プロステル王都へれっつらごー!

「どっちで行く?」

 千春は服をトルソーに掛けながら頼子に言うと、頼子は悩む。


「ティーちゃんも行くじゃん?」

「いくねぇ~♪」

「侍女連れて行くじゃん?」

「いくねぇ~♪」

「護衛も居るじゃん?」

「多分ね~♪」

「こっちでしょ。」

 頼子は貴族としては軽い感じの服を指差す。


「町娘風はダメか!」

「そりゃ私もこっちが良いけどさー。」

 頼子は服を体に合わせ、姿見でポーズを取る。


「サフィー、どっちがいい?」

「どちらでも構いませんよ?」

「そうなの?」

「えぇ、貴族風ですと人攫いに目を付けられるかもしれません、町娘風ですと輩に声を掛けられるかもしれません、どちらもメリットデメリットは有りますから。」

「ふみゅ、それじゃ楽な町娘風で!」

「おっけー。」

 頼子はそう言うと影から大きなカバンを幾つか取り出す。


「マチムスメセットォ~♪」

「なにそれ、もしかしてドリャえもん真似した?」

「似てるっしょ。」

「似てねぇーーー!!!」

 ゲラゲラと大笑いしながら千春が突っ込むと青空達が入って来る。


「きまったー?」

「うん、こっちの服で行くよー。」

「りょー。」

 青空の後ろからゾロゾロとJK軍団が入って来る、そしてその後ろからは王妃ラティスとユラ達幼女隊が付いて来た。


「はーいお着換え始めまーす。」

「はーい!」

「はーい!」

「はいなのですー!」

「良い返事だね~♪」

 千春はユラ達の頭を撫でると、美桜と青空が声を上げる。


「はーいはーい!」

「はいはいはーい!」

「ハイは一回でいいんじゃーい!はよ着替えな~。」

「うぃっす。」

「レナ、髪飾りあるー?」

「あるよーん。」

 皆はワイワイと着替えを始めた。



------------------



「ルプ、準備出来たのか?」

「ロイロお疲れ、どうだった?」

「うむ、問題無いのぅ。」

「リストの者全員捕まえたのか。」

「儂らは後ろで圧を掛けてただけじゃからな。」

 ロイロはドラゴニュート達と一緒に王の手伝いを一晩中やっていた、そして問題の貴族や教会の者を片っ端から捕え、城の牢へ送り届けたのだった。


「今日は俺達が護衛するからロイロは寝ても良いぞ。」

「構わんよ、儂らは2~3日寝ずとも動けるからのぅ。」

「それは知ってるが、千春が気を遣うんだよ。」

「そうじゃな、少し休憩して、上からこっそり護衛するとしよう。」

「あぁ、問題が有れば直ぐに気付くだろ。」

「うむ。」

 ルプの言葉に頷くと、ロイロはレフトたちに指示をし、ゆっくりするように言う。


「あー!ロイロおつかれー!」

「ほう?可愛いのう。」

「でっしょぉ~♪」

 千春はくるっと回りスカートを手に取るとポーズを決める。


「ロイロ、ベッド空いてるから、あとレフト達もちゃんと部屋あるからゆっくり寝てね。」

「うむ、それじゃ言葉に甘えて休ませてもらおうかのぅ。」

「あとー。」

 千春はアイテムボックスから大量の料理を取り出す。


「サンドイッチ大量に作ってるから食べてね。」

「おぉ~これは美味しそうじゃ。」

「沢山あるからねっ♪」

 千春はそう言うとまた部屋に消える。


「・・・本当に美味そうじゃ、レフ、ライ、アベリアを呼んで来るんじゃ。」

「はい!」

「了解です!」

 2人はアベリア達を呼びに行く。


「こっちの護衛でドラゴンはヒスイとフローラのメイドドラゴン、ミカ、ゼルが居る、余程の事がなけりゃ呼ばねぇから安心しとけ。」

「ひんぱいなおしへおらぬお・・・モグモグモグ。」

「ロイロ・・・レフ達待てよ。」

 早速サンドイッチを頬張るロイロにルプが突っ込むが、ニヤリと笑うと両手にサンドイッチを持ちまた食べ始めた。


「さて、俺達も準備するか。」

「なにするん?」

「人型で行くからな、着替えるだろ。」

「あ~、わっちらも着替えるん?」

「ジブラロールじゃねぇんだ、人型の方が良いだろ。」

「はい!僕も着替えます!」

「服出すばーい。」

 ペット達もビェリーが出した服に着替え始めた。



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「この馬車で行くの?」

 着替えが終わった千春達は城から出ると、城門前に竜車が止まっていた。


「走竜ちゃんだー!」

 頼子と美桜は走竜に近寄る。


「お嬢様方!」

 従者が頼子達を止める。


「はい!?」

「この走竜は人に慣れてはいますが噛みつく事も御座いますので。」

「そうなの?今まで噛まれた事無いけど。」

 頼子が言うと美桜も頷く。


「大丈夫だよねぇ~?」

 美桜はそう言うと走竜の横に近寄り顎を撫でる。


「クルルルルルルルルル♪」

「ほら、大丈夫ですよ?」

 美桜の言葉に驚く従者。


「・・・甘えていますね。」

「あ、これ甘えてるんだ、くぁわいいねぇ君♪」

 頼子と美桜は走竜をなでくりまわす。


「ヨリー!ミオー!乗るよー!」

「ほいほーい!走竜君がんばってね♪」

「たのむぜ走竜君!」

 2人はもう一度走竜を撫でると車に乗り込む。


「ヨリもミオも爬虫類すきだよねぇ。」

「あのひんやり感良いよね。」

「スベスベなのもね~♪」

 頼子と美桜は楽し気に言葉を返すと、青空と大愛が馬車を見て千春に問いかける。


「あれ?この馬車・・・ジブラロールのじゃん?」

「ほんとだ!なんで?」

「ふっふっふー、早朝にヨリとジブラロールに行って1台拝借してきましたー!」

 千春はニッコニコで答える、頼子は横でドヤ顔だ。


「助かるぅ~。」

「こっちの馬車ヤバいもんね。」

「馬車だけど走竜君が引くから竜車だよ。」

「どっちでもええねん。」

「チハルの言葉を借りると、こまけぇこたぁいいんだよ!」

「そんな口悪くないで~す。」

「言い方よ言い方。」

 青空と大愛はゲラゲラと笑っていると声が掛かり竜車が動き始める。


「・・・え?」

 千春の横に座るラティスは千春達を見て驚く。


「揺れ・・・揺れが・・・少ない?」

「お尻痛くないでしょ。」

「はい!何故ですか!?」

「何故・・・ヨリ答えて。」

「私!?えっとぉ・・・さすぺんしょんというくっしょんてきな・・・なんか衝撃抑える仕組みがあるんですよぉ。」

「そのさすぺんしょんがあるから揺れないんですか?」

「概ねそう!」

「凄いです!これがジブラロール王国の技術ですか!?」

「あー、はい、そうです。」

 頼子は説明が面倒になったのか適当に答える。


「チハル!みてみて!でっかーい!」

 日葵と花音は窓から外を見ながら屋敷を指差す。


「おぉー!貴族のお屋敷!」

「やっぱりお城の近くは貴族街なの?」

 頼子はラティスを見ると頷く。


「はい、そこはプロト侯爵家の屋敷ですね。」

「へぇ~・・・すっごい兵士が警備してるね。」

「ほんとだー。」

「屋敷警備であんなに兵士さん居るんだね。」

 JK達は屋敷の前に居る兵士をみながら呟くと、不思議そうに首を傾げるラティス。


「いえ・・・兵士は貴族の屋敷を警備しませんが?」

「してるよ?ほら。」

 通り過ぎる屋敷を指差す日葵、ラティスはもう一度首を傾げる。


「何か有ったのでしょうか?」

「なんだろねー。」

「でも忙しそうじゃないし大丈夫じゃん?」

 遠くなっていく屋敷と兵士を見送ると竜車はトコトコと先へ進む、そしていくつかの屋敷に兵士が出入りする姿を目撃しつつも、皆はそう言う物かと気にせず王都へ向かった。



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「陛下、少しお休みになられては?」

「・・・大丈夫だ、お前達だけ動いて俺が休むわけにはいかん。」

 シグリップ国王は宰相ショワカに答えながら王宮を力強く歩く。


「フレーム子爵家はどうなった。」

「はっ、全員捕えております。」

「教会は?」

「全員。」

「素直に捕まったな。」

「はい、表にドラゴンが威嚇しておりましたので。」

「頭が下がるな。」

「王が頭を下げる等と・・・言うのは本来看過出来ませんが、こればかりは本当にそう思います。」

「教会には魔導士や警備も居ただろう。」

「はい。」

「何もして来なかったのか?」

「いえ、魔導士は魔法を撃とうとしたそうですが・・・発動しなかったと。」

「どういう事だ?」

「ロイロ様曰く、魔力結界を張り発動を阻害したとの事で御座います。」

「・・・そんな事まで出来るのか、恐ろしいな。」

 シグリップは驚きよりも呆れた様に呟く。


「さて、ココからが本番だ、気合を入れて行くぞ。」

「はっ。」

 シグリップはそう言うと、宰相と共に城の牢がある塔へ向かった。









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