を迎えに行った。








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