鉱石買い漁るぞぉー!

「ポリポリポリ・・・。」

「パリッ。」

「サクサクッ。」

「モグモグ・・・。」

「ユラちゃんこっちも美味しいよ。」

「レンちゃんこっちも♪」

「イーナのもおいしいのです♪」

 千春達は大樹とメーシャンの電話越し商談を聞きながらおやつタイムをしていた。


「それじゃぁこのスチュート石は天然ルチルと言う名前なんだ。」

『うん、そう言う事、それさえ取り出せばあとは土魔法で色々と合金を作って・・・』

「そのマグネシウム還元法と言うやり方は・・・。」

『それは後日そちらにお伺いして説明しないと無理かなぁ、それに・・・。』

 千春達は話を右から左へ流しながらノンビリとお茶をする。


「もうパパさんズ呼んだ方が良くね?」

「でもメーシャンさんもなんとなく分かってるっぽいし。」

「すごいねぇ、流石ギルマスって感じかな。」

「ねぇチハル、この後どうするの?」

「ん?買い物して帰る感じだけど。」

「何買うの?やっぱ食材?」

「さっきは衣類とかばっかりだったじゃん、食材も見たいよね~。」

 JK達が話していると、大樹とメーシャンの話が終わった、そして。


「チハル、話は終わったよ。」

「おつかれさまで~す。」

「それは何なの?」

 メーシャンは千春の手にあるポッチーを見ながら話しかける。


「細いビスケットにチョコまぶしたお菓子ですよ、はいどうぞ。」

 千春は箱ごとメーシャンに渡す。


「へぇ~、甘い匂いだね。」

「お菓子だもん。」

「お菓子ねぇ、プロステル王都のお菓子と言えばフルーツを砂糖に付けた物だけど。」

 メーシャンが言うと千春の横で動物の絵が描かれたビスケットをポリポリ食べるラティスがウンウンと頷く。


「・・・ん!?」

 メーシャンはラティスを見て目を見開く。


「ラティス王妃殿下!?」

「あ、バレちゃいました。」

「な?!何でここに!?」

「チハルちゃんと一緒に王都探索中なのですよ♪」

「はぁ~・・・言ってくださいよぉぉ。」

 溜息を吐くメーシャン。


「それじゃチハル、お父様から依頼された分を取りに行くからついて来てくれるかい?」

 メーシャンはそう言うと立ち上がる。


「はーい、それじゃ皆おやつタイム終了~♪」

「終了って言ってもほぼほぼ食べ終わってっけどね。」

 頼子はケラケラと笑いながら影の中に食べ終わったゴミをポイポイと投げ入れる。


「!?」

 メーシャンは影収納を見て驚く。


「なんだい!?それ!魔法かい!?」

「あ。」

 当たり前の様に影魔法を使った頼子は思わず声を上げる。


「ごめん千春。」

「良いよ、どうせ鉱石回収するとき使うし。」

「そりゃそうか、石なんて手に持って帰れないよね。」

 千春はそう言うと立ち上がる。


「それじゃお願いしまーす♪」

「あ、あぁそれじゃついて来て。」

 メーシャンは苦笑いで皆と部屋を出る。


「いやぁ、今日は色々驚く事ばかりだよ。」

「デスヨネー。」

「石工ギルドにはスチュート石の為に来たのかい?」

「綺麗な石があったら買いたいなーとは思ってますけど、他にも有るんですか?」

「勿論、石像を作る大きな石もあれば宝石としては役に立たないクズ石もある、選別前の原石も有るよ。」

「へぇ~宝石のクズ石っての気になるな~♪」

 頼子が言うと麗奈も頷く。


「それって魔法で精錬したりしないんですか?」

「宝石の原石をかい?」

「はい。」

「そんな事出来たらクズ石の山は宝の山になるね。」

「ほぉ~。」

 頼子と麗奈は目を合わせるとニヤリと笑う。


「出来ないんです?」

 千春はメーシャンに問いかけると、コクリと頷く。


「うん、でも遥か昔に宝石を加工する魔法使いが居たらしいよ。」

「出来る人も居たんだ。」

「いくつかの宝石限定だったみたいだね、どこかの貴族が家宝にして表には出ないけれど、宝石の中に紋章を入れたり家紋が入っているらしい。」

「ほほ~。」

 千春はそれを聞き頼子と麗奈を見ると、物凄く悪い顔でニヤニヤとしていた。


「それも見せてもらって良いです?」

「うん、大丈夫だよ、ほらあそこが鉱石置き場だ、その右側の入り口だよ。」

 メーシャンは大きな建屋の扉を開くと中に入る。


「おぉー!石がイパーイ!」

「鉱石置き場だからね。」

「この石なんですか?」

「ここ一帯は鉄だよ、純度で分けてあるんだ。」

「へぇー。」

 説明を受けながら建屋を進む、そして。


「ココだよ、これを選別して磨き上げるんだ。」

 メーシャンの指差す石の山を見て千春は『おぉ~』と声をあげる。


「どれくらい買い取って良いんですか?」

「あまり出る物じゃないからね、いくらでも良いよ。」

「ここにある鉱石全部だといくらです?」

「・・・全部?はっはっは!この石だけでどれだけの重さが有ると・・・はっ!」

 メーシャンは言葉を言いかけ頼子を見る。


「千春これ全部いいん?」

「良いみたい、ヨリ1人でイケる?」

「ちょっと多いなー。」

 頼子の背3倍くらいの高さに積みあがった原石を見上げ呟く。


「レナ、ダイア、お願い。」

「はいよ~♪」

「ほいほい♪」

 頼子に言われ麗奈と大愛は鉱石を全て影に落とす。


「・・・。」

 メーシャンは口を開いたまま固まり動かなくなった。


「次は宝石の方見たいね。」

「だねー・・・メーシャンさ~ん?」

「・・・はっ!?ちょっと!?今の!まって!?何コレ!?」

「影収納魔法ですよー、お金の方幾らになります?」

「まさか全部・・・ごめんよ、流石に全部の金額は調べないと分からないよ。」

「おおよその金額だと?」

「在庫表を見れば金額は出るけど、金貨10枚くらいにはなるよ。」

「あら、思ったより安かったわ。」

「え?」

 千春はそう言うと金貨の詰まった巾着を取り出す。


「お金はあるんで、次宝石の方お願いしまーす♪」

「「お願いしまーす♪」」

 千春の言葉に乗せ頼子と麗奈もニコニコ笑顔で言う。


「う、うん、こっちだよ。」

 メーシャンは一度建屋を出るともう1つの建屋に案内する。


「こ・・・ココだけど。」

「はーい♪」

「千春、これルビーじゃん?」

「赤いね・・・鑑定。」

「どう?」

「ビンゴ~♪」

 透明では無いが赤い模様の入った石を見つけた頼子と千春はキャッキャと騒ぐ。


「こっちは緑だねー。」

「青もあるよ?」

「なんだろコレ。」

「チハルーこれはー?」

 青空達も原石を見ながら千春を呼ぶ、千春は片っ端から鑑定しまくった。



-----------------



「ルビーとサファイアは確定で、あとは?」

「水晶は欲しいね、色々試したいから。」

「蛍石もー!」

「なに?また爆発させんの?」

「うん。」

「させるんかーい!」

「色々やってみたいじゃーん♪」

「そのままでも綺麗だからね~♪」

「おっけー、メーシャンさんこれとこれ、あとあそこのと、アレと、こっちの石良いですか?」

「・・・うん。」

「それじゃ収納するねー♪」

「あ~い♪」

 頼子、麗奈、大愛は次々と鉱石の山を収納していく。


「・・・。」

「メーシャンさん、有難うございました、全部でおいくらまんえん?」

「・・・あとで請求書を王宮に送るよ。」

「了解っ!あざました!」

「うん、また仕入れておくから・・・。」

 ポカンとしたまま時間が止まったように答えるメーシャン。


「ヨリ、レナ、ダイア・・・凄いです。」

 ラティスは手を組みながら拝むように3人を見る。


「千春とサフィーちゃんも似たような事出来るよ。」

「しかも上位互換だからねぇ~。」

「いやいや、入る量考えたら影収納の方がヤバいって、私もサフィーもこの鉱石の山1つ入らないから。」

「流石のこの量は無理ですね。」

 千春とサフィーナは鉱石の山を見る。


「よし!用事終わり!王都探索再開しようー!」

「「「「「「おー!」」」」」」

「メーシャンさん有り難うございました!」

「・・・うん、こちらこそ。」

 呆けたまま答えるメーシャン、そして千春達は待機組とペット達の元へ戻ると王都探索を再開した。







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