王都で食材買い漁り!
「おじさーん。」
「いらっしゃい!お嬢ちゃんお使いか?」
「はい♪このお肉何ですか?」
千春は店に並ぶ肉の塊を指差す。
「これか?ブタだよ。」
「・・・え?!ブタ!?」
「あぁ、どうしたんだい?」
「え?ブタいるの?」
「あぁ居るが・・・それがどうした?」
千春は後ろに立つサフィーナを見る。
「豚居るの?」
「いえ、チハルが言ってた事は覚えてますが、初めて聞きました。」
サフィーナも不思議そうに呟く。
「猪じゃないんですよね?」
改めて店のおじさんに問いかける千春。
「あぁ、大人しい猪を掛け合わせて育てやすくした猪をブタって言うんだ。」
「おぉぉぉ!品種改良してんだ・・・すげー。」
「ん?お嬢ちゃんプロステルの人間じゃないのか?」
「はい、旅行に来てるんです♪」
「へぇ、それで?買うかい?」
「はい!それ全部ください!」
千春は塊肉を指差す。
「それは構わないが・・・重たいぞ?」
「大丈夫です♪ルプー。」
「おう。」
狼の獣人姿で千春の後ろから返事を返すルプ。
「それじゃ包むからちょっとまってくれ。」
「はーい♪まだブタの肉って有るんです?」
「ん?凍らせた肉ならまだあるが、溶かさないと切り分けれないぞ?」
「塊で良いんで全部ください♪」
「え?全部かい?」
「はい!」
「・・・まぁ良いけどよぉ、金はあるのか?」
「全部で幾らですかー?」
千春が問いかけると店のおじさんは計算を始める。
「あ~・・・全部で小金貨5枚くらいだな。」
「・・・やすっ。」
「安くないだろう!?大月分の稼ぎだぞ!?」
「ありゃ、そうなんだ、お金は大丈夫!」
千春はそう言うと小金貨を5枚カウンターに置く。
「おぉ、どこぞの貴族令嬢だったのか。」
「え~っと、そんなところ♪」
千春はニパッと微笑むと、おじさんも微笑み返し中へ入る、そして何度か往復すると3体分の豚を持ってくる。
「これで全部だ。」
「はーい!ありがとー!」
「こっちこそありがとうだ。」
「全部買っちゃっても大丈夫だったのかな?」
「構わないぞ、また仕入れに行けば良いだけだ。」
「何処で仕入れてるの?」
「ん?商業ギルドの生鮮部門だが、お嬢ちゃんまだ欲しいのか?」
「んー、これ全部食べ終わったらまた買いたいし、交易出来たら嬉しいかも♪」
「交易?それじゃ商業ギルドに行ってみると良い、場所は~・・・。」
「あ、場所は大丈夫ですっ!ヤモンドさんですよね?」
「!?ギルマスの名前知ってるのか?」
「はい♪」
豚肉を見つけた千春はウキウキで答える。
「おじさんありがとー!」
「おう!また来てくれ。」
千春は手を振り店を離れると、アイテムボックスを開く。
「ルプ、ありがとー。」
「おう。」
ルプはポイポイっとアイテムボックスに肉を入れる。
「これで何作るんだ?」
「何作ろっか~♪豚肉だとしゃぶしゃぶしたいなー♪」
「良いなぁしゃぶしゃぶ。」
ルプはニヤリと笑いながら答える。
「しゃぶしゃぶひさしぶりですねぇ~♪」
何故か口元を綻ばせるモリアン。
「最近してなかったもんね。」
「最後にしゃぶしゃぶしたのいつだったかしら。」
サフィーナも空を見上げながら思い出す。
「たしか・・・カノンが来た時じゃないかなー。」
「パンチャクスは有るのか?」
「なにそれ。」
後ろから話しかけるのはロイロだ。
「蟻じゃ。」
「あー!あれそんな名前だったな、今無いね。」
「無いのか。」
残念そうに言うロイロ。
「でもカニはあるよ、港町でデッカイカニ買ったし。」
「ほう?美味いか?」
「蟻より美味しい~♪」
千春はウキウキで他の店を回る、遠くに頼子を見つけると、頼子も千春を見つけ手を振り手招きする。
「千春~♪」
「なに~?」
千春はテテテ~と頼子の所へ行くと、頼子の指差す方を見る。
「白菜!?」
「っぽいよね?」
野菜が沢山並ぶ店を見る2人。
「見慣れない野菜多いけど・・・これ白菜っぽいね。」
「鑑定してみたら?」
「すみませーん。」
千春は店の女店主に声を掛ける。
「はいはい、買うのかい?」
「はい!これ白菜ですか?」
「ん?これ?」
千春が指差す野菜を見ながら女店主は答える。
「ココタンだよ。」
「ここたん・・・かわいいな。」
「かわいいね。」
千春と頼子はココタンを見ながら呟く。
「これ3つください!」
「はいよ、大銅貨3枚だよ。」
「ちっちゃいの無いんでコレで良いです?」
千春は小金貨を一枚渡す。
「あ~・・・お釣りが出せないねぇ、銀貨は無いかい?」
「ありゃ、それじゃコレ全部コレでください。」
千春は手を広げる。
「全部でも小金貨1枚しないよ?」
「大丈夫です♪」
「えぇ~?良いのかい?」
「はい♪」
「お嬢さんが良いなら私は構わないけど・・・ねぇ?」
女店主は横に立つ侍女姿のサフィーナを見ると、サフィーナはニコッと微笑み頷く。
「それじゃ、はい!」
千春は小金貨を一枚渡すと、野菜を手に取りカバンに入れる。
「ちょ?お嬢さん?」
次々と千春のカバンに消えて行く野菜を見て女店主は驚く。
「魔法の道具なんですよぉ~♪」
カバンの中にアイテムボックスを広げ、さもカバンに入れているように見せる千春は野菜を全て収納すると笑顔で店を離れる。
「色々手に入った!」
「プロステル王国の食材面白いねー。」
「ね!ブタもあったし♪」
「豚?オークじゃなく?」
「うん、豚、猪の品種改良してたよ。」
「マ!?」
「マ!」
「すげー、プロステルやるなぁ。」
千春と頼子は話しながら次の店に移動する。
「ここも肉だねー。」
頼子は肉屋の前に行くと商品を見て回る。
「この肉なんですかー?」
千春は店員に声をかける。
「オークだよ。」
「あ、オークもあるんだ、こっちは?」
「そっちはリザードだな。」
「トカゲかな?」
千春は他の肉を見て回る。
「豚ありますか?」
「ブタかい?そこにあるよ。」
店員は大きな棚を指差す、部位毎に小分けした塊が並べられていた。
「ロース肉とモモ肉かなぁ。」
「千春、こっち骨付きあるよ。」
「スペアリブ?」
「じゃない?美味しそうじゃん。」
「ルプ~、スペアリブ食べる?」
「おぅ!」
「すみません!このスペアリブ全部ください!」
「全部!?」
「はい♪」
何頭分か分からない程の骨付き肉を指差す千春に店員が驚く。
「え、えっと、全部?」
「はい♪いくらですか?」
「え~っと、店長ー!」
店員は奥に叫びながら消えると、厳ついおじさんが出て来た。
「ん?この子か?」
「はい。」
「お嬢ちゃんこれ全部買うのか?」
「はい、ダメ?」
「ダメな訳ないだろう、あ~・・・そうだな、銀貨3枚って所か。」
「・・・プロステルの物価安くない?」
思わず呟く千春。
「チハル、ジブラロールもオークや猪だと似たような物ですよ?」
「そうなの?」
「えぇ、魔国牛やブラックホーンブルが高いだけで、普通はそれくらいです。」
「あ~・・・最近ジブラロールで買い物してないなそう言えば。」
そう呟くと千春は小金貨を取り出し店長へ渡す。
「これでお願いしまーす。」
「おう、それじゃ包むが・・・持てるか?」
「大丈夫で~す、ルプ~♪」
「お~ぅ。」
またもルプに荷物を持たせる千春。
「お嬢ちゃん。」
「はい?」
「ちょっと待っててくれ。」
店長はそう言うと奥に一度戻る、そして包を手にし帰って来る。
「ほれ、コレはサービスだ。」
「なんです?コレ。」
千春は包を受け取ると店長を見る。
「俺の酒のツマミなんだがな、ブタの首肉だ、脂がのってうめぇぞ~。」
「おぉぉ!トントロだ!」
「トントロ?」
「あ、はい、こっちじゃそう言うんですよ♪」
「へぇ~、トントロねぇ。」
店長は感心しながら千春を見る。
「有難うございます♪」
「おう、また来てくれ!」
「はーい♪」
千春は手を振り店を出る。
「トントロかぁ、焼肉するの?」
「ん~、今日はしゃぶしゃぶの気分になってるから。」
「良いね~しゃぶしゃぶ♪」
アイテムボックスへ肉を収納しながら話す千春、そして皆と合流する。
「今日の晩御飯はしゃぶしゃぶでーす!」
「うぇーぃ!」
「ひさしぶりぃ!」
「マジでブタあったんだ。」
「ウチは魔国牛しゃぶしゃぶしたい!」
「チハル、魚もあったよね?」
「あるよー、カニもあるよー。」
「カニー!」
「しゃぶしゃぶ?」
騒ぐJKに首を傾げるラティス王妃。
「美味しいご飯だよ♪」
「美味しい・・・楽しみです!」
「よし!王宮へ戻ろー!」
「「「「「「おー!」」」」」」
皆は王城を見ながら腕を上げた。
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